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現実に入り込む、恐怖体験

アメマ速報の齊藤です。もうすぐハロウィンということで、ホラー映画の最新キャンペーンについて書いてみました。

ホラー映画のキャンペーンで、やはり定番なのが「おばけ屋敷」。遊園地のお化け屋敷とタイアップするのはよく見ますね。ただ、一味違うのが、ワーナー・ブラザーズが2019年の夏に仕掛けた11月1日公開の映画「IT/イット THE END “それ"が見えたら、終わり。」のティザーキャンペーン。その名も「The It Experience」は、そのリアルさに徹底的にこだわっています。

まずはこの映画を知らない方のために、少しご紹介します。

「IT/イット “それ"が見えたら、終わり。」

2017年に全米No.1の大ヒットを記録したホラー映画。スティーヴン・キングのホラー小説が原作。人間の弱さに漬け込む不気味なピエロ、ペニーワイズが子供達を恐怖に落としれ入れていく物語。今回はその続編が2019年11月1日に公開予定。原作の後半部分を基に作られており、前作の27年後が描かれます。Derryという街の子供達が再び行方不明になっていると聞きつけた、大人になったルーザーズ・クラブのメンバーが故郷に戻ることで物語は始まります。予告篇はこちら

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予告映像を見るとわかる通り、遊園地「Derry Canal Days」がいくつかのシーンで登場します。ペニーワイズが大人になったビルを苦しめ、新たなターゲットを見つけるためのfun house(びっくり屋敷)も確認できますね。

ワーナー・ブラザーズは、ロサンゼルスを訪れた人々が歩き回ることで本作のストーリーを感じられる「リアルな没入型体験」してもらいたいと、映画の制作中にこのキャンペーン企画が誕生しました。

街に突如出現したFun house

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それが、ロサンゼルス中部に突如現れた遊園地、Derry Canal Days。もちろんそこには映画の舞台となるfun houseも。映画制作中に企画が生まれたため、ワーナー・ブラザースのマーケティングチームは実際に映画で使われたfun houseの正面部分の外装を取り壊さず残しておいて使っているんです!

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fun houseの中では、10つのテーマに基づいた部屋が用意されているほか、鏡の間やレストラン、ペニー・ワイズの棲みつく下水道など映画に基づく8つのポイントも。入場者はカーニバルの客引きに呼ばれて部屋から部屋へと移動します。仕掛け人である俳優たちの演技によって体験の質もより高まる!というスリリングさ。

映画館を巻き込んだキャンペーン

イベントは8月15日から9月9日まで開催され、チケットはわずか31秒で即売ソールドアウト。チケットを持っていない人であっても待機列に並べば入場できましたが、平均待ち時間はなんと5時間30分…(ディズニーランドのアトラクション以上の人気!)

こんなに人気なら、イベントだけ盛り上がって映画は見られないのでは・・?と思う方もいるはず。でもちゃんと集客にもつながっています。

このイベントにはIMAXがスポンサーだっので、IMAX版の前売りチケット購入者も優先的に入場できるという仕組み。5時間半並ぶなら前売り券、買いますよね。

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映画の境界線を越えるプロモーション

The It Experienceのプロモーションにも、観客を映画の世界に取り込む工夫が。資材を運ぶトラックは、街にカーニバルを持ち込もうとしているかのように、バス停のベンチなど屋外広告は、プロモーションではなく現実のイベントとしてDerry Canal Daysを告知していてとにかくリアル!

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単純な恐怖体験ではなく、リアルさを追求することで、観客にいかにDerryの街に浸かってもらうかをゴールにしたキャンペーン。「観客が世界観に入り込む」のではなく、「映画が現実に入り込んでくる」という点では画期的なキャンペーンではないでしょうか。イベントを起点としたプロモーションプランの際は是非参考にしたいですね。

公開が楽しみです!

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