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 こんな短い六文字の中に矛盾が生じている。
 私の好きなものだ。

 詳しくは苦味系スイーツと言うべきだろうか。スイーツという括りの中でも原料が苦いものとして定義しておこう。挙げるとすれば、抹茶やほうじ茶などのお茶系や、カカオ、コーヒーなどがある。近年は抹茶スイーツがブームとなり、チョコレートでも高カカオのものが小売店などに出てきた。

 味としてもちろん好きなのもあるが、この『スイーツ=甘い』の枠を超えて苦いものまでスイーツと呼ばれることが、辞書の意味に囚われず、ファンダメンタリズムを超越しているようで小気味よい。

 しかし本音は、ただ甘いスイーツばかりでは口が疲れてしまうから苦味系スイーツを好きになっている、というだけのこと。ショートケーキのような甘い×甘いを構成するスイーツも嫌いではない。むしろ好きだ。しかし継続的に食べるなら苦味系でなくてはいけない。そもそもスイーツなんて日常的に食べるものではないから、疲れるくらいが丁度良いのかもしれないが……。苦味系スイーツだって相当量の糖分は含まれているし。私だって苦味系スイーツを作ったことがあるが、やはり砂糖やバターなどを大量に投入している。そんな中でも、結局テイストは苦いのでスイーツを食べているという罪悪感が軽減され、継続的に食べることができてしまうが、それこそ身体に毒なのでは、とも考える。
 でも好きなものは好きなんだからしょうがないよね。

 高校生の時から特に抹茶スイーツが好きで、修学旅行で関西に言った際は一日かけて抹茶スイーツを巡ったものだ。大学で上京した時も、東京の有名な抹茶スイーツの店を制覇しようと、インスタグラムで食べた抹茶スイーツを投稿するアカウントまで開設した。

 恋愛モノのJーPOPにはお菓子をモチーフにして歌詞を書かれることが多い。歌謡曲に留まらず、小説やドラマ、アニメなどのフィクションでも用いられるだろう。恋はスイーツ。甘くて切ない。いやいや、イチゴのショートケーキに切なさはあるのだろうか? やはりここは甘さもありつつ苦味のある苦味系スイーツの方が切なさを表現するのに適当なのではないか?
 恋はスイーツなのではない。恋は苦いスイーツなのだ。コーヒープリンなのだ。抹茶ティラミスなのだ。ほうじ茶ソフトなのだ。ガトーショコラなのだ。
 あー食べたい。

 ここからは日記です。
 今日は彼女と東京・渋谷にある『ななや 青山店』に訪問。3つの味のジェラートを味わった。ほうじ茶、藤枝ハイボール、そして藤枝抹茶のNo.7。ななやの抹茶ジェラートは7段階に苦さを選べるようになっていて、特に一番苦いNo.7は、『世界一濃い抹茶ジェラート』とのこと。
 もともと表参道の抹茶スイーツ店に行こうと思ったものの、あまりに混んでいて、私も彼女も辟易し他を当たった。他の店を当たっても混雑しているか、コロナの影響で休業——暑い中歩き、くたくたになりながら『ななや』に辿り着いた。ちょうど空いていて、冷たいジェラートと共に快適な時間を過ごすことができた。

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