「うつ病」の休職者は「なぜ?」増加したのか
みなさんこんにちは。
林海渡(はやし あまと)です。
今回の題材を取扱うかについて、少し悩みましたが
『自身の仕事で扱う分野であること』『日本を含めた世界的な問題であること』の理由から、自分の頭の中の整理も兼ねて綴っていきます。
▼こういった方に読んで頂きたい▼
・会社を経営されている方
・企業の管理職や、チームの責任者
・人事総務関連の仕事をされている方
あくまでも自分なりの考え(主観)となりますので
その点を踏まえて、読んで頂けると幸いです。
① 私の仕事について
まず本題に入る前に、簡単に私の仕事についてお話しさせて頂きます。
私の仕事の1つは
「各企業(クライアント)で発生した休職者のご支援をすること」
ここで言う休職者とは産休や育休、そして病気や怪我で休職される方です。
従業員が休職された場合の生活の支援
企業と休職者の架け橋となるような支援
休職者の方が職場に復帰しやすいような施策を構築する支援
このようなサービスを提案しており、コンサルに近い仕事です。
よって仕事柄、病気や怪我、とりわけ精神疾患でお休みされる方、そういった事象に多く関わります。そのことから、普段から精神疾患(うつ病)について考えさせられることが多いです。
② 「精神疾患=うつ病」ではない
そもそも精神疾患とはどういった病気なのか?
厚生労働省のHPには下記のとおり記載されております。
私は精神疾患=うつ病だと、初めは思い込んでいましたが、このようにアルコール依存症を含め、あらゆる病気を含めて「精神疾患」と定義されています。
そしてこの記事では「うつ病」に焦点を当てて話していきます。
③ うつ病患者数の変異
では、うつ病の患者数はどのように変異をしているか?
多くの方は「増加している」と思われるかと思いますが、実際にその通りであり、患者数は下記の表の通り、年々増加しております
また、単純に増加しているだけでなく、日本の労働人口は年々減少していることから、うつ病に罹患する割合も年々高くなっております。今では100人に約2人がうつ病に罹患する割合となっております。
更にもう一点、うつ病についてはよく「最近の若者はメンタルが弱い」と思い込み、うつ病とは若い方が発症する病気だと思い込んでいる方も一定数いらっしゃる(僕も初めはそうでした)かと思いますが、実際は30代〜50代での方が患者数は多くなっております。ここは私にとって驚きのポイントでした。
では、なぜこのようにうつ病の患者数が増加したか、私なりの考えを綴っていきたいと思います。
④ うつ病の患者数が増加している理由
1. うつ病の一般化
まず一つ目は「一般化」です。
そもそも、戦後〜バブル崩壊までの1900年代の後半では「うつ病」という病気は今ほど一般的でなく、当時の病気といえば癌や脳卒中、心筋梗塞の三大疾病や、結核等の、身体的に起きる病気が一般的でした。
よって、これは私の予想ですが、当時、うつ病を発症している人がいたとしても、自身も周りも、それを病気として認識しておらず、病院に診察に行かなかった方が多くいらっしゃたのだと思います。
それが、2000年以降、「こころの風邪」と言われるように、世間一般的にうつ病という病気が広まり、そして社会的課題となり、晴れない気持ちや、不安な気持ち、また眠れない夜が続いたりすると、自身も周囲も、それはうつ病の可能性があると考え、そこから病院に診察に行き、うつ病と診断される方が多くなった。
つまり、1900年代後半の人の中にも、診察をしていないだけで、うつ病と闘いながら働かれていた方、生活されていた方は多くいらっしゃたかと思います。
2. テクノロジーの発達に人間の脳が追いついていない
二つ目はテクノロジーの発達です。
テクノロジーが発達した現在、人間の脳が、その情報処理に追いついてない、もしくはショートしてしまっていると私は考えております。
1995年以降、インターネットが社会に普及し、人間は仕事でも、生活でも短時間で多くの情報に触れるようになりました。
携帯電話が日本でも普及しだした2000年代、回線は3Gでした。今ではは回線は5Gとなっており、通信速度は3Gの1,000倍以上です。
つまり、この20年間の間に、同じ時間単位で約1,000倍もの情報が人間の脳に流れ込むような社会になったのです。(これは誇張して言いすぎているかと思いますが、20年前と比べ、圧倒的に多くの情報がインプットされ、そして処理する必要が出てきたことは間違い無いかと思います。)
一方、人間の脳はどうか?
個人差はあるものの、人間の脳はこの100年でも大きく構造は変わっていないと言われています。
20年前のPCを今購入する人はいないですよね?それは、20年前のPCでは現在の情報を処理できる能力がないからです。もし20年前のPCで現在のインターネットを使用(動画の視聴等)すると、動きが遅すぎるか、もしくは焼き切れてショートしてしまいます。
これと同じように100年前と構造の変わらない人間の脳というハードウェアに、この20年で加速度的に発達したテクノロジーという刺激を与えると、その情報を処理できずに、動きが遅くなる(健康に動けなくなる)、ショートする(倒れる、身体が硬直する)という事象が起きても普通ではないでしょうか?
テクノロジーの発達の弊害、これが二つ目の理由だと思います。
3. 人間の欲求
三つ目の理由は社会の豊かさと反比例して減少した人間の欲求です
アメリカの心理学者であったアブラハム・マズローは人間には5つの段階の欲求があると定義しました。(通称:マズローの欲求5段階)
これは、人は生まれながらにして生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求の順で欲求を充足していくという考え方です。
分かりやすく言いますと、例えば今日食べる食べ物がなく、お腹が空いて死にそうな場合、まず本能的な欲求である「食欲」が自分の頭の中を占めると思います。(生理的欲求)
今日食べるものが見つかり、腹が満たされた場合、次に思うことが、明日も食べ物を得たい、明日と言わず1週間後、1ヶ月後、1年後も安全に食欲を満たせる状態でありたいという欲求が芽生えます。(安全の欲求)
そして、その欲求を満たした次は、1人でなく誰かと一緒に楽しみながら食事をしたいという社会的欲求が芽生えます。(1人でご飯を食べるのが好き!という方もいるかと思いますが、現代では1人で食事をしていても、ネットで友人と連絡をとりあったり、SNSを見たりなど、殆どの人が社会と繋がっていると思います)
では、社会的欲求が満たされると、次は美味しいご飯屋さんを紹介したり、もしくは友人にご馳走したり、そうして得られる相手からの感謝により承認欲求を満たしていきます。
最後に承認欲求が満たされると。承認されることは一旦は横に置き、世界中で飢餓者が発生しないような活動をしよう!やボランティア活動をしよう!などの自己実現良級が芽生えてきます。
私はこの段階を上げていくことが、人間にとっての動力となっているかと思います。
そしてポイントとなるのが安全の欲求以下と、社会的欲求以上では物質的な欲求と、精神的な欲求という違いがあることです。
現在では、賃金が安い等の問題はある中、贅沢をしなければ殆どの人は安全の欲求以下は満たされているかと思います。
安全で安い食べ物や衣服が手に入りますし、住むところも汚いなどはあったとしても生死が危うい場所に住むことは殆どありません。
よって、この豊かな現代では精神的な欲求をエネルギーに段階を上へと上げていく必要があります。
ただ、この精神的な欲求や、成長欲求は待っていても得られるものではなく、主体的に考える必要があります。
これは僕の経験則ですが、自分の周りでお金に困っている人に、うつ病の方はあまりいません。彼らは生理的欲求を満たすために、また安全の欲求を満たすために、それは自分の意思とは違い本能的に活動をしています。本能的だから主体的にならなくとも、芽生えてくる欲求(エネルギー)です。
現代の私達のエネルギーの殆どは精神的欲求です。
この精神的欲求をコントロールできなければ、エネルギーがない状態=無力感につながり、うつ病に繋がりやすくなると私は考えています。
④ 最後に
ここまで読んで頂きありがとうございます。
以上が私なりに考える、うつ病患者数の増加の要因です。
では、最後にどのようにして、自分自身、家族、部下、従業員が
うつ病になることを防ぐかについて、私なりの解決策を綴ります。
・デジタルデトックスを行う
・定期的に自分の目標と目的意識を考える時間を作る
・生産的な考えの人と一緒にいる、そういった組織を作る
・家族、会社以外のコミュニティーを見つける
それぞれの解決策の内容は、どこかでまた記事にさせて頂ければと思います。
今回の記事を通じ、何かしら皆様のお役に立てていれば嬉しいです。
Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life.
時間は限られている。だから他人の人生を生きるような、時間を無駄にしてはいけない。
By スティーブ・・ジョブズ
今日も皆様にとって素敵な1日を
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