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セナのCA見聞録 Vol.40 バリ島でクルー仲間とパーティーバケーション  その2

私はこのパーティーにボストンに住むアメリカ人とフランス人の夫婦、ジョシュとソフィーを誘っていました。彼らは私達より一日遅れて到着しました。私と久美子はこのパーティーに誘ってくれたオーストラリア人の同僚と彼女のお父様、それにジョシュとソフィーの六人で毎日の行動を共にしました。

5泊の滞在中、ホテルのある繁華街クタ地区で2日、高級リゾートホテルの立ち並ぶヌサ・ドゥア地区で2日、バリ島中部のウブド地区で1日と、毎日することには事欠きませんでした。

滞在4日目の朝

バリ島北部のロビナビーチへ早朝のイルカウォッチングに参加しました。

かねてから大のイルカ好きである私はチャンスのある度にこのイルカウォッチツアーには参加しています。ツアーガイドはまだ真っ暗な夜中の2時半にジープでホテルに迎えにきて、私と久美子、そしてジョシュとソフィーの四人を乗せるとすぐに出発。ロビナビーチまでは4時間近いドライブです。車中くねくねと山岳地域を通過中、私はめずらしく車酔いで気分が悪くなりました。どうにかがまんして目的地まで着くと、6時を少しまわったところ。まだ日も昇っていませんでした。

事前にイルカウォッチングの後はシュノーケリングができると聞いていたので、到着するとすぐに水着に着替えました。外に出ると空がうっすらと紫がかっていました。夜明け前に、小さなモーターボートは私たちを乗せて沖へと出ました。10分、15分と時間が過ぎるごとに水平線のある一部分が力強くオレンジ色、金色とどんどん色を強めていき、そこから太陽が間もなく昇ってくることを知らせてくれました。

水平線からお日様が顔を出し始めるた瞬間。

「この神々しく黄金色に輝くバリ島でみる日の出。これは一生忘れないわ。」と、私はしっかりとその光景をじっと見つめ自分の脳裏に焼きつけました。

更にボートは沖へ沖へと進み、空もすっかり明るくなると、ボートを操縦していた地元の痩せて色黒な運転士がエンジンを止めました。

「さて、ここら辺でちょっと待ってみよう。」

360度、視界万全のロケーションで辺りを見渡すと、遠くに早速イルカの背びれがいくつか見えました。

「あっ、あそこ。いたいた。」と指差すが早いか、別の群れがもっとボートに近い所に現れました。

ボート近くに現れたイルカの群れはとてもフレンドリーで、すぐ脇まで来てはボートの真下を泳いで前、横、後ろといろんな場所から姿をみせてくれました。

可能なら、この場でザブーンと海に飛び込んでイルカと一緒に泳ぎたいところでしたが、それは許可されていないと言われ、残念ながら諦めました。

全部で何頭ぐらいお目にかかることができたでしょうか。20頭はくだらなかったと思います。

「会えてホントに嬉しかったよ。バリ島のイルカさんたち。」🐬🐬🐬

イルカウォッチが終わると、待ってましたとばかりに水着になり、持参したシュノーケリングギアをさっと取り付け、〝ザッボーン〟と海へ飛び込みました。

海中の景色を眺めるというのはとても心の躍る体験。

魚と一緒になった気分で泳いでいると無心で妙に冴えた感覚がしてきます。

海の中というのは地上とは全く違う別世界で、星を見上げるときと若干似通った、見ている者を、即ち人間を、謙虚に小さく感じさせるところがあります。右に左に、上に下にと自由に海中を泳ぎまくり、海の生物たちを存分に見納めたところで船へと戻り、そして早朝出発した海岸まで静かにボートからの景色を眺めました。

ホテルのあるクタまでの帰途もまた新鮮な経験の連続でした。

最初に、水量の豊富でものすごい水しぶきをたてる“ギギッの滝”へ立ち寄り、滝壷に足をジャブジャブとつけて霧雨のような水しぶきを全身に受け、爽快な清涼感を味わいました。

その後周辺に並ぶお土産屋で買い物をしていると、滝で涼んだためか私はトイレに行きたくなりました。お店の人に言われた方向へあぜ道を歩いて行くと、そこは田んぼの中の掘っ立て小屋でした。

「トイレってここのこと?」

ドアを開けて中に入ると「お~!」とびっくりしました。

中は簡易水洗トイレでした。それは日本の昔のドッポン式(?)とは違い、用をたした後、隅にある水槽に溜めてある水から備え付けの手桶で水を汲み、これを便器に流しこむというスタイルでした。水槽に貯めてある水は当然限りがあるので、何回も無駄遣いするわけにはいきません。ちなみに使ったティッシュは流さずに、ふたのないごみ箱に入れます。

生活様式の異なる国へ旅をすると、普段気にしないことに目がいくものです。



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