Willを起点にしよう

「Will」「Can」「Must」というフレームワークがある。
Will(やりたいこと)・Can(出来ること)と一致したMust(やるべきこと・仕事内容)を選択するのが良いという考え方である。
内容としては最もなのであるが、本質を取り違えるとおかしな判断になってしまう。今日はこの正しい考え方を書いてみたい。

まずは誤った捉え方の例
「私は起業に向けた経験を得るために現職を選択したが、今の仕事内容では役立つ経験が得られない」
「私は早く部長になるために、早く大人数のマネジメントを経験したい」
「私は得意な英語を使う仕事をしたいのに、海外の仕事をさせてくれない」
「私が一番会計知識があるのに、責任ある立場を任せてもらえない」
一見willとmust・canとmustが食い違っており、正しそうだ。しかも割とこのような主張は多くみられるのではないだろうか?

どこが正しくないのであろうか?
2点あると考える。①HowでなくWhatを、②Willを起点にしよう、である。

①HowでなくWhatを
How(手段)でなくWhat(目的)で見直してみよう。多くのコミュニケーションはHowで行われており、かなり意識してもすぐHowを表現してしまいがちだ。
上記の例でも、
・起業したい/経験したい → 起業して何をしたい?何の経験が必要?
・部長になる/マネジメント経験 → マネジメントにより何を為し得たい?
・英語を使う/海外の仕事 → 英語を使った何が出来る?/海外で何したい?
・会計知識/責任ある立場 → 知識あると何が出来る?何の責任が負える?
など、全てHowになってしまっている。
正しく理解するためには、Will(自分のありたい姿)・Can(自身の能力)・Must(仕事におけるミッション)とイメージした方がWhatに近づくであろう。

②Willを起点にしよう
次にWill・Can・Mustの考える順番について。CanやMustからだとうまく行かないと思っている。Willを起点に考えたい。
Must(ミッション)を起点にすると、会社のミッションの中で自身のやりがいを見つけ、ミッション達成のために必要な能力を磨く、と会社のために自身のキャリアを捧げるような形になってしまう。「xxという自身の強みを活かすことで会社に貢献したい!」という風に。
Can(自身の能力)を起点にすると、自身の能力をフルに活用できる環境を求め、「自分のいるべき場所はここではない」と考え、環境を変えたくなってしまう。「私の強みはxx出来ること、ココなら能力を存分に発揮できるのではないか?」と。こうなるとスキルは磨けても能力はなかなか伸びなくなってしまう。
ので、「自身のWill」をまず起点におきたい。「私はxxでxxを実現する人間でありたい」が最初にあり、仕事において自身のWillと企業のWillがより大きく重なるところに自身のMust(ミッション)を見出し、そのミッションを早く効果的に達成するためにCan(自身の能力)を伸ばす。企業は必要なことを押し付ける存在でも、自身のやりたいことを練習させてくれる場でもなく、共にWillを目指すパートナーとなるのが望ましい。

企業勤め・転職・起業を否定している訳でも、いずれかを推奨している訳でもない。これらもやはり「How(手段)」でしかない。
一度、自身のWill(達成したいこと)をHowでなくWhatで見つめなおしてみて欲しい。過去の仕事・今の仕事をいったん忘れ、「せっかくxxの勉強してきたから…」というCanを忘れ、自身が達成したいことを考えてみると、今まで固執してきたことが違って見えたり、今まで見えなかったことが見えるようになったりすると思う。

Willを起点に、自身のありたい姿になることを目指して、それに資する仕事に従事することが出来れば、みんなが前向きに仕事し、社会はもっと早く良くなると信じている。

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