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掌編小説

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2020年7月の記事一覧

雨の檻

雨の檻

 潮騒の音で目が覚めた。
 目覚めると、そこは海ではなく寝室だった。しかし、いまだに潮騒が聞こえる。ベッドから起き上がり、カーテンを開けると、鼠色の雲に覆われた街があった。窓ガラスにぶつかる雨粒は、鉄格子のように滑り落ちていく。
 潮騒ではなく雨の音だったと気づき、僕は現実の朝に引き戻される。せっかくの休日なのに、この雨では外に出る気にならない。もし晴れていたら、もし僕に翼があったら、もし僕の気持

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