見出し画像

日本酒の奥深い概念を「どうシンプルに伝えるか」がこれからの鍵なのかもしれない。

こんにちは。今日は、
僕が2022年7月〜同年12月までの半年間、高知県の酒蔵でお酒造りを実際に体験し、そこで感じたことを書いてみたいと思います。

(高知県の酒蔵での醸造経験の記事は追々書いていきたいと思います!)

①日本酒って変数がめちゃくちゃ多い。

日本酒が奥深い理由の一つとして、
原料のお米から液体のお酒になるまでの全工程において、変数(製造の選択肢)がすごく多いことが挙げられます。

だから日本酒の醸造技術は「再現性」の技術だと言われたりします。
杜氏という製造管理の責任者を、社長と別で設置する理由の一つです)

変数の例で言うと、例えばですが、

  • 原料米の違い(山田錦、五百万石、雄町、愛山、亀の尾など)

  • 使用する水の違い(軟水、硬水など)

  • 精米歩合の違い(90%、50%、30%、10%など)

  • 酵母の違い(蔵付き酵母、きょうかい酵母、ブレンドなど)

  • 仕込み方法の違い(速醸、生酛、山廃、仕込み回数=○段仕込みなど)

  • 火入れの有無(火入れ酒、生酒)

  • 濾過の有無(無濾過、濾過)

  • 熟成期間の違い(新酒、熟成酒など)

  • 熟成環境の違い(湿度、温度、光の有無など)

ざっと挙げただけでもこれだけあります。
僕が認知していない領域も含むと、こんな数ではありません。

あとは技術的側面の要素もあります。

  • その年の米の特性に合わせた製造手法の微調整(含水率の違いなど)
    ※米も農作物ですから、毎年同じものができるとは限りません。

  • 洗米手法をどうするか(機械で一定管理するか、人力で行うかなど)

  • 浸漬時間をどうするか(水を吸わせる時間によって含水率が変わります)
    ※モロミにした時の溶けやすさに影響してきます。

  • 麹米をどうつくるか(管理する温度、麹菌の添加の仕方など)
    ※麹菌がきちんと付いていないといいお酒にはなりません。
    多すぎもダメです。

  • ヤブタをきちんと洗っているか(ヤブタ臭の原因。タンクも同様
    ※設備のメンテナンスをしっかりしているかどうかも技術の一つです。

ざっと挙げただけでもこれだけの変数があります。まだまだあります。
杜氏はこの無限の変数を毎年、自在に操りコントールしているわけです。
(ほんとリスペクトに値する職人の権化です。カッコいい。。。)

②変数の多さは消費者にどう伝わっているのか。

この変数の多さは、一般消費者にはどう伝わっているのでしょうか。
これは僕の見解ですが、
間違いなくほぼ100%、うまく伝わっていないように思います。

別の捉え方をすると、この「奥深さ」をあえて「複雑」と解釈した場合、
それが消費者のハードルを高めているのではないかとも思います。

なんか日本酒って難しそう・・・・・
日本酒を知らない私が飲んでいいのだろうか・・・・・
辛い、甘いしか分からないのが恥ずかしい・・・・・
間違った表現をしてしまったらどうしよう・・・・・

こういう内面的で潜在的な意識や感情があるのはほぼ間違いないです。
そしてそれが、消費のストッパーになっているような気がします。

逆にこの奥深さ(複雑さ)があるからこそ、
熱狂的なファンも存在するわけです。(うんちくおじさんが良い例です笑)

熱狂的なファンが集まるコアなコミュニティはたくさんあります。
でもそれって僕らのような日本酒初心者(勉強中)からすると、
なかなか入っていきにくいですよね。うんちくに捕まったりするし。。。

③どう伝えていくのがベストなのか

だからこそ、これからの日本酒のマーケット拡大においては、
この日本酒の奥深さをどうわかりやすく伝えていくかが重要だと思います。

日本酒の奥深さはその後からで良いんです。
蔵の歴史や伝統、キャラクターはそのあとで良いんです。

醸造元からすると少し寂しい気持ちになると思いますが、
でも、ハマったら自分で色々と情報収集しますし、
自分で調べるうからこそ、好きになっていくのではないでしょうか。

価値観の押し付けになっちゃいけないと言うことなのかもしれません。

いきなり100の情報を、100のまま、伝えられたところで分かるわけがない。
「伝えて満足!」じゃダメだと思います。
話を聴いている方も、うっ・・・となるのも致し方ありません。

良い意味で「分かりやすいお酒」と言われると、
なんだか薄っぺらいように聞こえますが、最初はそれで良いと思います。

その分かりやすさ故に、より多くの人が日本酒に興味を持てれば、
消費はさらに拡大しますし、日本酒のコンテンツや情報も、
今よりもっと普及し一般化すると思います。

へえ〜、日本酒ってこんなお酒なんだ!イメージ変わった!
日本酒じゃないような日本酒ですね!
これって本当に日本酒ですか!?

この言葉が全て物語っています。
日本酒=難しい」というイメージが定着しているのでしょう。

難しいですね。でも間違いなく、印象的だった、
米を削るところから、最後に透明な液体になったときは感動しました。
美しいなと思いました。神秘的です。

こんな魅力がある日本酒を、正しく伝えるのはどうすれば良いか。
それは、伝える側も我慢し工夫し、待つ。押し付けになっちゃいけない。

そうやって日本酒のエンゲージメントを、
消費者と一緒に作り上げていくことが求められているのだと思います。

少なくとも僕は、「日本酒=難しい」から、今や、
居酒屋を選ぶときは、まず、
日本酒がたくさん置いていることを前提条件にリサーチしていますから笑笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?