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ガルフストリームを求めて

緊張気味にBARと書かれた看板のお店に入る。
大学生の時、人生の先輩に連れられて入ったBARはその日三件目のお店で、私は人生で数回しか行ったことのないBARという空間に足を踏み入れた。
今からしてみれば、そこはいくつもあるBARの中で格段店内が明るく、温かみのある空間であった。
人生の先輩に「何か飲んでみなよ」と促されて、メニュー表にあるカタカナの羅列に困っていたところ、マスターが「好きな味はありますか?」と渋くも優しい声で話しかけてくれた。
「あまりお酒を知らないので飲みやすいカクテルとかありますか?」
「柑橘類系とかはお好きですか?」
「好きです。グレープとか」
と言った時、マスターはにかっと笑って「ガルフストリームはどうでしょう」と言った。
名前がかっこいいなって思ってしまった。「それでお願いします」
ストリームは「流れ」や「川」の意味だっけ?、「ガルフ」は、なんだろうと酔った頭で考えながらマスターが用意するのを眺める。
みなさんは、シェイクを初めてみたときの感動を覚えているだろうか。シェイカーに注がれるお酒や指使い、氷の音、手首のスナップ、それらが映画の名シーンのように流れる。
出されたのは青い色が綺麗なお酒であった。美瑛の青い池を連想する。
当時の私はまだビールの苦味に慣れていない頃であったから、甘みとさっぱりした飲みやすさがたまらなく嬉しかった。
嬉しくなってその場でレシピを教えて欲しいと頼んだら、このお酒が誕生した理由や作者など教えてもらいながらメモ書きを渡される。
それから私ははじめていくBARでガルフストリームを頼む。お店によってレシピが少しずつ違うのが楽しい。
先日行ったBARがあまりにも美味しく、ガルフストリームを初めて飲んだことを思い出していた。
また新たなBARへ行くときにはガルフストリームを頼むのだろう。

ガルフストリーム   レシピ

ウォッカ 30ml
ピーチリキュール 20ml
ブルーキュラソー 10ml
グレープフルーツジュース 50ml
パイナップルジュース 10ml

#札幌 #北海道 #美容室 #美容師 #エッセイ #BAR

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