夫婦が「親」になるとき(2)ケンカが増えるワケ
思い込み1:妊娠出産は夫婦のきずなを強める
「出産によって夫婦げんかは増加する」と話すと、未婚学生のほとんどは驚き、ショックを受けるという。自分の結婚・出産・子育ての理想とギャップを感じるからだろう。
一般的に、妊娠と出産によって「自然で、努力することなく」夫婦の絆は強められ、夫婦関係をランクアップしてくれるかのように期待されているが、現実は異なる。
思い込み2:家事と育児は分担できる
少し考えれば、家事と育児の分担がそれほど容易なものではないことがわかるはずだが、一般的には家事と育児は分担できるものであり、しかもそれは「話し合い」で決めることができると思われている。
調査によると、家事・育児の分担による夫婦関係満足度には、夫婦それぞれが相手に期待する役割に影響を受ける。
たとえば、妻が「夫婦は平等に役割を分担するべきだ」と考える場合は、夫婦の人間関係の質が低くなった。
一方で、夫が「夫婦は平等に役割を分担するべきだ」と考える場合は、夫婦関係の質が高くなった。
つまり、役割や家事のバランスだけでなくて、それに対する認知や態度が重要ということになる。
この調査が意味するのは、夫は一様に家事や育児をすればよいという問題ではなくて、相手の期待(価値観)に沿うようなサポートができているか、ということである。
夫が家事・育児に参加したくてもできない理由
サポートしてほしい、サポートしてあげたい、という気持ちは肯定的ではあるものの、相手の気持ちに配慮しないと、否定的な影響をもつ可能性があることがわかった。
サポートが必要だというシグナルを「上手に」出すことができるか。そして、それを「上手に」読み取って、相手の期待に沿うように適切に対処することができるかということは、夫婦関係維持の重要な鍵だといえる。
妻が家事・育児を抱え込む理由
分担しようとしても、うまくいかないことのひとつに「妻による家事・育児の抱え込み(Maternal gate keeping)」と呼ばれる現象がある。
これは、妻の性役割観に規定されるもので、妻が伝統的な家族役割にもとづいた平等観をもっている場合や、夫との役割観と一致していない場合に起こる。結果として家事や育児を抱え込んで手放さない行動が起こり、自分でもそのことに疲れ切ってしまう。
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