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河川敷読書ゴールデンタイム

 いよいよ夏の残り香も微弱になり、真昼に少し鼻を掠めるくらいになってきた。夏の暑さに体調を崩していた私ももう気候に悩まされることはなく、部屋の窓を開け外気を入れることで部屋も快適な環境になっている。
 昼間は夏日になる一方で夜は少し羽織りたくなるほど寒さがあり、しかしその寒暖差があるとはいえ、今は一番過ごしやすい気候であることは間違いなく、夏のように灼熱を覚悟しながら熱中症対策を考えなくても良いし、冬のように何枚も羽織って体に衣服の重みを背負って外出する必要もない。身軽な格好で、気の赴くまま外をぶらつくことができる貴重な気候だ。

 皮肉なことに、この気候は長続きせず、11月も近くなればいよいよ着込まなくてはならなくなる。一方で少し前までは30℃を超えて気軽に外には出られなかったのに。関東ではまだマシな方だが、私の地元・秋田では夏は暑いくせにこの快適な気候になる期間は本当に短く、涼しくなったかと思えばすぐ冬が到来し、11月の初雪への準備に取り掛かる。

 今のこの気候の中で何もしないことが勿体無い。だが今は経済的にも困窮しているのでどこか遊びに行くことも叶わない。そこで近くの河川敷で読書をすることにした。

 河川敷で読書をするには適切な時間帯がある。今は暖かい昼間が良いと思われるが、日差しがまだ強く、本の余白の白に太陽光が反射して目が眩んでしまう。かと言って日が暮れ始めると今度は寒くなってしまうし、秋分の日も過ぎれば日もあっという間に暮れてしまう。適切な時間は15時から17時あたりだろうか。私は集中力が持続するタイプでもないので2時間くらいがちょうど良い。

 肌寒く感じてくる17時近くに備えてカーディガンがあれば憂いなし。それに私は体脂肪が少なく、河川敷に腰を掛けた際に体を支えるおしりが痛くなりやすい。敷くためのタオルやクッションを持参した。

 ちなみに、今私が読んでいるのは遠藤周作の『沈黙』である。島原の乱が収束した後、イエスズ会の高名な司祭が日本で過酷な弾圧に苛まれ棄教したという報告を受けた弟子たちが、その真相を解明するためにローマから日本へ向かう話だ。まだ前半しか読んでいないのでこの程度のあらすじしか書けないが……。

 夏は家では気怠くなってしまうし、カフェに行こうにもいちいちお金がかかる。外で何かをするなんて以っての他だ。だが今は外で何かをすると快適だ。この季節を有効的に利用したい。

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