あえて飲まない

　ある都合からアルバイトをやめて、親からの仕送りの補填を政府から齎された10万円に頼っていた。しかしそれも底をつき、いよいよ口座の残高に目を当てることが苦しくなってきた。

　アルバイトをしていた時は日本酒の４合瓶を毎週１本買い、一週間かけて飲み干していた。しかしアルバイトもなくなれば毎週1500〜2000円するお酒を買おうとする気にもなれない。
　日本酒はアルコール飲料の中で最も好きな種類であり、他のお酒も抵抗なく飲めるが、しかし私の稼げるアルバイト代でお酒を買うには限度があるので日本酒に費やそうと思っていた。ヲタクという人種が他のどんなものにも自分の財産を使わず好きなことにしか貢がないように、私はお酒の中でも日本酒業界に微力ながら貢献しようと思っていた。しかしそれもできない状態に陥っていたのだ。

　それからはスーパーで買える生ビールか安いウィスキーにとどめていた。かれこれ数ヶ月はしっぽり日本酒を飲んでいない。

　たまに買って飲めば良かったのだが、お酒を最近飲まなかった理由が他にもある。というのも、最近まで猛暑の中で陸上の練習をし、軽度な熱中症を繰り返して内臓が疲弊していると実感していたからだ。すぐに息が上がってしまうし、朝起きた時のだるさ、練習の質がどんどん下がっていく状態を看過できなかった。その状態でお酒を飲むことで、肝臓をはじめとする内臓にまた負荷をかけてしまうので泣きっ面に蜂というものだ。

　最近は涼しくなってきた。（例外、今日はまた暑さが振り返してきたが。）
　新しくアルバイトも再開できるし、部活も引退する頃合いなので、また日本酒を飲んでみたいところだ。ひやおろしの季節だ。春に搾り秋まで熟成された蜜を啜った時の美味さを想像したら、よだれが出そう。やっぱ日本酒が一番だと思うだろうか。

　だが最近は体の疲労と、しばらく飲んでいないという理由からすぐ酔ってしまいそうだ。それはそれで出費が抑えられるので悪いことではない。