見出し画像

自戒

『自戒』


種を蒔いたなんて言わないで
あの日のわたしを消さないで


銀色テープが映し出す
まぶたの裏に映し出す
薄くて光るあの匂い

煌めくテープは憧れだった
手に取りふわりと踊り出す

わたしはいつでも何にもなれた

煌めくテープはすぐ捨てた
輝く瞳の裏側で
地面の下へ埋められた

枯れたテープは種となる
土も肥やさぬ種となる

タバコみたいなにおいがした


枯れてしまった地面の上で
取るに足らない涙を流す

私はそのさまで

種を蒔いたと言うべきだ
あの日のわたしを  _

煌めくテープは憧れだった

わたしを裁く議論の果てに
詰まるところは  _


あの日のわたしが得たものは
役には立たぬガラクタか

まぶたの裏が何かを告げる

枯れてしまった地面の上で
見えない何かが見えてくる

わたしはいつでも何にもなれた

想像力を手に入れた
私は今から飛び立たん