マガジンのカバー画像

16
【詩】を集めたものです。
運営しているクリエイター

#詩

【詩】(月曜日…)

【詩】(月曜日…)

月曜日
挨拶交わす 日曜日
二人夢見る いつの日か
日が変わるとき 肩並べ
二人三脚 してみたい

こちらのシロクマ文芸部の企画に参加させていただきました。

「月曜日」というテーマが難しかったです。
詩と呼んでいいものかわからないものを作りました。

【詩】コラージュされた言葉たち Ⅰ

【詩】コラージュされた言葉たち Ⅰ

池の水面に浸された愛読書。
踊る蝸牛。
この二つを焦点に楕円軌道を描く。
ただ、妖艶な紫陽花を中心に円を描くことは悪趣味な遊びである。

直線的な無限と平面的な無限との違いに気付いた老婆。
彼女は卵形の涙を流す。

今日も琥珀から朝が滑り落ちる。
明日は鯉から黄泉が羽ばたいてゆく。

【詩】(紫陽花を…)

【詩】(紫陽花を…)

紫陽花を
妖艶な雨の匂いが
滑り落ちては 狂わせる
幾何学模様の数式 
不安定なる このわたし
もう戻れずに 酔いしれる

こちらのシロクマ文芸部さんの企画に参加させていただきました。

実は、ある短篇小説の賞に紫陽花をテーマにした小説を応募しました。
その小説の内容をもとに、詩を書いてみました。
いつか、小説も披露できたら嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

【詩】自然を超える実験

【詩】自然を超える実験

書を読むように音楽に耳を傾ける少女は
喉から光の泥が溢れ、悶える。
浄玻璃の中にある猛毒の液体は、
その少女にとってやすらぎを与え、
聾にさせる。
逆さ窓から覗いている易者は、
その一部始終を新品のハンカチに書き記す。
そして、
そのハンカチを二人目に渡し
二人目は、
そのハンカチで手品を披露する。
手品を見ていた王女は
二人目の手の甲に愛撫をする。

少女の愛読書が火のついた煙草から落ちる。

もっとみる
【詩】憧憬のスケッチ

【詩】憧憬のスケッチ

微風のざわめき
卵形のとどろき
黄泉のわななき
時間のきらめき
すべてを飲み干す

雪はいつも椅子から
なにも奪えない
常緑樹はいつもコップから
なにもひき付けない

カオスを備えた花火は
肋骨に埋められる
台風の耳に
水銀を注ぎ込む
とろんとしたアイスピックを
辞書で灼きつくす

幸福に落ちたアイスキャンディ
悪夢に揺れるドリンクバー
憂鬱に触るビール

愛読書から今日も
朝が溶け出してゆ

もっとみる
【詩】(雨を聴く…)

【詩】(雨を聴く…)

雨を聴く 外部の喧騒 かき消すように
眼下には 文字が連なる 雨滴のように
書を閉じて イヤホンを両耳から外し
顔を上げ 晴天をとぶ 鳩に見惚れる

 こちらのシロクマ文芸部さんの企画に参加させていただきました。

 私はいつも読書をするときに、外部の余計な音が聞こえると、それが気になって読書に集中できない人間なのです。なので、カフェなどで読書をするときは、ノイズキャンセリングイヤホンで雨の環境音

もっとみる
【詩】(赤い傘…)

【詩】(赤い傘…)

赤い傘 一回転した 先に大海
貝殻を コップで蓋し 大海を裂く
どうしようもないこの虚無を 表わすように

雨が降り 赤い傘手に取り歩く朝
水平線 ひらりとぼやける チャコールグレー
浮いている 世界の中で 傘の赤色

企画に参加させていただきました。

今月から、シロクマ文芸部に参加させていただきます。
よろしくお願いします。

【詩】夜中の目覚め

【詩】夜中の目覚め

朦朧とした魂は
徐々に精細さを増す
メランコリーにうなされた日々に
天使が舞い降りる
一時の快楽に身を任せるつもりはない

夜半、予期せぬことに目覚めてしまった
透明なランプはふいにわたしの目を刺す
仕様がないから
キュビスムの絵に心を通わせる

今日のことは考えなくていい、
とあなたは囁く
そんなことはいかない、
と心の奥底で必死に叫ぶ
わたしのなかの小人
どうしようもない焦燥感と
満ち足りた充

もっとみる
【詩】雨を待つ

【詩】雨を待つ

あなたのプシュケーは
もっともらしい正義で
わたしを縛りつける。
凛々しい浄玻璃がするような眼の反射で
屋根を焦がす。
わたしは
その熱々の屋根の上で体育座りをし
平然と空を見上げるように
強いられる。
わたしは
ただただじっと、
雨が降るのを待ち続ける。
ここは規則的に雨が降る地域なので
そんなに長く待つ必要はない。
雨が降るとあなたは、
濡れてしまうから家に入ろう、
と優しい顔をして言う。

もっとみる
【詩】告白と決意

【詩】告白と決意

打ちのめされたわたしの眼に灰色の温もり
あなたの眼には涙が滴る
わたしの安堵に冷たさが侵入する

焦燥感とリラックスが混じったこころに前を向けと誰かが言う
あなたの未来はわたしと共にある
そしてわたしはこれからひとりで歩く試練が課される

さあ、これからだ

【詩】愛の教会

【詩】愛の教会

アムールの土砂降りにただただ狼狽える
その場ではわたしは啞である
どうしようもない幸福が諦めとともに襲ってくる

チャコールグレーの日射
満ち足りないと神父は嘆く
救済と落葉が同時に眼前にあらわれる

盗まれた神灯が街を豊かにする
わたしはその恩恵に預かる
ひとりだけ苦しみもがくものがいる

神父が破顔した
こどもたちは泣いていた
教会に恭しい鐘の音が鳴り響く

【詩】ほつれた脳内

【詩】ほつれた脳内

頭痛のような眠気
どうしようもない天からの啓示
わたしは瞼の裏にユートピアを持つ

悪夢が悪夢のような顔をしていない喜劇
どうすればあなたと健やかな眠りにつけるのか
諦めに似た諦めが心のなかでゆらゆらする

もう何も考えなくていいとあなたは言う
神様はわたしに天罰をあたえる
ああ! きっとこのままどこにも行けない

【詩】新しい朝

【詩】新しい朝

眠気の辞書はだれにも見つからない場所に隠している
眼を擦りながら太陽と月の衝突を再確認する
枕と珈琲の朝は冷たく忙しい

薄志弱行の決意
不規則なリズムで揺れる脳はまだ夢と現実を区別できない
ひっそりと立つ富士山がわたしをくっきり惑わす

澄んだ狂気が血液に充満する
ベッドのぬくもりは靴の中にだけ残っている
気味の悪いポストは今日も朝の匂いを浸す

あなたが向こうから歩いてくる
ポッと灯った燈火の

もっとみる
【詩】愛の技術

【詩】愛の技術

浄玻璃がまぶたの重さに変わる
わたしは酒の瓶を持ってあなたの帰りを待っている
きっと、肋骨にできた空白は酒をもってしても埋まらない

雲の鳴らすメロディは美しいに決まっている
わたしは密かに地球の裏側にまわりこむ
記念日はわたしにとって空疎なものでしかない

噓を醸し出す水夫は地獄の扉の鍵を持つ
あなたはその水夫の面貌に魅力を感じ、水夫の手を取る
あなたと水夫は楕円軌道を描く

夜明けの街中でユラ

もっとみる