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【漫画原作】アクトライズ【第1話】

-嘘は演劇の始まり-

東和高校1年 成宮みらい は嘘つきだ。
学年首席、運動神経抜群、容姿端麗。数々の生徒を魅了する彼女。だけど本当は努力で自分を偽ってきただけ。そんな彼女はとあるきっかけで半ば強引に演劇部に入ることに。廃部寸前?!役者0人?!前途多難な演劇部だが唯一の先輩 進藤武絃(むげん) の脚本に触れ彼女の世界は大きく変わることに…。
嘘から始まる青春劇の幕が今、上がる_
(あらすじ187文字)

主要登場人物 
成宮 みらい (なるみや みらい)
東和高校1年生。学年首席、運動神経抜群、容姿端麗。非の打ち所がない才女のように見えるが「普通」の自分を偽ってきただけ。そんな彼女は野望である“誰もが羨む世界一の女“になるべく今日も愛嬌を振りまく。
部活動紹介の際、演劇部員である進藤 武絃に名指しで勧誘され半ば強引に演劇部員となる。

進藤 武絃 (しんどう むげん)
東和高校2年生。廃部寸前の演劇部に所属している男子学生。儚い顔立ちだが声がでかい。おまけに口調もかなり癖がある。みらい曰く黙っていればモテるタイプ。
しかし文才においては圧倒的実力の持ち主。
自身の作品を完璧に演じられる人間を探していた所、成宮を見つけ彼女を演劇部へ勧誘する。

追記
ネーム描けます。少女漫画誌投稿経験有です。

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本文

『嘘つきは泥棒の始まりといいますが』

体育館に響く声。教壇に立っている男が何か大声で喋っている。その様子を青ざめた顔で傍観する少女。

『私はとんでもないステージ-始まり-に立たされているのかもしれません。』

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4月 桜が舞う東和高校にて。
ザワザワする1年廊下。
張り出されているのは入学早々に行われた新入生テストの結果だ。

男子生徒A「ねぇ、見て」
男子生徒B「なに?」
男子生徒A「ほら1位んとこ」
男子生徒B「すげぇな成宮さん」
男子生徒A「さすが学年首席」
男子生徒B「お?噂をすれば」

とある女子生徒。
凛としたその顔、艶のある茶髪をふたつに結び華麗に翻す。
その姿はまさに可憐に咲く花そのもの。

男子生徒A「成宮 みらい。成績も良くて運動もできる。おまけに可愛いと来た。」
男子生徒B「ほんと非の打ち所がないまさに完璧そのもの」

みらいと呼ばれた少女は男子生徒に気がつきニコッと軽く微笑む。思わず頬が赤く染る。

生徒A「いま、僕の方見たよね…?」
生徒B「いや!おれだって!」

男子生徒フェードアウト
廊下を通り抜けようとしたみらいにとある女子生徒が近づく。

女子生徒A「成宮さんおはよー!入学早々1位とか凄いよ!」
みらい「おはよー!」
女子生徒B「さすが成宮さん!なにか特別なことしたの?」
みらい「えへへありがとう。予習復習しっかりしただけだよ。」

みらいは手を横に振る。

女子生徒A「そういえば昨日駅前のクレープ新作出たんだけどよかったら一緒に行かな…」
みらい「ごめーん!今日用事あるんだ!また誘って!」

いじらしく眉を下げる少女。そしてその場を後にする。その様子を目撃した生徒たちはヒソヒソと話し始める。

生徒「…ほんと成宮さんって完璧だよね…」
生徒「話しかけてみても割と気さくだし…」
生徒「それでいて上品なところもあるんだよね~」
生徒「きっと習い事や海外で学んだんだよ!素敵すぎる〜」

そんな小声が聞こえる中みらいは顔ひとつ変えずに廊下を通り過ぎた。

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みらい動線 1年廊下→人気のない廊下

みらい「…ふぅ。ここなら大丈夫かな。」

一息つく。そして…

みらい「よっしゃあああ!!

少女は大きく息を吸い込みできるだけ小さな声で喜びを噛み締める。思わず小躍りなんてしてしまう。わっしょいしょい。

みらい「徹夜で英単語、英文法を叩き込んで、苦手な計算式復習してなんとか1位…ほんとギリギリだったわ」

思わず目のくまが戻ってしまう。危ない危ない。
改めて気を引き締める。血行の悪さは乙女の大敵。
そう、私は常に完璧でなくてはいけない!

私は成宮みらい。東和高校に入学したばかり。
入試では学年首席、この前の新入生テストも何とか1位。体力テストも女子1位。自分で言うのもなんだけど男女ともに向けられる目線が熱い。
まぁ、これらも全部計算通り
今度は思わず口元が緩んでしまう。おっとっと。
苦手な勉強も1日10時間こなし、毎朝5キロのランニング…!もちろんセルフケアも忘れずに…!もちろん睡眠、放課後。削れる時間全部使ってね。
そう、全ては夢である”誰もが羨む世界一の女”になるために必要なこと…!
放課後クレープ?海外旅行?ないない!
誰もが憧れる高嶺の花。そんな世界一の女になるためにはただ1つ。
それは完璧になるための努力
何も取り柄のない弱い自分を封じ込めて強者を、隙を誰にも見せない完璧な人間になる。そのために足りないものは全て叩き込む!たとえそれが偽りの自分になろうとしても。
人に弱みを見せることは世界一の女にはふさわしくない。だからこそ常に誇らしくあるのみだ。

はっ!いけないいけない。少し気を緩みすぎてしまった。もしかしたら誰かが見てるかも。(キョロキョロする)

みらい「あ、今日か」
           「部活動紹介」
廊下の掲示板に貼られている部活動紹介のチラシ

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みらい動線 廊下→体育館

部活動か…。正直そこまでよく考えてなかったな…。
中学の時は帰宅部だったし…。この学校、生徒会は部活扱いじゃないから…困ったなぁ。
(手元の部活動紹介のチラシに目を通す)(ペラッ)
強いのは…女子バレー部とか?いや、これ以上時間の拘束があると朝のランニングの日課が…。文化部は…この学校で強豪となると吹奏楽ぐらいか…吹奏楽も中学の時大変そうだったからパス。
(このタイミングで壇上のサッカー部とマネージャーを見る)
そうだ!マネージャー!!運動部のマネージャーほど最適解は無いでしょ!みんなが見惚れる敏腕マネージャー…。今の状況に加えてサッカー部や野球部あたりのメジャーな部活につけばそれこそ世界一の女に一歩近づくわけで…よし!これに決まり!

司会「続いては演劇部です。よろしくお願いします。」

司会がそう告げると幕が重たそうに降りた。どうやら準備をするらしい。

生徒「演劇部だって!」
生徒「なんの演目やるのかな」

演劇部…。この学校では1度も成績を納めていない部活動。…正直無いな。でもせっかくの機会だしどんな演目をやるのか気にはなるな。
この体育館には今、1年生全員-観客-が集まっている。役者にとっては最高の舞台ではないか。何をやるのだろうか。えーと…

みらい「…空白?」
司会「それでは演劇部さん、お願いします」

重たい幕がするりするり、と上がる。静寂から少しの期待が聞こえる。
しかし…登壇していたのは黒髪の男、ただ一人だった。遠目から見ても分かる綺麗な顔立ちとスラッとした体つき。これはだいぶ女子にモテるだろうな。…にしても彼だけか?いかにも演劇します!という風貌は見かけない。もっと華やかな舞台ばかりだと思っていた。
それに劇をするとしても人数が足りないのではないか?大道具を出す素振りも一切見せないし一体何をする気なのか?などと思っている間に男は手に持っているものを口元に寄せた。
あれは…メガホン?

そして彼は私たちに人差し指を向ける。

男『単刀直入に言う!成宮 みらい !僕はとてつもなく君が欲しい!

みらい「はい?」

音圧が場を制する。男は続ける。

男『君は我が演劇部の救世主(メシア)だ!!今日の放課後、是非とも被服室にきたまえ!!演劇部からは以上だ!!

キーンと甲高い音だけを残し男は壇上から去っていった。静寂だけが残る。
………は?脳内にはてながひしめく。ちょっとまってくれ。今なんて言っ…

生徒「これって…公開プロポーズ……?!」

誰かがポツリと呟いたそれは静寂となったこの場を盛り上げるには十分すぎた。

生徒「えぇ?!まじ!!?あの成宮さんが!?」
生徒「もう先輩も虜にしてるなんてすごすぎる~!!」

あっ、というまにどよめきが広まる。よくみたら教師陣までもがヒソヒソと耳打ちをしている。
ちょっとまて!なんか誤解が広まってないか?!!

司会「み、皆さん!静かにしてください!」

司会者も困惑するほど場は盛り上がってしまった。お願いだ!さっさと次の部活動を紹介してくれ!頑張れ司会者!

生徒「ねぇ!!成宮さん!!あれはもうプロポーズだよね?!!」
生徒「変な人だけど顔のいい年上を魅了するなんてさすがすぎ~!」

周りの生徒が私に向かって身を乗り出す。まるで餌を貰い水面に群がる池の鯉のように。
あー!!ほらもう!!言わんこっちゃあない!!
こんなこと私の計画には一切ないのに!このままじゃ事態だけが一人歩きして私のメンツは丸つぶれ…!私は常に誰の手にも触れられないような気高い花のよう知的で冷静に可憐で居なきゃ…!これは早く…

みらい「な…何とかしないと…!!」

**********************体育館→HR(教室)

教師「それでは本日はここまで。入学してまだ1週間ほどだが君たちはもう東和高校の一員だ。」

春風が揺れさわさわと木々が擦れる音が聞こえる。桜の花びらが舞う。

教師「うちの学校には運動部文化部問わず様々な部活動がある。もちろん気になったところには今日から6月まで仮入部することも可能だ。それぞれしっかり吟味したまえ。しかし勉学も怠らないように!是非ともこの高校でたくさんの経験と青春を築きあげてくれ!」
きりーつ!れい!ありがとうございました!
教師「まぁ成宮は早々勧誘されてるしもう決まったもとうぜ…成宮は?」
生徒「あれ?さっきまでいたのに?」
生徒「もしかして早速向かったとか?!はやすぎる~」

みらい動線 HR→廊下

みらい「あー!!もうっ!!なんでこうなった?!」

勢いよく階段を駆け下りる。あの男は被服室に来いと言ったが場所は1階の一番端。4階の1年の教室まで遠すぎる。
とりあえずだ。例の人に会ったら直ぐに断ろう。何回かしつこく勧誘されるだろうが今後のプランニングには演劇部という文字は一切ない。どんだけ擦り寄られようが何が何でも断ってやる…!
もんもんとしてるうちに被服室と書かれた表札が目に入る。
走っていたせいか心臓がバクバクしている。鼓動が波打っている。一息深く吸う。想像しろ。他人から見られる自分を。感じろ。今の私は完璧なんだ。あー…そうそうこの感覚。頭が澄み渡る感じ。俯いていた顔をあげる。

演じろ。『成宮みらい』を。

動揺してるだなんて思われないように。焦っていたなんて悟られないように。そう、私は冷静沈着、高嶺の花なんだ。

みらい「失礼します」

ドアに手をかけた。ガラッ。

みらい「…もしかして…あれだけ威勢張っといて誰も…いない?」

開けた先に広がっていたのは閑散とした空間だけだった。少し肌寒いし埃っぽい気もする。あれだけ張り切ったのもあって思わず拍子抜けしてしまう。…いや、張り切りすぎたのかもしれない。
まぁ、いい。多少遅くなろうと暇つぶしも兼ねて中を見てみよう。そろり、そろりと足を出す。
部屋自体はかなり広い。さすが特別教室だ。しかしそれも相まってどうやらあまり手入れはされていないらしい。机やトルソーにもホコリが積もっている。ダンボールも整理されておらずその辺に積み重なっている。崩れたらどうするのか。正直この有様を見ると本当にここで部活動が行われているのか少し不安になる。

みらい「いやーこんな様子だと余計入りたく無くなるというか…ん?」

少し中ほどまで足を進めたところで気になる点があった。1つの机とその周りだけとても綺麗に整理整頓されてる。そして

みらい「…ノート?」

机上にはごく普通の大学ノートが置かれていた。ごく普通なのだがこの机にだけ、ここだけ綺麗にというのもあってより目が惹かれた。
いや、それ以上になぜだろう。引き寄せられる。ただのノートなのに。自然と手が伸びる。触れる。
ノートが、物語が開く。

みらい「なに、これ」

そこには苦悩の渦に苦しんでいる少女の葛藤と痛みが広がっていた。場面は彼女が家出をしたところから始まる。完璧を求める親に嫌気がさしたからだ。たくさんの電車を乗り継ぎ親から、家から、過去から逃げるように少女は逃避行を繰り返す。その中で様々な人、いや奇妙な生物に出会う。
眼鏡をかけたトンボ、ノロノロと足が遅い馬、周りに合わせることをやめたカメレオン。そんな様々な生物に会う度に少女の世界は広がっていく。己の視野の狭さ、若いがゆえの未熟さ。苦しくて痛いはずなのになぜか暖かい印象さえ受ける。
頭の中に情景が入り込んでくる。思わず瞬きをしてしまう。目の前で感情が弾ける。自然と物語が語りかけてくる。それは頭の中だけでは無かった。

みらい「あ…星だ」

咄嗟に体が動く。いや、動かされたのだ。空に手を伸ばしたその様はまるで苦しみから逃れようと苦痛にまみれた少女の救済を求める声そのもの。自分と少女が重なる。その瞬間どんよりとした薄暗い風景は一瞬にして煌めく夜空へと姿を変える。消えゆくようで決して離れはしない星々が舞台を彩る。微かに汽笛の声も聞こえる。ここは駅…?
なんだ…なんなんだこれは…!今まで感じたことがない感覚が憧憬が全身を巡る。体が熱くなっていくのを感じる。鼓動がどんどん早くなっていく。もっと知りたい…!この先を。もっと触れたい…!彼女の人生を。
得体の知れない感情を掴みたくてまたひとつ、ひとつと手を伸ばすようにページをめくる。ふと手が止まる。どうやらいくつかの旅を経て少女は電車の中で1人彷徨っているようだ。
その中に1つ、惹かれたセリフがあった。

みらい「いつわりじゃない…ほんとうの…わたしでも…あいしてくれるのかな?」
男「おや?予想より約2分47秒早いね」
みらい「おんぎゃあ?!!」

思わず手からノートが飛び出る。

男「急に騒ぎ出すかと思ったらなんだね、ってそれはっぷ」

男の手にノートが渡る。いや顔面に当たる。

みらい「あのっそのっ!決してやましいことがあって読んだわけじゃ!そうそう!勝手に手が動いて!」
男「…どうだったかね?」
みらい「え?」
男「だからこの作品はどうだった?と聞いているんだ」

顔からノートをよけながら彼は言う。先程とは打って変わって凛とした声色と視線に少し恐怖を覚える。近くからみても儚い顔立ちにすらっとした手。ほんと喋りさえなければそこそこモテる人なんだろうな、ってあぁ、睨みつけるな。せっかくの顔が台無しじゃないか。

みらい「その…とても心が締め付けられました。なんというか少女の環境が苦しくて。でもそれ以上に旅を通して出会う人々の優しさに心が温かくなって。苦しいはずなのに温かいそんな不思議な感覚。」

ふと先程の感覚を思い出す。視線の先がパチパチする。何だこの高揚感は。興奮は。まだ少し心臓がバクバクしている。日課のランニングでもこんなに高鳴ったことは無いのに。視線を上にあげると男の顔が目に入った。
彼の目はとても輝いていた。

男「そうだろ!!君はわかってくれると思ったんだよ!!成宮みらい!!」
みらい「え”」

男は私の手を取りブンブンと振り回す。なんでまだ名乗ってないのに分かるんだ?!初めましてなのに?!
…どうやら男の目に私は入っていないらしくまだ熱弁を繰り広げるようだ。

男「これは未熟な少女の成長を見守る物語さ!狭い視野にとらわれた彼女が奇妙な人々と交わるにつれ己の未熟さを痛感する。しかし痛みだけではない。どこか温かくて包み込むように優しい。あぁ君ならこの物語の本筋を分かってくれると思っていたよ!」

あぁ、だからなのか。寂しくて苦しいようでどこか温かい。たくさんの感情が一気に脳内に押し寄せひとつの舞台を、情景をみせてきたのか。少し余韻に浸っていると男はこちらの様子に気づいたようだ。

むげん「ん?あぁ!そうか!すまない!自己紹介が遅れたねぇ!僕は進藤武絃(むげん)!君の好きなように呼びたまえ新入部員くん!」

はっ。余韻にひたっている場合ではない。何としてでも入部を断る意志を伝えないと。あんなに大々的に勧誘されても入る意思がないのは確固たるものなのだから。

むげん「成宮みらい!やはり君は僕が求めていた逸材だ!いやぁこんなにも話がとんとん拍子で進むとは!」
みらい「成宮でいいです!それに私演劇部には入りません!」

よし…言ってやった…言ってやったぞ…!ようやく言えた…!ふふふ、相手もキョトンとしている。さぁ後は「君の意見を聞かず済まなかった。この話は無しにしよう。」その言葉さえ聞ければ…。

むげん「なんでかね?!君はこれほどまでにも才能があるのに!」

身を乗り出しながら彼は言う。う”!逆効果?!そんなキラキラした眼差しで私を見るな。顔のいい男に褒められて嬉しいとかそんなこと思ってないからな!

みらい「いやいや…才能なんてとんでもない。当たり前のことやっただけですよ」
むげん「その当たり前をしただけでここまでの成績を納めているんだ。才能以外になんと例えればいいのかね」

なかなか引き下がらないな…!それよりか先程よりもグイグイ来ている気がするようなしないような…。…はっ!これはもしや心理戦に持ち込まれているのでは…!だったらこっちも…!

みらい「そんな…先輩の方こそ先程の台本を書かれたんでしょ?そちらの方が才能があるというのではないですか?」
むげん「僕はただ物語を作ることが好きなだけだ。好きなことを続けているだけに過ぎない。結果なんて尚更ないからな!」

いやそこ威張るとこじゃないでしょ。
にしてもここまで謙虚に出てもグイグイ来られるとは…。むむむ…こうなったらアレを使うしか…!

みらい「それに私演技とかやったことなくて…できるか不安だし…」
むげん「それなら問題ない!文句なしの合格さ!」

最終兵器「分からないので出来ません!」さえも効いていない…?!それに何を取り出して…スマホ?

むげん「それに僕は常日頃、作品を完璧に演じられる人間を探していてね。ちょくちょく確認しているのだよ。」
みらい「確認…?」

なんだろ。嫌な予感がする。

むげん「そう!成宮!君は今僕が求めている全てをクリアしている!立ち振る舞い!容姿!全てにおいてパーフェクトゥ!」
みらい「ありがとうございま…す…?でもどこでそんなの分かる…」
むげん「ふふん!なぜなら校内中に張り巡らされている監視カメラがあってな!そこから全校生徒の行動は確認しているからな!もちろん君もさ成宮!ちなみにスマホからも確認できるぞ!」(午前の小躍りしている様子が映し出されている)
みらい「はああああ?!!それ犯罪じゃないですか?!」

変人どころか犯罪者じゃないか!!ってことは今まで隠れて行っていた奇行の数々がこの人の目に渡ってる…?!いんやはっず!そんな部活動尚更入りたくな…。…いや、まて。もしもだ。このカメラの録画が訳あって校内に流出してしまったら…?この間抜けな本当の私が広まってしまったら…?きっとたくさんの人が愛想をつかし離れていってしまうのでは…?それこそ冷静沈着、高嶺の花な世界一の女への道が閉ざされてしまうのでは…?
つまり…私には拒否権がない…!?しまった!なんたる不覚!いや不覚も何も防ぎようがなかったといえばそれまでだが人気がないからってうっかり素を出すんじゃなかった…!
それに…まさか脅してくるなんて…今も何食わぬ顔しているし…。一枚食わされてしまった。…こうなったら腹をくくるしかない。
大きく息を吐く。

みらい「…分かりました。入部します」
むげん「おぉ!ついにその気になってくれたか!さすがだ!」
みらい「ただし!条件があります」

前をみすえる。覚悟は決まった。

みらい「私が入部するのは仮入部の6月までです!それ以降は私のプランニングにもないので!」

そう。この学校の仮入部期間は6月末まで。それ以内なら退部の扱いは受けずに部活動の移行はスムーズに行える。部活動欄に泥を塗らずにすむのだ。
そしてその間に今までの失態の記録を何としてでも削除する!『完璧』な私が本当は嘘だということがばれないためにも…!そう意気込んだ時彼の顔が瞳に映る。

彼は静かに微笑んでいた。

こうして私を変える青春が今、幕をあけた。

(本文7649字)
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↓【第2話】はこちら! 

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