「偏見」と「仮説」

性別も年齢も家柄も国籍も外見も年収も過去も何もかも全部♪
「偏見」を持たずにお互いにリスペクトを、という「多様性」の時代だ。
ただ、ビジネスにおける「多様性」というのは、「互いに干渉せず好きなように過ごせるように」ではない。(お互いのリスペクトがある前提で)「互いの能力を上手く引き出し合い、”One Team”となってより大きな成果を生む」ことが目的である。
スポーツのように「勝つ」という明解な目的とより強い相手がいる状況下では意識せざるを得ないため出来つつある領域は多い。しかし、子供の頃から画一的に育てられ異民族との触れ合いも少なく育ってきた日本人にとって、スポーツ以外の領域において「多様性」で高い成果を出すことは非常に難しい。

「多様性」を上手く取り入れ・活かす方法として「仮説」という概念を紹介したい。「仮説」とは、限られた情報から尤もらしい予想を立てることである。「偏見」と「仮説」の違いを見てみよう。
<若者に対して>
(偏見)「まだ新人で仕事経験が半年」→「彼のアイデアは聞く価値がない」→「俺の言う通りやった方が間違いない」
(仮説)「まだ新人で仕事経験が半年」→「仕事のやり方は知らないだろうが、逆に顧客目線で何か気付くかも?」→「まずはこのやり方でやって、アイデア出たら教えて!」
<上位者に対して>
(偏見)「社長は会社の出来事全て報告を受けている」→「この事象の経緯/原因/対策全て知ってるべき」→「いまコレが必要!を判断できないのはダメ社長だ!」
(仮説)「社長は会社の出来事全て報告を受けている」→「この対策必要性は伝わるはずだが、すぐやらないのは何か他の懸念が出るから?」→「いまコレが必要!と思うが、懸念は何か?」
<取引先に対して>
(偏見)「ウチのサービスは貴社のためになる」→「メリット理解しているのに判断しないのは意思決定者じゃないからだ」→「上の方を紹介してください!説明します。」
(仮説)「ウチのサービスは貴社のためになる」→「メリットは理解頂いている、決断されないのは他社がもっと良い提案を?全社的にみると重要な経営課題ではない?」→「メリットは理解頂いてると思うが、何が意思決定を阻害しているか?」

3例とも、「事実」→「偏見/仮説」→「行動」と書いたが、お分かり頂けただろうか?80点などの予測は立てても良い(立てられるなら立てるべき)が、それが100点と思い込んだらダメ、ということだ。
経験が多くなればなるほど、付き合いが長くなればなるほど、仮説は精度が高くなり、80点が90点・95点…と高くなっていく。仮説の精度が高くなり、かつ結果として合っていることが増えると、どうしても「100点かも?」と思ってしまいがちである。なので、経験が多い人ほど、仮説の精度が高くなるほど、「100点と思い込み・決めつけてはいけない」と強く自身に問わなければいけない。

より多くの人が、「偏見→決めつけ」を脱却し、「無関心でなくリスペクト」に向かい、「仮説を立て確認・合意」できるようになっていけば良いなぁ、と思っています。

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