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140字小説(2019.1~)

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140文字以内の小説
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2019年8月の記事一覧

今宵聞こえし潮騒は秋風揺れる稲穂かな
月のいざなひ聞こえ歩む道
月光のしぶきをあげつつ進みゆかん
稲穂に実るは月の滴なり
滴は弾け天高く昇らん
夜空に散りたる光の飛沫、心ことなるしらべをほのかに奏でん
迷いたる紫の雲はうつくしき歌うたわん #140字小説 #詩 #イラスト

天見上げ落ちぬ滴に嘆き悲しみ膝を折たもう
涙も枯れ声も失うほどに乾きけり
ある者は奪い、ある者は殺し、ある者は諦めん
湧き水までの道は険しけり
足首に影絡まり古傷開き爛れん
真の水音に耳を澄ませよ
偽の水は毒を持たん
光ある導きを見誤るなかれ #140字小説 #詩 #イラスト

失いしは声のみなり。魂にあらず。
溢れるは我よ我よと醜き声ばかり。
妬み謗り憎しみに埋もれ行く声に耳を澄ませよ。
麗しき声は雪のごとく儚きものなるや。
闇に落ちるはたやすきなり。
目を開き耳を澄まし歩むべきなり。
願わくば知恵と力と勇気とを。
道照らす松明を。 #詩 #イラスト

雷鳴

雷鳴

怒りのごとき雷鳴とどろき響く。
悲しきにたへずして怒る力もなき我れ。
天羨みて手を伸ばさば、雷閃きて身体射抜かれん。
我が叫び木々の葉散らし風乱せしや。
渦を巻き悲しみ飲みつつ天高く昇らん。
雷鳴止みて雲間より折し階。
この階昇るをゆるされあらなむ。
#140字小説 #掌編 #イラスト