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“自分付き合い”のうまい人

1 ”パーソナルスペース”のこと

私たちには ”パーソナルスペース” つまり、個人の空間というのがある。ひとりひとりにとって大切な自分のスペースがあって、他者がその境界線を越えて入ってくると不快に感じる。

突然他人が自分に近づいてこられてびっくりしたといった経験がある人は結構いると思う。思いもかけず誰かが近くに来ると、ある程度知っている人であっても、パーソナルスペースをいきなり越えられたら、びっくりしたり不快に感じたりするのだ。

車でいうところの車間距離みたいなものかもしれない。常に後ろと前に適切な距離を保っていることで、お互い安全安心に前進出来る。

最近このパーソナルスペースがよく頭をよぎる。
自分の外側も内側もすっきりさせよう!と思ってから、どこになにが置いてあるかとか、どのぐらいのスペースがあるかとか、あれこれ思いを巡らせ、とにかく自分の持ち物とそれ以外を分けたいという気持ちが強くなっているせいかもしれない。

ソーシャル・ディスタンスが叫ばれるこのご時世、ということもあるかもしれないけれど…。

2 心理的な距離も大切  自分と他人/自分と自分

自分が持っているパーソナルスペース、他人が持っているパーソナルスペース。この誰にでもあって大切なパーソナルスペースというのは、単に物理的な空間や距離に限らない。

心理的なパーソナルスペースというのもある。
見えないけれど、見えないからこそ、個人の心理的な空間、または距離というのも大切だし、丁寧な取り扱いが必要だ。そして、適切に心理的な距離を保つことには難しさを感じることも多くて、これが人間関係の悩みにもつながる。

さらには、この心理的な距離やその感覚というのは、自分と他者との間で語られることが多いけど、自分と自分との間でも同じことが言える。つまり、自分という存在とその自分が認識する自分の間にも一定のスペースがあって、ここのスペースを意識してうまく距離感を保ちながら自分自身と付き合えると、自分という存在は安心して安定することになる。

3 過緊張の環境下で育った私が安心出来る人たち

私は小さいころから、学生時代も含めて、よく親戚の家々を泊り歩き、友人の家族の家に泊まることも度々あった。海外にいたときには、友人の家にしばらくステイしたこともあるし、ハウスシェアをしたこともある。周りの人達はよく、やっぱり人の家は落ち着かないよねえ、気を遣うよね、疲れる、自分の家が一番、と言うのをよく耳にして、私は全然平気だけど皆違うの?そんな感じだった。

私は当時、よほど自分が周りと違って勇敢なのか鈍感なのか?と思っていた。今だからわかることは、私は決して人より勇敢だったわけでも鈍感だったわけでもなく、単に、私自身の家にいるほうが緊張がすごくて他人の家のほうが楽。そういうことだった。

そんな過緊張の家で育っていたことにすら気がつかない私にとって心地のいい家や友人たちは、みんな、自分との距離を保って自分自身にうまく寄り添い、同じように、私に対してもパーソナルスペースをとってくれていた。だから、自分とって嫌なことがあればきちんと察知して自分の中で対処出来ていて、目の前のモノや人にむやみにぶつけることなどなかった。
私にとってはこの上ない安心感だった。

振り返ってみれば、これまで私が一瞬にして安心して人間関係を保てた人たちのほとんどが、自分との距離感が安定していて、言わば自分付き合いが上手な人。もしくは、自分との距離感が安定しているとまでは言えないけど、自分との距離感の存在に気づいていて、もっと適切に距離が取れないかな?と思案しているような人。

自分との距離感という視点でみたとき、私が安心しそして信頼できる人たちは、このいずれかのパターンに当てはまる人だったなと思う。

4 自分付き合いのうまい人

部屋の片付けをしていた時、互いに関連するグッズが全然違うところにバラバラにしまわれていた。そのとき気づいたように、私の内側の世界でも、あの記憶とこの記憶、あの気持ちとこの気持ちが、まだまだたくさんバラバラに置かれているのかもしれない。関連付けて一緒にしておくのが怖いと思ってバラバラに離してしまっている過去の思いもあるかもしれない。

それって、ひとつの気持ちとは寄り添えているようでも、関連する気持ちは離れたところに置いたままの状態。きちんと寄り添えてるとはいえない部分があるってことだ。だから、なんか足りない、と時々モヤモヤするのだ。

自分との距離感がうまく保てる人、いつも保とうとしている人は、他人との距離を保つのも無理がなくて自然。あくまで自分らしいままだし、そういう人は、本当の意味で人付き合いが上手いなと思う。

これから自分が生きている間にいかに成長していくか?成長していきたいか?
私の場合、自分との距離をうまく取れようになりたい、ちょうどいい距離感で自分に寄り添い続けたい、というのがひとつの答えだ。一回だけうまく距離を取って終わりというのではない。この先も色んなことがあるだろうけれど、どんな自分ともうまく付き合い続けていきたいなと思う。






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