「未来の選択肢を増やすために勉強するの。」の呪い

小学校。
「九九できなかったら三年生になれないよ!」
「勉強は何のためにするの?」
「未来の選択肢を増やすためだよ。」
いい高校に入って、いい大学に入って、いい会社に勤める。それが親の求める道だった。

親に言われて、生徒会も毎年立候補した。人前に出るのなんて嫌いだったけど、頑張って選挙活動もした。

中学校でも、高校入試の内申点のために、勉強はもちろん、先生と仲良くならないといい成績をつけてくれない先生にも、頑張って媚びた。

でも、つまらない。なりたい職業もない。いい高校に入っていい大学に入って、楽しいのかな?
そう思って、高校は二番目の高校を、無理やり選んだ。親には、「その代わり、一番の高校と同じような大学に進学するから」って約束して。

入学した。バカばっかりだった。こんなバカたちとなら、真面目じゃない楽しい生活がきっとできる。

だめだった。
私が親と約束した未来に向けて頑張っていれば、「頭がいいくせに勉強して嫌味か」「いい大学目指して大変ですね(笑)」と、楽しい輪には入れなかった。

未来を目指すのは、当たり前じゃないの?

わかんなくなった。求めていた、楽しい生活とはなんなのか。

結局、心を病んだ。
大学に行く意味がわからなかったから、とりあえず短大に行った。先生と親が必死に探して見つけてた短大。

短大も、バカばっかりだった。
授業中もずっとしゃべってる。高校よりバカばっかりだった。
その中で真面目に就活した。最後に親のレールを完成させるために。
やっぱりバカたちとは馴染めなかった。

ついに、大卒と同じ総合職をつかみ取った。でも聞いたことない会社だから、親は不満そう。

ゴールしてしまった。
親のレールの最後になってしまった。
とりあえず働くけど、自分は何者なのか、何がやりたかったのか、何が好きなのか、これからどうしたいのか、
何もわからない。

ゴールの先なんて知らない。次は何を目指せばいいの?
不安。不安。


「今」に焦点を当ててください。


この言葉を聞いて、驚いた。
今のことなんて、考えたことない。

寝たい?遊びたい?それってダメな感情のことでしょ?
ずっとお喋り?マック?プリクラ?何のためになるの?
絵を描きたい?絵を描いて最終的にどうなるの?画家なんて食べていけない仕事だよ?
動画でも見たら?動画なんて見て何に役立つの?映画も漫画も、ダメなことでしょ?

そんなことしたら、バカたちと一緒になっちゃう、でしょ?


未来のことばかり考えてきた人生。
外で遊んでいるような子、ゲームをしていた子、私がずっとうらやましかった「バカ」たちは、みんな「今」を生きていたの?


彼氏が毎日楽しそうにゲームをしている。私はムダな気がしてできない。
ゲームに飽きたら映画をみている。何時間も拘束されるのに、何が楽しいの?

「ほーんと、バカばっかり。」

----

価値観とは、本当に恐ろしい。
これが恐ろしいと気付けないことも、恐ろしい。

親の愛のはずだったのに。
勉強って何のためにあるの?の回答に「未来の選択肢を増やすためだよ」と答える親が多い、もしくはそれが理想とされている、みたいな話を聞いて、思い浮かんだ話です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?