[agariパフェ日記 vol.6] 今年もこの季節がやってきた「とうもろこしのパフェ」
とうとう今年も始まりました、agariのとうもろこしパフェ。
初登場した2022年の夏から数えて、今年で3回目。
今やagariの一番人気と言っても過言ではない。
もともとこのパフェが生まれたきっかけはというと。
2021年の夏、ジョナさんが目白にある和菓子屋さんのとうもろこしかき氷にハマったこと。
自分が食べたくては行き。友だちに食べたいと言われては連れて行き。
休みの日はほぼ目白にいるんじゃないかというほど、毎週とうもろこしのかき氷を食べていた。
その翌年
「今年の夏は とうもろこしのパフェを作りたいんだけど、どう思う?」
「なにそれ、最高」
こんな会話をしたのを覚えている。
とはいえ、ここまでとうもろこし尽くしになるとは思っていなかったけど。
初代と二代目を見てみると
agariでは、同じフルーツでも構成が過去と同じになることはまずない。
でも、大好評のとうもろこしに限っては昨年と同じ構成でご提供。2022年の初代から翌年にはマイナーチェンジが加わり、現在は二代目になる。
ビジュアルに関しては初代も二代目もほぼ同じ。
違うのは、写真ではわかりづらいけれど底にあるゼリーの色。
初代ゼリーはほうじ茶だけど、二代目からはとうもろこしのひげ茶。濃い茶色から薄めの茶色へと変化した。
ほうじ茶もとても美味しかった。でも、ひげ茶はとうもろこし特有の柔らかい香ばしさと甘みもあって、初代以上に味に統一感が出た気がする。
醤油あんクリーム、とんがりクッキー
ひととおりビジュアルを愛でたら食べていきましょう。
まずは生クリームをひとすくいして味見する。
「あー、これこれ」と懐かしくなるのは、砂糖とお醤油の甘じょっぱい味が日本人の舌になじんでいるからだろうか。
白餡ベースで醤油あんを作り、それを生クリームと合わせるのでとてもコクがある。
口溶けなめらかで、あぁ最高。
天に向かってとんがっている、とうもろこし粉とココナッツのビーガンクッキー。
あれ、こんなに美味しかったっけ…。
さっくりした食感も、甘さと塩みのバランスも、口に残る後味も。最初から最後まで美味しい。
配合を変えたのか、クッキーの厚みが変わったのか?はたまた私の感じ方の問題か?
もはや何でもいいか。このクッキーをこんなに美味しいと感じられる今が幸せ。
思い出の焼きとうもろこし
クッキーたちに守られるかのように鎮座する、焼きとうもろこし様。
炙られた焦げ目の縞模様すら、かわいくて尊い。
一旦蒸してあるのでシャキシャキしていて瑞々しい。てんさい糖をつけて炙った後にお醤油を塗っているので、芳醇で香ばしい。
このパフェを作りあげていくときにジョナさんがイメージしたのは、昔食べた焼きとうもろこし。
熊本出身のジョナさんは、夏休みになるとご両親が阿蘇に連れて行ってくれてとうもろこしを食べたのだとか。
それを聞いて改めてパフェのビジュアルを見返すと。
3枚のクッキーに守られている焼きとうもろこしが、家族の心にしまってある大切な思い出みたいに見えてくる。
だんだん私の心の中にある原風景とも重なって、遠い昔の記憶も 目の前の焼きとうもろこしも丁寧に噛みしめたくなった。
やっぱり食べ物はすごい。
作った人の想いと自分の思い出が共鳴すると、もっと大切に食べたくなるし、もっと美味しく感じられる。
これが顔の見える人が作ったものをいただく醍醐味なのかなぁと思ったりもした。
もしやこれが人気の秘密か
美しい筋の入った生クリームの中には黄金色のアイスが隠れていらっしゃる。
これがまた、余計なものをとことん省いた、まんまとうもろこし。
このアイスを “とうもろこしと合う何か” にせず、あえて真正面から “とうもろこし” にしたこと。
その潔さが、このパフェを今の地位に押し上げたのではないかとひそかに思っている。
ここで登場するアイスのひんやり感に意識がスッと持っていかれる。そこに意識が集中した瞬間から、スイーツとして完成されたとうもろこしがじわじわと味わいを広げる。
こうなってくると、様々な角度からアプローチしてくるとうもろこし様の底力を感じざるを得ない。
このパフェにおける要パーツと見て、間違いないのではなかろうか。
他にもパウンドケーキやクランブル、メープルココナッツのローストまでも、とうもろこし粉やひげなどが活用されていて、もはやとうもろこしが使われていないパーツを見つけるほうが難しい。
このパフェは「とうもろこしとその仲間たち」ではない、「とうもろこし」なのだ。
変化したキャラメルナッツと追いもろこし
そんな中 存在感を発揮するのがキャラメルナッツ。
初代はヘーゼルナッツだったのが、二代目からはマカダミアになっている。
見た目はほぼ変わらないけれど、マカダミアのほうが癖がなく食感も軽い。おかげで、ナッツに絡めたキャラメルのほろ苦さがしっかり感じられる。
異なる食感が良いアクセントになることもあるけれど、ここでは軽くてしっとりした食感のマカダミアのほうが他のパーツともなじんで、流れを止めずに味わうことができる気がした。
写真には載っていないけど、とうもろこし・牛乳・塩だけで作った冷製コーンスープも添えられる。
途中でとうもろこし感をプラスしたくなったら、好きなタイミングで とろとろとろっと流し込む。
パウンドに染み込ませても、蒸しとうもろこしにかけても、ゼリーと絡めても、どれでも美味しい。
追いもろこしの極み。
美味しい連鎖よ、どこまでも
初登場時は「パフェにとうもろこし…?」と、期待の声も不安な言葉もどちらも聞こえた。
でも、agariのパフェならと信じてくださった常連さんが食べてくれて、そこからどんどん輪が広がって。
このパフェをきっかけにagariを知ってくださるお客様も多く、あれよあれよとagariを代表するパフェになった。
ジョナさんが心から惚れ込んだものに感化され、それを自分なりの形で表現して。それが多くの人の心に届いて喜んでもらえるのは本当にすごいこと。
もしそんなagariのパフェに影響を受けた誰かがいたとして。その人が自分なりの表現をして、それがまた多くの人に喜んでもらえたら、そんな素敵なことはない。
皆が互いに感化されて美味しい連鎖が続いていったら、それこそ幸せの輪がどんどん広がることになるのかな、と私は思う。
このとうもろこしパフェ。
1人の心に宿った灯火に端を発し、お客様に愛され育てられ支えられて、揺るぎない人気を得ていった。
そんな壮大なストーリーを間近で見せてくれた存在。
初代以来の方はさらに美味しくなった味わいを、
去年食べた方はあの感動をもう一度、
初めての方はこの夏のときめきを、
是非ご堪能くださいね。
[Photo : Masayuki Nakano]
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