海外で日本語の本を読むと安心することがわかりました。今日の言葉#43

アメリカに来て最初の頃、
なるべく英語に触れて、
英語を吸収し、
英語を身につけようとしていた。

しばらくして、ある時
kindleで日本語の本をダウンロードして
読んでみたら、
スルスル入ってくる(当たり前)。
読める!という感覚と、
久しぶりに読書で頭が活性化されて、
読書ってこんなに楽しいのか、
と気がついた。

そして、無理に英語漬けにしなくてもいい、
日本語の本でも雑誌でもなんでもいいから、
日本語に触れて
リラックスする時間も
大切にしようと思った。

日本語の読書はその時、
安心感をもたらしてくれた。

その時は家事や自己啓発本の類など
実用本をよく読んでいた。
その時は、すぐに自分の行動に直結する
ことを知りたくて、
知識や方法を手に入れようとしていたんだと思う。
だからあまり小説を読もうと思えず、
小説からあまりに遠ざかりすぎていて、
人はなぜ小説を読むんだろう?
なんて理由を考えたりしていた。

3年か4年ぐらい前だろうか、
あることをきっかけに小説を少し読むようになった。
「この本を読んで芸人目指しました」
というあるお笑い芸人さんの話を聞き、
私もその本を読んでみた。

そこにこう書いてあった。

大量に本を読むと人間の中に何が起こるかと言うと、
変な海みたいなものが出来あがる・・・純文学っていうものをたくさん読んだ人っていうのは、自分の内面に自然と海みたいものが出来あがるんです。

又吉直樹『第2図書係補佐』
【対談】又吉直樹x中村文則、中村文則さんの言葉

海かぁ・・
なんかいいな、

と思った。

又吉直樹さんは同著の中でこう書いていた。

小説の楽しみ方は色々とあるが、僕が文学に求める重要な要素の一つが、普段から漠然と感じてはいるが複雑過ぎて言葉に出来なかったり、細か過ぎて把握しきれなかったり、スケールが大き過ぎて捉えきれないような感覚が的確な言葉に変えて抽出されることである。そのような発見の文章を読むと、感情の媒体として進化してきた言葉が本来の役割を存分に発揮できていることに感動する。

又吉直樹『第2図書係補佐』

この二つの文章、
又吉さんが本を紹介するこのエッセイ、
そして、この本が、ある芸人さんの人生を変えたこと
これらで一気に小説が読みたくなった。

今は、少しずつ小説にも手を出している。
本当はもっともっと読みたい。
改めて、
小説の面白さに気づけたことが嬉しい。

今日の言葉#43

「人生を変える本」という実用本より、エッセイや小説が人生を変えることがあるのは面白い

hana

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