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固いくるみのパン

こんにちは。Améです。

今日はタイトルにもあるようにパンの話…ではなく、表現・言葉について書きます。

何度かnoteでも書きましたが、私はよしもとばななさんの小説をよく読みます。情景や感情の表現の仕方、ちょっとした言葉の選び方が読んでいて心地よく、惹かれるものがあります。”音”として好きな言葉や、なにげないものや風景を綺麗なものに喩えて特別なものに変えてしまう魔法のような文章を、今日はご紹介していきます。引用は前回同様、『アムリタ』(上・下)からです。

固いくるみのパン

グラスの中では澄んだ茶が氷の冷たい色に透けて、ゆっくりと溶けていた。

かすかに淡く春の匂いがする、肌寒い夜だった。
甘い夜風が体を包み込んできた。

闇は季節の変わり目の暗いみずみずしさをたたえ、吸う空気の中にも夢のような澄んだ香りをたくさん含んでいた。

ガラスのような、固い素材でできているみたいに明確な、濃い青だった。

わたしたちはこういうことでもないかぎり何の気なしに本を読み、そのイメージや人物を心のスクリーンに映し出しては忘れてしまいます。でも、明らかに「誰か」の思い出を共有するのです。
永遠に。

いかがでしょうか。

私は読んだとき、空気や風、夜をこんなにも綺麗に表現できるのかと驚きでした。ストーリーだけではなく、こういった表現を読むことでも心が豊かになるような気がします。読んだあと、実際に日常生活の中で見るものや風景が、フィルターにかかったように綺麗で特別に感じられたり。
ストーリーの流れを追う以上の楽しみを読書に見出すことができたのがよしもとばななさんの小説でした。自然と何度も読み返すようになったし、購入して手元に置いておく意味がこれまで以上に出てきた感じがします。
皆さんも機会があれば読んでみてください。薄めで短編の本が多いので読みやすいです^ ^

最後に、何冊かおすすめを載せておきます。
すべて新潮文庫なのですが、カバーがおしゃれでお気に入りです。

『うたかた サンクチュアリ』

『白河夜船』

『キッチン』

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『ハゴロモ』

『みずうみ』

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『アムリタ(上・下)』

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読んでくださってありがとうございました🍀

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