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四月のウマシカ

となり町の三毛のヤツから聞いた話だと
今日は、おおっぴらにウソを言ってもいい日、らしい

しかし、ニンゲンというのは、ことあるごとに
何かしらイベントをやりたがるものだ

新年、早々、モチをついてみたり
食べてみたり、ノドにつまらせたり
怖い怖いと言いながらも
鬼に向かって豆をぶっつけてみたり
チョコレートをあげてみたり、もらってみたり
もらってくれなかったと自分で食べてみたり
はたまた、川に向かって放り投げたり

夏には、河原やらなんやらで大がかりな仕掛けでもって
大きな音を立てて夜空に花を咲かせてみたり
まあ、あれは、見事なもんだがねえ

冬になったら、寒い寒いとか言いながら
雪山まで、わざわざ、くり出してって
足に何やら道具をつけて
雪山を転がり落ちてくるらしいじゃあないか
奇想天外もいいとこ、理解に苦しむ
我々ねこは、コタツでぬくぬくしてるがねえ

そうやって、日常の中に
無理矢理にでも非日常をつくり出そう
と、努力するさまは、もはや、称賛を通り越して
涙すら誘うものがある

わたしらは、毎日が平常運転、いつもとおんなじ
ゆっくり、ゆったり、するとしよう
それが、我々ねこがすごす、四月一日

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