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【詩の雑感】 ステフアン・マラルメ「ためいき」(堀口大學訳)

 今回の「詩の雑感」で取り上げる詩はステフアン・マラルメ「ためいき」(堀口大學訳)である。

わぎもこよ、わがこころ、いま立ちのぼる立ちのぼる
日やけに黄みたる秋のそこに夢見る汝が前額の方へ、
はたは天使めく汝がまなざし果しなくひろがれる空の方へ
といきする白き噴水の水に似て
わぎもこよ、わがこころ、いま立ちのぼる立ちのぼる
―黄みたる太陽の永き光の立去り迷ひ
吹く風の冷たくみだす落葉の群の
褐いろの悩み漂へるおどみたる池水に
そが果しなきもの憂さと疲れとを写したる
青ざめきよき十月のやさしき碧空の方へ
わぎもこよ、わがこころ、いま立ちのぼる立ちのぼる

ステファン・マラルメ「ためいき」(堀口大學訳)

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