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おばあちゃんのおひざもと 第42話 ひいおばあちゃんの死

「座葬っていってね、死体を膝を抱えて座った姿勢にして、その状態で大きな瓶(カメ)に入れて埋葬する、そういう風習が片田にはあってねえ。私の母はそうやって墓地に埋められたの(屈葬とも呼ばれる)。明治生まれの人にしては長生きして91歳まで生きた。あの頃は人生60年っていわれてた時代だから長寿だったね。お葬式には佳子を連れていった。まだ佳子は学校に上がってまもなくて、孝江おばちゃんは仕事してたからね。私と一緒に連れて行くことにしたんだ。あの時は東京駅で新幹線の自由席に乗ろうとしたら満席で座るところがなくてさあ、ドア脇に新聞紙を敷いて座って名古屋まで行ったよ。そこから先は近鉄電車。ここからだとまる1日かかるね。

お葬式をあげて下さった和尚さんは、お父さんとそう年の変わらない若いお坊さんで、私がご挨拶したら『そうですか。お寺に嫁がれたんですか。ご縁があったんですねえ。お宅で採れたという夏みかんを、時々妹さんがおすそ分けにとお寺の方にも届けて下さいましたよ。』っておっしゃってた。帰る時には干し芋をお土産にたくさんもらって、懐かしかったねえ。あれは志摩の特産なんだよ。

母の墓地は海の見える高台にあってね、太平洋を行ったり来たりしたおばあちゃんの両親にはぴったりの場所だと思うね。」


*この本は第1話から46話まで、順番に各章の最初の頭文字一音(ひらがな)をつなげていくと、あるメッセージ明らかになります。さて、どんなメッセージでしょうか。

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隠されたメッセージ。いろはかるたの小説版。最初から最後の章まで、各章の頭文字を書き出していくと、最後にこの本の核心が明らかになります。かるた同様、お遊び感覚でも楽しめる本です。

大正3年、1914年にアメリカに生を受け、22歳までに3度も船で太平洋を横断し日本とアメリカを行き来したおばあちゃん。ロサンゼルスの大都会…

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