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理想の上司 ~任せて責任を取る~

理想の上司は、「本人の意志に任せて自由にやらせた上で、結果責任だけは取る」というものであると考える。わかっていてもなかなか難しいものだが、今回は2つのイイ話を紹介したい。

エピソード①:「舌を噛み切る寸前まで黙って見守る」

サービス業にて顧客向け商売をしていると、上司と担当者で顧客を訪問して説明するという機会が多くある。主に担当者が説明を行い、顧客が質問や指摘をし、内容に応じ担当や上司が回答をするという形になるのが一般的だ。
しかしこの理想の上司は一切しゃべらない。担当が少し違うニュアンスで話をしても、担当が回答に苦慮するような質問/指摘が来ても、黙って担当に回答をさせる。
一見、上司として仕事をしていないようだが、
「自分が補足や回答をしてしまうと、担当者が ”それは上司が話すべきこと” と考え、担当者が自分の役割を超えられない」
「上司たるもの担当者のリスクを見ながら、舌を噛み切る寸前まで黙って見守るべきだ」
という意図で敢えて黙っている。
これまで、補足説明しないと意図が伝わらない/間違った主張になるケースや、顧客からの厳しい質問・指摘などがあったであろうと思われる。さらには、会議が険悪な場になったり、顧客からクレームが来たり、取引の継続が危ぶまれたりというケースもあったらしい。それでも「黙っている」を貫くというのは、そのリスクを自身でひっくり返せる自信があるが故の行動であり、なかなか出来るものではない。

エピソード②:「彼で出来ないなら弊社の誰でも出来ません」

2つ目は心に染みるエピソードで、ある方(Aさん、とします)から聞いた上司の話です。
とある厳しいプロジェクト、非常にハードルが高くかつ成果に厳しいクライアントとのプロジェクトでした。会社から優秀なアドバイザーやメンバーが何名も投入され、それでもなかなか上手くいかずクライアントからのメンバー交代要請が続々と出ていた状況の中、Aさんはプロジェクトリーダーを務め続けており、幾度も苦境に立たされていました。プロジェクトが佳境を迎えるにあたり、クライアントから「今のプロジェクトリーダー(Aさん)でこの先乗り越えられるのか?」という話が、Aさんの上司に問われました。その際に上司の答えは、
「もしAさんで乗り越えられなければ、弊社の誰を出しても乗り越えられません」
と言い切ったと言います。この話を聞いていたAさんはその上司の発言に感動し、その上司の期待に応えるために必死にプロジェクトをリードし、見事に完遂しました。
営業やサービス業・IR・採用など社外と接する職種に対し、「会社の代表として」「会社の顔として」という話がされることはよくあります。ただ、これらの言葉の後に来るのは、「…として恥ずかしくない言動を」「…として間違ったことを言わないように」など、プレッシャーを与える使われ方が多いのではと思います。Aさんの上司のエピソードは「会社の代表として信じている。自分が良いと信じるやり方で切り開け。」というポジティブなメッセージであり、だからこそAさんはやり切れたのだと思います。

筆者も上記お二人のように、「会社の顔として認め、やりたいようにやってもらう」「リスクの責任を全て負えるような挽回力を持つ」上司を目指して精進したいなと改めて思いました。

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