『空中の音』

音楽を聴いていたり、
個室や密閉空間、水の中にいると

「音」は体表に触れながら漂って
輪郭を覆うようにその空間を満たします。

そんな「音」についての文です。

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『空中の音』
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耳を覆うその音は
わたしの中に入りたいのか、わたしを犯しているのか
ただ覆っているだけなのか、守ろうとしているのか

出入りを繰り返すたびに
少しずつ近づいて
わたしの手を取ろうとする


でも彼らには
彼らを覆うやさしさが存在して

なにも課さず
どこまでもただそれだけで

覆って、犯して
守って、中に入ろうとしている

ただそれだけが存在している

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