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ある観光客のパリの一日(写真) 2022


2022年9月。フランスはパリに行ってきました。
3年ぶり3度目。これまでは趣味の旅行でしたが、今回は舞台照明のお仕事で行かせていただきました。ありがたい。ありがたいです。
スケジュールは以下の通り。
9/24日朝、成田出発→直通で9/24夕方パリ着。
9/25日オフ
9/26日お仕事9時半~18時
9/27日お仕事9時半~18時
9/28日夕方にパリ発~オランダ~韓国~経由で29日夕方日本着
というもので、この「お仕事の時間」以外は基本的に自由。
自由なのでふらふらと写真を撮り歩いていてもよい、という気前の良い条件で、もちろんお仕事をきちんとしつつも、沢山散歩をしてきました。

この記事はその時の記録をつらつらと並べていきます。
ツイッターには載せきれなかった、わざわざ載せるほどでもなかった写真たちの供養でもあります。
(つきましてはみなさまにおかれましては僕の写真やら行動やらに興味がないとは存じますけれども、酔狂の心をお持ちでお時間もございましたら、ぜひ眺めてやってください。)

今回は旅行ではなく仕事で、それも4泊程度なので、国内出張4泊と同じく、小さ目のスーツケースと肩掛けの鞄のみで行ってみました。仕事で使う照明機材などはすべて現地で用意してくれているので身軽でもOKなはずです。
コロナ禍の混乱でヨーロッパの空港では預けた荷物がどこかに行ってしまうトラブルがあると聞いていたので、帰りには1時間しかないトランジットがある事を考えて、機内持ち込みできる大きさと数の荷物だけで勝負してみました。
なのでカメラ機材もも最小限。
Sony α7iii, +16-35 F4,と 50mmF2単焦点,
あとLeicaQ2Monochorome
だけ。本当はズームレンズを24-70mmにしようと思ったけど、バタバタしているうちに付け替えるのを忘れて出発してしまって、このまま来てしまいました。

本来持ってくるつもりではなかったとはいえ、広角レンズを持っていてよかったなと思うのは、飛行機の窓からの景色を撮った時です。地平線まで景色をばっちり撮りたいとき、広角レンズだと見た目の雄大さが上手く収まるぞと思いました。上の写真はおそらくグリーンランド上空から。
今回はロシアが戦争中でその上空を通れないので、飛行機は北極圏航路を飛びました。日本から北上して、アラスカ・北極・グリーンランド・イギリスの辺りを通過してフランスに着くという航路です。
これまでヨーロッパへ行くときには取らなかったルートなので、窓外の景色も違って新鮮でした。ロシア上空を飛んでいる時はバイカル湖とか見れたものです。
今回、ちょうど北極辺りを飛んでいる時、期待を込めて窓の外で目を凝らしていると、遠くの方で空が微かに、微かに何かが緑色に光っているのが見えました。あれはオーロラという事にしておいてもよいのではないでしょうか。

感度上げまくって飛行機の窓からギリ撮影したこれ。
オーロラってことにしておこう?
ネッ!
僕はオーロラを観ましたよ

アイスバブルに見えなくもない、おそらく巨大な流氷
地表にいたら1分経たずに風邪を引く景色
南極探検の物語にありそう(グリーンランドですが)

僕は飛行機に乗る前に後ろの方の窓際の、隣が誰もいない席へ変更できたので、行きはなかなか贅沢な環境でした。航空会社はエールフランスだったのでエコノミーでもシャンパンが飲めました。仕事で来ているのに。嬉しいです。おかわりは出来なかったけども。

フランスへ着いてみたら普通に沢山観光客がいて、みんなマスクしていなくて(地下鉄にはちらほらいた)、こっちはもうこういう感じでやってるんだなあという感じでした。僕はこの後日本へ帰ってもまだまだ仕事が続くので、マスクや消毒を2022年9月現在の日本と同じ基準でやっていました。

到着した日は一緒に行ったメンバーでカフェでご飯を食べて、まだ現地の夜22時だというのに時差ボケで眠すぎるためすぐに就寝(日本では朝5時とか6時とか?)、そして翌朝は5時に目が覚めました。
写真を撮る人間にとって、旅行先で早朝に目が覚めてしまうというのはボーナスタイムみたいなものです。早朝と夕方は写真映えする何かが撮れそうな気がします。こういうときだけは時差ボケがありがたいなと思います。
この日は一日オフなので、さっそくカメラを持って出かけようとしました。

準備をしていると、SIMを現地のものに入れ替えていたiPhoneに通知が。
そういえば日本を出る直前に、だめもとで「25日にパリで撮影できる人いますか?」みたいな事をインターネットに流したのですが、そのリアクションがこの25日早朝に届いたようでした。
届いたメッセージは私は空いていますよと。
まじか。と思いました。朝5時だよ。今日の今日だよ。もう忘れていたしそんなつもりじゃなかったよ。と。
しかしもちろんこの申し出はありがたいのでお願いすることにして、出かける準備を放っておいて返信します。挨拶して集合時間とか場所とかをやりとりして決めた後、先方は「じゃあ時間まで寝るね」と就寝されました。
集合は13時。あと8時間弱。
まだまだ予定通りに散歩する時間は十分ありそうでした。

お仕事で行く会場がエッフェル塔の近くなので、取ってもらっていた宿もそこから歩いて10分くらいの場所でした。モデルさんと約束した集合場所がリュクサンブール庭園なので、宿から歩いてモンパルナスを経由して約40分。途中で早くから開いているパン屋さんでパンとコーヒーを買って道端のベンチで食べたりしながら、のんびりあるいてリュクサンブール庭園に着くと、丁度陽が昇ってきた頃でした。

その辺りのお店で何かを買って、その辺にあるベンチに座って食べて、ごみをその辺にあるゴミ箱に入れて再び散歩する……という行為は、東京だと「その辺りにあるベンチ」と「ゴミ箱」がないため、あんまりやったことないなあと思いました。
コンビニで買い食いとは少し違う体験な気がします。
これは公共事業というか、富の再分配をどのようなものに充てるのかという考え方の違いなんだろうなあ、個人的には街中にゴミ箱がある都市は豊かだなと思いました。
(日本はテロへの警戒とかいろいろあるとは思うけども)

まだ太陽が低い
リュクサンブール
自由に動かせる椅子たち

リュクサンブール庭園は好きです。
パリへ来るたびに写真を撮りに来ていてこれで三度目。朝早くに来たのは初めてだけども。市橋織江さんがパリの写真集で撮られているんですよね。

この早朝の光と、誰もいないシチュエーションでポートレートを撮影出来たら最高だなと思ったけれど、知らない土地で知らない人を朝五時に呼び出す様なまねを僕はまだ出来ません。日本でもよほど親しくないと頼めない。そもそものお願いするコミュニケーション能力が低いのもあるけれども、僕自身に相手に負担をかけておいてそれに見合う結果を残せる自信があまりないというか。仲が良ければ遊びに行こうよ的な感覚でいけるのでしょうけども。

集合場所の近辺をロケハンしつつ、それでもまだまだ時間があるので散歩を続けます。今ロケハンしても撮る時に光の具合が変わっているから、基本的には臨機応変になるのですが、それでもやっておいて損はありません。
歩いていると時間的には夜もすっかり明けて、朝も朝。街には人もだんだんと増えてきました。
スナップを撮るだけでアクティビティとして十分楽しめるので、パリは良い街だなあと思います。本当は僕の見慣れた東京であっても他所から訪れた人からしたら同じなのでしょうけども。これは心持の問題なのでしょうね。

(なんやかんやあって)
待ち合わせ時間です。
外国で現地に住んでいる方のポートレート撮るのもこれで7人目なので、もはや緊張はしないのだけども、それでもやはり緊張します。緊張はしませんが、緊張します。僕は英語をほぼ話せないので大丈夫かなあ不快にさせないかなあ上手くコミュニケーション取れるかなあとか毎回思ってしまいます。
(諸々条件は事前に伝えてあったうえでのことなので大丈夫なはず…)

今朝突然、撮ろうと手を挙げてくれたagata氏はラトビア人でパリで活動しているモデルさん。インスタ見る限りプロやん。
日本が好きでいつか行きたいという話をしてくれて、なんだか安心しました。当然なのだけども友好的な方です。
過去に外国で撮らせてもたった方達もみなさん良い方で、言葉があやふやなままではありますが、翻訳アプリを使いつつ、お互いに何とかコミュニケーションをとろうと努力して、一緒に写真を作ってきました。
前にパリとロンドンでモデルさんと撮影したときの話ってnoteに書いたっけな…書いていない気がしてきました(別によいのだけども)。

agata氏とは日本に帰った後もメッセージでラーメンの話とかやりとりをしたりしています。メールなら簡単に翻訳ができるからお互いにきちんと意思の疎通ができますし。
いつか日本に行って本格的なラーメンを食べたいそうです。
(パリの一風堂も本格的な日本の味ですよ。ぜひ。と伝えましたが、そういうコミュニケーションでよかったのかな)

そもそもパリは食べ物がおいしい。僕が上から目線で何様だという感じなのだけど、作るものに、美術でも街の姿でも食べ物でもとても高い感性の発露があるぞと思っています。ラーメンであってもこちらの人が作る限りは、美味しくないはずがないなと納得します。

パリの中心地であるオペラ座の近くに「koguma」というラーメン屋があって、そこも本格的な日本の味のラーメンと餃子を食べられます。藤沢にある同じ名前の牛乳ラーメンのお店とは違いますが、味としては普通に日本のラーメンと同じ。遜色ない。金額が高い以外は。
フランスの外食は大体そうなのだと思うけど、ラーメン屋がファーストフードではなくてレストラン的に使う感じのお店で、みんな割と長居して友達と談笑しながら食べている印象でした。物価の違いもあるし、回転率を考えて日本と同じ考え方の金額帯ではないことは納得できます。
たしか、ドリンクでキリンの瓶ビールとかもあった気がするな……一本560円とかじゃなくてきちんと高かった気がするな。

僕は新宿の「はやし田」がめちゃめちゃ美味しいと思うんです。
系列店で同じ感じのラーメンを出しているお店も近くにありますが、普通の醤油ラーメンで比べると少し何かが違う気がする。はやし田のポテンシャルすごいなと思います。家系や次郎系、魚介出汁や合わせ出汁など色々ブームはありましたが、ここにきて奇を衒わずシンプルな澄んだスープの醤油ラーメンできちんと美味しいを作るというのが素晴らしいなと思っています。
そういうお店は他にもたくさんありますけども、僕の行動範囲が新宿近辺が多いもので……

写真を載せていても、その合間に文字で関係のない話題が書いてあると写真への集中力が薄れませんか?
僕は薄れると思います。

撮影終了。
僕は良く「メランコリックな」「アンニュイな」「寂しそうな」という表情をリクエストしてしまうのでそういう写真ばかり残りがちです。かといって初対面でリラックスした表情を引き出せるようなコミュニケーション能力があるわけではないので仕方ない部分はあります。朗らかな雰囲気で撮影していたいものの、こう見返してみるとなんだか冷たい表情が多くて疎外感があって少し寂しくなる時があります。(そういうのをわざと撮っているのだけど)

ポートレートを関係性の撮影と捉えると、今回のこれらの写真もちょっと距離あるな、という関係が見て取れてしまいますね。
そういう人間が撮っているのでそうなるのは仕方なしです。
強がりを言うと、都市の中で感じる疎外感、孤独感というものは僕の(写真の中に限らず)テーマのひとつなので、そういうのにつながっていたら何か表現として何かになっているのではないでしょうか。どうでしょうか。

リュクサンブールのある左岸から、撮影をしながらセーヌ川を渡って右岸へ行き、この時点でまだ15時。陽はまだまだ高いけれど、僕はもう充分オフの日を楽しんだよという気持ちです。撮影も約束の時間になった事だし、日本に帰ったら写真を送りますね、ということで解散しました。

それにしてもポートレートを撮る事になるなら、もう少し焦点距離の長いレンズを持ってくればよかったなあ。

この後はパリで毎回行くイタ飯屋にいってご飯と美味しいスイーツを食べる予定です。

今回はたまたま、その毎回行くイタ飯屋のすぐ近くでお酒関連のイベントが開かれておりました。解散した場所からはかなり距離があるのですが、サンマルタン運河沿いの大きな公園のそばで、コンベンションホール(日本でいうとビックサイトみたいなとこ)が併設されているエリアです。
さすがに地下鉄で移動します。
その日は僕がたまに行く新宿の酒場のマスターがそのイベントにゲストとして呼ばれている日だったので、まずはそちらに顔を出してみようと思いました。イタ飯屋まで行けばあとは徒歩5分くらいのところやってるのです。今日はそのイベントと日程を合わせたわけではなく、僕は自分で日程をコントロールしたわけではない仕事でこちらに来ているのに、同じ日に開催されているのはすごい偶然でした。

様々な酒販会社が各ブースで自社のお酒を使ったカクテルを振る舞うというイベント。入場無料。カクテルは一杯10~15ユーロくらい。大きなテントの中にそこかしこにバーがあるという感じのイベントです。日本の相場としては高いけどこちらではそんなものなのかな。
新宿のマスターのところでたっぷり二杯カクテルを飲んでしまってほろ酔いです。頼めばおそらく新宿でも同じものが飲めるのだけど、わざわざパリの端っこで作ってもらうのも面白いものです。酔狂とは良いものです。
食前酒にしては酔ってしまいました。

以前も書いたかもしれませんが、行ったのはsimonettaというこのお店。ピザもパスタも美味しいけれどもデザートがとても良いのです。甘すぎず、無味すぎず、程よい香りがあって、口当たりも丁度いい、これがフランス人の料理のセンスなのかと、初めて食べたときに感動しました。甘さとか香りとかどこかを主張せずに調和させて美味しくしているスイーツは初めて食べたかもしれません。パリに来たらぜひ。英語メニューはないけれど、気楽なお店なので。

コンベンションセンターの横は広場と公園でした
メインはウィスキーのイベントこちらはチケットが必要です
近くの公園

お酒も飲んでご飯も食べて、17時半とか。
空はまだ明るいとはいえ、もういいでしょ。もう十分遊んだよ。半日稼働してるよ。と思ったのだけれども、ぎりぎり間に合いそうだし、最後に宿方面に戻りつつ日没のエッフェル塔でも撮るか~~
と地下鉄でエッフェル塔へ行きました。

もらった時間を最大限使って楽しんでやろうという卑しさで着いてみたところ、来年のオリンピックに向けて何か改装しているのか、イベントでもやるのか、シャイヨ宮からの見晴らしの良いエリアは柵で囲まれていました。
これはこれで貴重だなあ。

観光客は沢山いました。

近くではHANAMIという日本食のイベントをやっていました。
以前4月に来た時にはこのあたりではフランスのチェリーのツリーがブロッサムしていたので、HANAMIにはもってこいの場所だったのかもしれません。秋なんですけど、季節がどうこうというつもりはなく、こういう風に本邦の文化を楽しんでくれる人がいることを嬉しく思います。

すっかり日も暮れて、この日に撮った写真を見返すとこれ以降の写真も特になく、この日はおそらく、宿に帰ってさくっと寝落ちしたのでしょう。
日が昇る前から沈むまで、カメラを以てふらふらと歩いていたことになります。
ということで、長く歩いて遊んだ一日でした。
前に来た時にすでに美術館などの主要な観光地にはいっていたので、このような散歩して写真撮るだけの遊びに集中できたのかもしれません。

翌日からは仕事です。

今回は仕事で来させてい頂いて(本業の方の)、一日オフ日をいただいて、偶然も重なり遊びを詰め込んだ感じだったのですが、個人で行く旅行もだいたいこんな感じであわただしくいろいろと詰め込んでしまいます。
いつまでこんなパワートラベルが可能なのかはわかりません。
60歳になったら、そもそも今回程度のカメラ機材でも重く感じてしまうかもしれません。12時間移動し続けて写真を撮るとか無理でしょうし、下手したらシャッターを押しながら死ぬかもしれん。やれることをやれるうちにやっておかないとなあと思います。
何をしていたって人生後悔するかもしれないのですから。

この後は、先に書いたように翌日9時半~18時のお仕事で、終わったら写真を撮りつつ宿に戻って、写真を撮りつつ飲みに出かけ、その翌日も9時半~18時でお仕事して、無事に終了し、打ち上げまで時間があるので写真を撮りながら歩いて打ち上げ会場まで移動(遠回りして2時間かかった)、帰り日はスーツケースをロッカーに預けて半日撮り回り、夕方に空港へ。そして帰路へ。
というスケジュールでした。

美術館などには行けなかったけれど、美味しいものも食べたし、仕事もしたし、写真も撮ったし、充実していたなあと思います。
最終日に空港で少しアクシデントがあったのですが、とりあえずすべて無事に事が運んだし。

これ以上細かな事を書いてもみなさんそろそろいい加減飽きてきていると思いますので、以下は、時系列準ではないのですがその時に撮った写真たちを載せて終わりにしたいと思います。

仕事場近くの建物
ファッションウィークのモデルが泊ってるホテルらしいところ
いぬ
いぬ
夜のルーブル
バイクの前輪のカバー
乗り捨てOKの電動チャリ
ゾラ
エスカルゴ
朝食
チュイルリー庭園にて
いぬ
ファッションウィーク初日のDior本店
どこへいても気になる木の幹を撮る
パインの木肌。美しい。パリ関係なし。
アメリが好きなのでたびたびここへ来る
サンマルタン運河沿いの散歩道。いぬ。
別のミッションを携えて訪れた酒場

撮影した写真、カラーはα7iiiで撮影していますが、モノクロはQ2Mとαと両方あります。こう見るとあんまり差が分からないですね。
長々とお読みいただきありがとうございました。

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前にフランス行った時の写真↑↓


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