あまやどり

生きるしかないじゃん。

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生きるしかないじゃん。

記事一覧

いつかのっとかむ 不確かな輪郭をなぞる

この作品は「いつか」の不在から始まる。 ここ、元映画館で、新作映画の試写会が開かれるのだが、肝心の監督がいないのである。 無理矢理に始まった試写会は、黒澤なぎさ…

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犠牲と補正 『お守り』のもらえない日本で、

日野さんの舞台は今までも感情をぐらぐらと揺らし、深く人生について考えさせられるものだった。 最初は湯木慧さんというアーティストの作った曲が使われるからという理由…

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忘却と記憶の狭間で-深居優治東京2days-

深居優治 11月5日 レテの救済  11月6日 ムネモシュネに溺れて 東京での2夜を観て遅ればせながら。 11月5日 レテの救済 レテは黄泉の国にある川の名で川の水を飲ん…

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マリンスノー -ヒュプノスの子供たちに寄せて-

あなたはマリンスノーがなにか知っているだろうか。 まあ、それはいいんだ。 要するに深居さんの音楽はそういうものなんだ。 知らなくても生活はできる。 でも、知って…

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愛も苦しみをも含む選択を。

湯木慧 『選択』横浜1000CLUB 心の防護服である音楽を湯木さんは届けたいとそう言っていた。 Vo.Gt湯木慧 Cho. 楠美月 Pf.ベントラーカオル Perc.ヒロシ という編…

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わかりあえないまま暗闇を分かち合っていたい-シノエフヒ 光の機械 に寄せて-

この世界の、認知の最小単位はなんだろう。 ひとりで抱えたその悩みは誰のものだろう。 ノクターンから改名し、シノエフヒがリリースした光の機械。 この楽曲は共に墜ち…

超えていくのさ残酷な世界を

小さい頃、押し入れに隠れたことがあるだろうか あの時、襖の隙間から漏れる淡い色の けれど、確かな光 その先にほのかに優しい匂いがする。 そんなライブでした。 入…

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人生に主題歌など無い。

点描の一点にも満たない人生に主題歌など無い。 なら、歌を愛する意味とは? そんな話何百回、何千、何億回も繰り返しても、 誰も答えてくれないさ。 だって答えなんて…

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僕らの季節を耕し続ける

ブレもぼやけも後でわかればいい そうやって僕らは何度も日常を繰り返していく。 あぁ、間違ったなぁってあとでこっぴどく打ちのめされて。 言葉を間違えて、新しい言葉…

生きる、それは影響するということ。-電飾越しの郷愁に寄せて。-

ノクターン、電飾越しの郷愁リリース企画『白色の記憶vol.2』を観てきました。 端的に言えば、ノクターンという2人がここにいることの何よりもの証明だったのだろうと。 …

世界は歪に、それでいて美しく繋がりたがっている-ノクターン ジェネバ機構-

ジェネバ機構(ジェネバきこう、Geneva drive、Maltese cross)は、連続回転運動を断続回転に変換する機構である。Wikipedia より 誰しも生まれながらに、誰かに影響を与…

いつかのっとかむ 不確かな輪郭をなぞる

いつかのっとかむ 不確かな輪郭をなぞる

この作品は「いつか」の不在から始まる。

ここ、元映画館で、新作映画の試写会が開かれるのだが、肝心の監督がいないのである。

無理矢理に始まった試写会は、黒澤なぎさの持つPCの不具合により映像が止まり発煙。

PCを奥に持っていき水を流す音。

消火はしたが、下水に流れていった記録、記憶。

それをきっかけにして、転換。

それぞれの過去が明らかになっていく。

元映画館のパワハラ炎上事件や、そこ

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犠牲と補正 『お守り』のもらえない日本で、

日野さんの舞台は今までも感情をぐらぐらと揺らし、深く人生について考えさせられるものだった。

最初は湯木慧さんというアーティストの作った曲が使われるからという理由だけで観に行ったに等しいのだが、彼の抉るような社会の描写に引き込まれていった。

今回、更に舞台へ僕自身を深く沈ませたのは、ALS嘱託殺人というショッキングな事件を、リアルタイムで知っていたことや心身の不自由さを抱えるひとの近くに僕がいる

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忘却と記憶の狭間で-深居優治東京2days-

深居優治

11月5日 レテの救済 

11月6日 ムネモシュネに溺れて

東京での2夜を観て遅ればせながら。

11月5日 レテの救済

レテは黄泉の国にある川の名で川の水を飲んだ者は完璧な忘却を体験する。

この日を通して感じた印象は、密度の濃い重い鉛のようなそれでいて静謐な物体が心の底の方に溜まっていく感覚。

それはとても秘密にしておきたい感情だった。

最後の船の何語ともつかない言葉の羅

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マリンスノー -ヒュプノスの子供たちに寄せて-

あなたはマリンスノーがなにか知っているだろうか。

まあ、それはいいんだ。

要するに深居さんの音楽はそういうものなんだ。

知らなくても生活はできる。

でも、知っていると生活が豊かになる。ずっと深くまで潜っていける。

最初に聴いてから文字に起こすまでなんでこんなに時間を要したかって聴くまでの心のありように最近ならなかったんだ。

でも、いまふっとウォークマンに電源を入れて聴きはじめたらすっと

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愛も苦しみをも含む選択を。



湯木慧 『選択』横浜1000CLUB

心の防護服である音楽を湯木さんは届けたいとそう言っていた。

Vo.Gt湯木慧 Cho. 楠美月 Pf.ベントラーカオル Perc.ヒロシ

という編成で行われた今ライブ。

アレンジはもちろん随所に音楽的に魅力的な要素が散りばめられた演奏だった。

会場はコロナウイルス感染防止のため1000人というキャパシティを200人かつ着席にしての公演。

開演前

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わかりあえないまま暗闇を分かち合っていたい-シノエフヒ 光の機械 に寄せて-

この世界の、認知の最小単位はなんだろう。

ひとりで抱えたその悩みは誰のものだろう。

ノクターンから改名し、シノエフヒがリリースした光の機械。

この楽曲は共に墜ちていく物語だと感じた。

『僕たちは光の機械の外側の存在だってこと。』

僕にとって、あなたにとっての光の機械とはなんだろうか。

月が太陽に照らされ光るように照らしてくれる存在、概念、、、

その意味を問いかける楽曲なのではないだろ

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超えていくのさ残酷な世界を

超えていくのさ残酷な世界を

小さい頃、押し入れに隠れたことがあるだろうか

あの時、襖の隙間から漏れる淡い色の

けれど、確かな光

その先にほのかに優しい匂いがする。

そんなライブでした。

入場SE流れ始めてから前半ずっと泣いてた。

フェイスガードがあってめちゃめちゃに曇って

ほとんど照明しか見えてなかったけど

たしかにそこにひとがいて。

そして、空気を伝って音が聴こえるってことが

こんなにも嬉しいことだなん

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人生に主題歌など無い。

点描の一点にも満たない人生に主題歌など無い。

なら、歌を愛する意味とは?

そんな話何百回、何千、何億回も繰り返しても、

誰も答えてくれないさ。

だって答えなんてないもの、元から。

空っぽの僕に少しでも意味を注いでくれる、それが音楽なんだ。

それだけだよ。

僕らの季節を耕し続ける

ブレもぼやけも後でわかればいい

そうやって僕らは何度も日常を繰り返していく。

あぁ、間違ったなぁってあとでこっぴどく打ちのめされて。

言葉を間違えて、新しい言葉を覚えて。

耕して、耕して。

それがさ、あとになって宝石みたいな花になってくれたらどれだけ救われるだろうね。

さユりさんの言葉は日常に沿ってでも、言葉の組み合わせが絶妙なんだって改めて感じた。

僕ら”は“季節を耕し続ける

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生きる、それは影響するということ。-電飾越しの郷愁に寄せて。-

ノクターン、電飾越しの郷愁リリース企画『白色の記憶vol.2』を観てきました。

端的に言えば、ノクターンという2人がここにいることの何よりもの証明だったのだろうと。

今回のリリースに特に大きな意味を持っているのがジェネバ機構という楽曲。

これは僕の解釈が間違っていなければこの世界に於けるひととひととの関わり合いをジェネバ機構という、円運動を断続運動に変換する仕組みで例えているのである。

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世界は歪に、それでいて美しく繋がりたがっている-ノクターン ジェネバ機構-

ジェネバ機構(ジェネバきこう、Geneva drive、Maltese cross)は、連続回転運動を断続回転に変換する機構である。Wikipedia より

誰しも生まれながらに、誰かに影響を与えている。

その良し悪しはともかくとして誰にも影響を与えずに死んでいく命はない。

ノクターン ジェネバ機構はそんなひとりのひとの想いを綴った曲だと感じた。

恋ではない。それは”音楽”に対する嫉妬であ

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