ゆるぎ岩


 腕力にもよりますが、人が持ち上げられる石の重さには限界があります。
 それでも中には驚異的な腕力を誇る人もありますが、500キロぐらいが限度で1トンを越すともうびくともしません。
 ところが香川県板出市の常盤公園丘の頂上付近にある、ゆるぎ岩という巨石は少し 趣が違います。
 この公園は積み石塚と呼ばれる無数の小石を積み上げて築いた謎の古墳があること で知られていますが、このゆるぎ岩は、そこから歩いて10分ほどのところに集積する巨石郡の中にあるのです。
 大きさは長さ3メートル、幅1.2メートル、厚さ1メートル、そして推定重量は、約3.7トン、形は、ちょうどボートのような形で、それが別の巨石の上に横たわっています。
 このゆるぎ岩が不思議なのはそれほどの巨石であるにもかかわらず、その名が示す通りたった指一本の力で、上下にゆり動かすことができるのです。
 揺り動かすことができると言ってもグラグラと大きくかしげるわけではありませんで、わずか数センチほどゴトゴト音を立てて揺らぐだけです。でも動くことには変わりありません。
 このゆるぎ岩には信仰がありまして、それは、これを動かせば万病が治る、というもので、その傍らには地蔵が祀られております。

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