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ベーシックインカムはイノベーティブな人が活躍するためにこそ必要だと思う

ベーシックインカム(BI)。

貧困解消のための導入の必要性を主張する議論も見受けられますが、私はむしろイノべーティブな人が正しく活躍できる環境を創るために必要ではないかと考えています。

1.「粘土層」を厳しく処遇することができる

ベーシックインカム制度が導入されれば、いわゆる解雇規制を緩和しやすくなるのではないかと考えます(というより解雇規制の緩和とセットで実施していただきたい)。

解雇規制が緩和されれば、企業は以下のような「粘土層」の不活性人材に対する降格、減給、および解雇を発動しやすくなります

・変化に抵抗する人
・学習意欲のない人
・ITスキルやマネジメントスキルの向上をあきらめた人

とりわけ大企業や大所帯の官公庁関係人口(社員・職員、取引先、顧客など)が多いわけで、IT化や効率化や業務改善に抵抗する一部の不活性人材が組織内外の多くの人々に悪いインパクトを及ぼしています。

もちろん、(余力のある大企業であればこそ)組織は本人のスキルアップやマインドシフトの機会を提供したほうが良いとは思います。それでも変わろうとしない、成長しない人については退いていただく仕組みがそろそろ必要ではないでしょうか。

2.いわゆる「ブルシットジョブ」(仕事ごっこ)を減らすことができる

粘土層の人たちの中でも、今の仕事にしがみつこうとする「しがみつき層」の人たちがこれまた厄介です。もはやなくしたり減らすことのできる「仕事のための仕事」や、アナログで煩雑な事務作業や間接業務を手放そうとしません変えることを拒みます

なぜなら、それがその人の存在価値だからです。

▼参考:書籍『仕事ごっこ~その“あたりまえ”,いまどき必要ですか?』

しがみつき層の人たちが温存する「ブルシットジョブ」(私は『仕事ごっこ』と呼んでいますが)は、プロとして正しく活躍したい人や、時短勤務やリモートワーカーなど働く時間や場所に制約のある人(かつ能力や意欲のある人)の足をひっぱります

率直に言って、ブルシットジョブ(仕事ごっこ)がイノベーティブな人材や、冒険人材の足かせになっているのです。

日本の組織において、大胆なDX(デジタルトランスフォメーション)や組織変革が起こりにくい要因の一つはそこです。

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企業サイドもこれまでは前述の解雇規制のしがらみもあって、ブルシットジョブ(仕事ごっこ)を温存する人に厳しく接することができませんでした

また、粘土層(かつしがみつき層)の人たちの雇用確保のためにブルシットジョブ(仕事ごっこ)を残さざるを得なかった面も大きいと考えます。

ベーシックインカム制度の導入と雇用規制緩和の合わせ技で、ようやく企業は(官公庁も)ブルシットジョブ(仕事ごっこ)と決別しやすくなるでしょう。

「なかなか手厳しいことばかり言う輩だ」と思われるかもしれません。

しかし、裏を返せばこれまでの日本の組織が粘土層の不活性人材を甘やかしすぎたのです。それにより、イノベーティブな人材、正しく成長し、正しく活躍したい人材が活躍できないのは国の未来を考えても不幸ではないでしょうか。

変革に痛みや生みの苦しみはつきものです。そろそろ覚悟を決めなければなりません。

3.流動性ある社会を

これまでの日本社会、日本の組織は流動性がなさすぎたのです。いわば「ムラ社会」だったのです。そしてムラ社会は、停滞しやがて衰退します

人が入ってきやすく、出ていきやすい組織構造。その流動性こそが、組織の景色の固定化や「淀み」をなくし、組織とそこで働く人たちが健全にアップデートしやすい環境や風土を創ります。

そのための策の一つとして、ベーシックインカム制度が機能するのではないかと考えています。

もちろん、ベーシックインカム制度だけで組織の流動性が高まるとは私は思いません

いかんせん、日本の社会構造も組織構造も、終身雇用前提(つまりは人が流動しない前提)で設計されてしまっているからです。

採用する側(企業組織)も、される側(私たち個人)も、転職など流動するコストとリスクがまだまだ高い

流動するコストとリスクを下げるには、

・社会保険や雇用保険や年金などの制度の見直し(含:事務手続きの面倒くささの解消)
・転職先に有給休暇の残日数を(ある程度)引き継ぐ仕組み
・複業の仕組み……

など、終身雇用する(される)人たちにある意味優位だった制度やルールも変えていかなければならないでしょう。

そのような議論を、立場を超えて活発に行っていく必要があるのではないか。私はそう感じています。

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