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 陸上日本インカレの800mに出場してきた。
 自分は高校の時のタイムよりも遅くなり、敢えなく予選落ちだった。

 今日は決勝のレースをネットで見て自分との実力差に愕然とし、決勝に駒を進めるだけの力がないことを痛感させられた。

 自己ベストは大学1年時に出した1分50秒94。今の練習のレベルからしても、このタイムは軽く超えることはできるはずなのに、やはりうまくいかない。

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 大学3年の秋からオリンピアンの方がコーチに就き、練習メニューから走り方、補強、ウエイトまであらゆることを教えてもらい、自分の走りを矯正していった。その結果、速いペースの走りが余裕に感じられて、走り込みも十分にできたのと相まって過去最高の仕上がりになってきていた。

 3月末までは。

 コロナで部活動がなくなり、競技場がどこも閉鎖されてずっと河川敷で練習した。それでも十分に走り込みをできたし、スピード練も継続してきた。
 河川敷をガーミンのGPSを用いて距離を計測し、そこでレペテーションを行ったが、やはり実際の距離よりは短くなってしまうもので、そこでスピードの感覚が狂った。

 初夏に入り、部活がなかなか再開しない中で外部の競技場で個人練習することが許された。自分の走る力感と実際のタイムが噛み合っていないところに焦りを感じたが、それはインカレ前に払拭できた。

 それよりも私がより苦戦したのは、夏の暑さだった。

  今年は、ちょうど暑さがピークに達する時期に部活が再開されたが、競技場の利用時間が制限され、昼間の一番暑い時間帯に練習することを余儀なくされたのだ。

  例年なら、真夏は高地の涼しいところで合宿して走り込み、終わった後はインカレギリギリまで地元で走った。地元も昼間は暑いが朝夜はだいぶ涼しいので走りこむには最適だった。暑さに翻弄されることなく練習に打ち込むことができた。しかし、今年は大学側から合宿の禁止、そして自治体から「帰省を控えるように」とのお達しが。

 ジョグでは遅いペースで走っていてもすぐに息が上がるし、それを繰り返すことによって内臓疲労も起こした。誰よりも汗かきですぐ脱水症状になってしまうので、給水していても間に合わない。白タオルを頭に巻いたり、全身冷水を浴びたりしてもすぐに体に熱が籠ってしまう。スピード練習でもすぐ息が上がるようになり、練習の目的がいつしか『暑さに耐えること』のみになっていった。休んでも疲労は抜けず、オフ日は過ぎて、またメニューに取り組む——といった流れになっていた。

 そんな苦しい中でも成果はあった。スピードはどんどん上がっていき、150m、200m、600mでそれぞれ自己最高のタイムで走れた。

 だが、本番、直前にそれだけ走れただけでは800mで闘えないことに気付かされた。
 当然だ。
 スピードだけ速いなら短距離選手になれるし、持久力だけあるなら長距離選手になれば良い。
 試合よりも少ない距離を走るなら、試合よりも速いペースで走る必要がある。
 試合より遅いペースで走るなら、試合よりも長い距離、または回数を増やして走らなくてはならない。
 私には後者が圧倒的に足りていなかったのだ。

 これから涼しい季節になってくる。これを言い訳にせず走り込み、早いうちに納得のいく結果を出していきたい。 



 

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