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雨傘

⁡今日は昼からずっと雨だった。
だから私は安心していた。
少し浮かれてもいたかも知れない。

⁡晴れた日に外出しないと抱く
あの罪悪感はなんだ。いや、
罪悪感と言うより、「損をしている」感。

⁡そんな不本意な「感」を綺麗さっぱり流してくれる。
雨はどこか、消極的な感情を許してくれる気がする。

⁡いつか、テクノロジーの発展で
傘を持たずして、濡れずに外を歩ける日が
来るのだろうか。

⁡雨の日に傘を差す人間を見るたび、
私はとても愛おしい気持ちになる。
こんなにテクノロジーが発展した世の中でも
手で持って自身を覆うというスタイルは
全く変わらない。
傘と格闘しながらスマホを触る姿は
全然スマートじゃない。

⁡自然と人間が共存している安堵を覚える。

⁡どうか、いつまでも
「傘」のスタイルは変わらないでいてほしいと
私は小さく願っている。

⁡…かく言う私は、
少し濡れるくらいなら傘は差さないのだけれど。「傘って面倒くさいなぁ」と思っているのだけれど。

⁡雨の日にドラえもんがいたら、
何かねだってしまうかも知れないな。
そうじゃないと「損をしている」感がするから。

⁡きっと雨は、そんな私にも、優しいんだろうな。