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今日、どこかの教室で #11

新型コロナウイルスで休校になった学校を舞台にした創作ストーリーを会話形式で綴っています。2000文字ほどですぐ読めます。

※完全一話完結です。この記事だけでも是非読んでください。

これまでのお話はコチラ!!
↓↓↓

過ぎし3月14日のホワイトデー、学校が休みになって渡す予定だったのに渡せなかったみたいな話もどこかにあるかもしれませんね。

3月16日 ~@=小学校・4年4組
生徒・君島心愛〔ここあ〕(10)、蛍原笑瑠〔える〕(10)と先生・清水浩平(27)の場合。

清水「・・・」

心愛「・・・」

笑瑠「・・・」

心愛「本当に何も持ってきてないの?」

笑瑠「当たり前だろ」

心愛「なんで?」

笑瑠「だって当たり前だろ、俺たち別れたんだから」

心愛「だからってもらったもののお返しもできないわけ?」

笑瑠「なんで別れた彼女にプレゼント渡さなきゃいけないんだよ?」

心愛「ただのプレゼントじゃなくてバレンタインのお返しよ?付き合ってなくても何かしらお返しはするもんですよ」

笑瑠「別れたばっかの元彼からもらって嬉しいかよ?」

心愛「べ、別に嬉しくはないけど、一生懸命金箔入りトリュフチョコ手作りしてあげたのに、あげっぱなしなのはなんかムカつく!」

笑瑠「キャーキャーうるせえなぁ。何かと思ったらこんなことのために呼び出したのかよ・・・もう帰る」

心愛「こんなことって何よ⁉話まだ終わってない!」

清水「まぁまぁ、二人とも・・・」

心愛「先生はどう思いますか?」

清水「いやぁ、今の小学生は大人だなぁって、先生が小学生の時は付き合ってる人なんて・・・」

心愛「じゃなくて、こういう場合、お返しはするべきかどうか」

笑瑠「先生に聞いても意味ないよ」

心愛「どうしてよ?」

笑瑠「先生ドーテーだから」

清水「ちょっ!!」

心愛「ドーテーって何よ!」

清水「君島さん・・・」

笑瑠「俺もよくわかんねぇけど、彼女いたことないらしいよ」

清水「ちょっと笑瑠!!誰からそんなこと」

笑瑠「ずきTに、清水先生はなんで男子は呼び捨てなのに女子はさん付けなの?って聞いたら、ドーテーだからだって」

清水「鈴木先生・・・」

心愛「嘘でしょ・・・あたしらより倍も生きてるのに」

清水「いや彼女はいたことあるよ・・・一応」

心愛「じゃあドーテーじゃないじゃん。テキトーなこと言わないでくれる?」

笑瑠「ずきTは絶対ドーテーだって言ってたもん」

清水「いいんだ・・・鈴木先生は間違ってない」

笑瑠「どういうこと?」

清水「それは・・・今は関係ない!」

笑瑠「よくわかんねぇけど、彼女いたことあるなら聞いてもいいよ」

心愛「どう思いますか?先生」

清水「う~ん。一回二人の言い分聞いてもいい?お互いが聞こえないように」

心愛「・・・それいいかも」

笑瑠「・・・まぁいいよ」

清水「じゃあ隣の教室で」

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心愛「まだ本当は別れたくなかったの・・・」

清水「そうなの?」

心愛「ラブラブだったのに・・・二月の終わりにいきなり俺たち別れようって笑瑠の方から言い出してきて・・・」

清水「そうだったんだね・・・」

心愛「二人で一緒に育ててたポニータも今はあたしのボックスの奥で眠ってる・・・」

清水「ポニータって?」

心愛「ポケモン。交換して育ててたあたしたちの愛の証」

清水「現代の小学生の恋愛ってそんな感じなのか・・・」

心愛「ねぇ先生。どうしたらヨリもどせるかな?」

清水「うーん。よくわかってないけど、その気持ちをちゃんと伝えればいいんじゃないかな?」

心愛「どうしてそう思うの?」

清水「さっきの話し合いだと、単純に損したくなくてもの欲しがってるみたいで、笑瑠からのプレゼントじゃなくてもいい感じがしちゃってるから」

心愛「あたしそんな・・・」

清水「わかってるけど、伝わってないから。笑瑠がなに考えてるか聞いてからじゃないとあれだけど、ちゃんと今の気持ち言える?」

心愛「うん」

清水「じゃあ笑瑠呼んできて」

心愛「はい」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

清水「どうしてそんなにプレゼントあげたくないの?」

笑瑠「だって・・・俺貧乏だから」

清水「え?」

笑瑠「お金ないからいいものあげられない。心愛んちお金持ちだから、しょうもないものあげると嫌われると思ったから」

清水「フラれるの嫌だから自分から別れようって?」

笑瑠「うん」

清水「気持ちわかるけど・・・別に高いお返しが欲しくてバレンタインあげたんじゃないと思うぞ」

笑瑠「そう言ってた?」

清水「そうは聞いてないけど、多分そうだと思うよ」

笑瑠「じゃあどうすればいい?」

清水「笑瑠はどうすればいいと思う?」

笑瑠「気持ちのこもったプレゼントあげる・・・」

清水「そうだな」

笑瑠「でも今すぐなんて・・・」

清水「そんなことないと思うよ・・・ほら」

笑瑠「あんなもんで喜んでもらえるかな?」

清水「大丈夫だよ」

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清水「お待たせ」

笑瑠「・・・」

心愛「長かったですね」

清水「ちょっとね、ほら笑瑠、あとは頑張れ」

笑瑠「俺貧乏だから・・・こんなものしかあげられないけど・・・」

心愛「どうしたのこれ?」

笑瑠「花壇の花。心愛をイメージしてブーケにしてみた」

心愛「・・・えぇ」

笑瑠「ダメかな?」

心愛「有り得ない。女の子にこんな汚い花渡すなんて」

清水「え!!??」

笑瑠「・・・うっ!」

心愛「普通ならあり得ないけど、笑瑠のことは大好きだから嬉しい!」

笑瑠「え?」

心愛「あたしのこと考えて選んでくれたプレゼントなら何でも嬉しいよ!」

笑瑠「心愛!」

心愛「これからも一緒にいてくれる?」

笑瑠「もちろんだよ・・・」

心愛「笑瑠!!」

笑瑠「心愛!!」

清水「・・・はぁよかった」

笑瑠「先生ありがとう!!」

清水「ああ・・・うん」

心愛「先生も早くドーテーじゃなくなるといいね!」

清水「ほっといてくれ!」


ー了ー

生徒たちは登校できませんが、僕は毎日投稿していくつもりです。

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