放浪回想記 0章 「旅の準備」



大学4年生になったものの1ヶ月くらい大学へ行っていない。

私服で通えるの?華やかな大学デビューするぞ!
と胸を弾ませたキャンバス

気の合う数名とばかり過ごし
授業に没頭というよりは単位を取得するためだけの通学
たまにサボってラウンドワンで遊ぶ
合コンに誘われるとテンションが上がる

1、2年では定期券を購入していたためケチ根性を発揮した
通わにゃ損損ということで毎日限界まで授業を詰め込んでいた。

理系だったため3、4年では実験や卒論に力を入れるべきなのだが単位を気にせずに集中できたため、3年終了時にはあっけなく終わってしまった。

つまり4年生では就職活動に注力すべきなのだが
バイトに精を出していた。
家から近いチェーン店のカフェで大学卒業までの3年くらいお世話になった。

コーヒーの香りが好きだし、バイトの男女比は1:9
カフェの制服を着た女子大生たちに囲まれ、それはそれは良い環境だった。
なお大学の男女比は9:1

バイト以外ではサッカー、テレビゲームという
活動的な引きこもり生活を送っていた。
毎日が暇というこれ以上ない贅沢を満喫するも
満足感はあまりなかった。 

昼夜逆転生活のため夜は専らパソコンと向き合っていた。
ネットサーフィンでは海外をバックパック旅行した人や
現地駐在員の奮闘記を綴ったブログを読み漁っていた。
海外旅行に行たいな~と思う今日この頃だが
目的地や、そこで何をしたいのかがぼんやりとしていた。 
 

バックパック一つでアジアを見てまわる。
ヨーロッパを列車で縦断し風景を楽しむ。
弱肉強食っぽい雰囲気のアフリカに飛び込む。
オセアニアの島々やカリブ海でバカンス。
アラスカ、ハワイが面倒だけどアメリカ50州まわって記念コイン集め。

なんか物足りない。
大陸、地域よりも国にしぼって計画立てようということで深夜に第一回国際連合加盟国全192ヶ国くじびき大会をやった。
抜け漏れがあるかもしれないが当時のメモにはこの数が記載されていた。

A4用紙に192ヶ国の名前をコピー、プリントして
ハサミで地味~に切って紙袋に入れてよ~く混ぜる。
これでもかと混ぜる。1枚ひく。
その国に行こうという試みである。

運命のくじ引き
このときばかりは真剣な目をしていたはず。

ゆっくりと一枚掴み目線をうつす
コモロ

コモロ?


どこや…


ウィキペディアで調べると
コモロ連合、通称コモロ。首都はモロニ。
公用語、コモロ語・アラビア語・フランス語。
1975年7月6日、フランスから独立。
頻繁にクーデターが発生。
2005年現在において世界最貧国の1つであり、度重なる政治危機から経済復興も極めて困難な状況にある。
近海ではたびたびシーラカンスが捕獲される。


多分、日本からの直行便はないな
乗り継ぎ何回すんのっていうレベル 

いや、それより頻繁にクーデターはまずいな
 NGワードでてきちゃったな

少し真面目に考えてみる
バックパックや駐在員の方々のブログを見ると

物理的距離が近い
物価が安い
治安もそこそこ良い
気候が良い
予防接種の証明がいらない
一部をのぞきビザ等の手続きがいらない

ということで東南アジアに興味が湧いてきた

王道といえば王道
まずは比較的成功しやすいルートをこなして次のステップに進む
それが良い気がしてきた

期間は1、2ヶ月くらいにしよう
あとは大まかにどこに行くか決める
図書館に通い本を読み漁る生活が始まった
こんなにも書籍を読み込む機会はあっただろうか

気になる街や観光名所をメモし続ける日々
不測の事態にも対応すべく、眼で脳で理解する
確定しているもの
現時点では仮定とせざるを得ないもの
この真面目さを社会人になっても維持したかった

そうだ、先に航空券の予約をしよう
そうすれば途中のルートも決めやすい
成田空港からバンコクのスワンナプーム空港までの往復券を予約する
当時はローコストなキャリアがなかったのでANAを選択した

よし、これでスタートとゴールが決まった。

成田空港からスワンナプーム空港へ

(一ヶ月と少しの時間)

スワンナプーム空港から成田空港へ

細かいところまで決めずに
現地で考えてもいいか
むしろそれが醍醐味なのでは

そんなこんなで出発の日を迎える

(つづく)

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