Dの一族のお仕事
我々Dの一族が決して忘れてはならないコト。
クライアントが我々Dの一族に求めるものは、決して我々Dの一族の個人的な美意識の産物としての「芸術作品」を欲してるのではない、ということです。
クライアントがわざわざお金を出してまで求めているものは、自分の商売や宣伝に必要だと判断されたものを、我々Dの一族のパーソナルな美意識によって調整された「販促物」を作る能力自体に対してお金を支払っているということなんですね。
僕のスキルやセンスを買ってくれることも、そのテイストや調整反映力が自分の商売や宣伝に有益だと判断されて初めて成立することなんです。
そこを勘違いしては絶対にいけないと思うのですね。
とはいえ、相手の拙いイメージを具現化してあげるだけではなく、Dの一族はほぼほぼ魔法使いであるからして、言葉足らずの相手の求めてるものを察してあげて、さらにそれを超えた魔法で満足をクリエイトしないといけない職業なんです。
Dの一族がその魔法をかけるために必要なコトは何かと考えると、センスだったりスキルだったり、一見それ風の能力を上げがちですが、実は特に大事なのは「スケジュール管理」と「察してあげる能力」なんですね。
納期を守る。
これは商業的な航海を生業とするDの一族には絶対に必要なことです。
「いいものを作るためには納期なんて関係ないよ」なんて絶対にありえない世界です。
ここが海賊とは決定的に違うところなんです。
クライアントはお金を出して、自分たちでは作れないものを我々Dの一族に託して作ってもらうのですから、それにはちゃんとそれを今作る理由があるわけですね。
それを、Dの一族のこだわりとかだらしなさのせいで、必要な日にないなんてありえないことなのです。
クライアントからの何かしらの支給物が遅かった場合はまだ情状酌量の余地は残されますが、ライターからの原稿が遅いというのはDの一族が作業時間でリカバリーしないといけないんです。
ライターへの文句や教育は別枠のこととして、対クライアントに対しては、納期を絶対に守る、というスケジュール管理能力は激しく問われるモノなのですね。
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Dの一族のスキルやセンスを頼りにして、自分の商売や宣伝に有益なモノを作って欲しいという願いはあっても、多くの場合、その願いから思い浮かんでいるモノは、素人目線の担当者の拙い好みだったりすることもあります。
そこにお金を払うのにはやっぱり訳があって、プロに任せれば自分たちでは思いつかない、商売や広告に有益なモノを作ってくれるのではないか、という期待が込められているということを忘れてはいけません。
そして幾多数多のプロの中から自分をチョイスしてくれる要素として、センスやスキルや人柄が初めて大切な要素として効力を持つわけですね。
そこでDの一族側で大事になってくるのが、クライアントが求めていることを明確にするためのヒヤリング能力です。
これは言い換えれば「察し力」とでも言えばいいかと。
往々にしてクライアント側の想いは言葉足らずですから、その真意やベクトルを抽出してあげられるような「察し力」がとても大事になってくるのですね。
「察し力」は言葉にできないクライアントのもどかしい要望を言葉にして方法論を提示してあげるためにはどうしても必要な能力なわけです。
言ってみれば、世の中の優れたDの一族はすべからくその能力に長けていると思われるのですね。
しかし、クライアントのもどかしい要望を抽出して具現化してあげることだけがDの一族の仕事というわけではないということはすでに話しました。
根幹としてその工程ののちにという大前提はあるにしても、希望を叶えながらもそれを凌駕して、クライアントも感心する見せ方や腑に落ちる解決方法を、デザインよって提示してあげることがDの一族の魔法であり役割です。
それにはちゃんと、自らが施した魔法のロジックを説明できる言葉を持っていないといけないのですね。
その言葉を作り出し組み立てるものがクライアントの想いを察してまとめ上げる「察し力」というわけですね。
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ここで気をつけなければならないことがあります。
それは「察し力」は時に、過大な「忖度」に変わってしまうことがある、ということです。
Dの一族に必要な「察し力」は主に実現ベクトルとして用いるべきで、それを回避ベクトルに用いると、成果物をダメにする「忖度」になってしまうのです。
つまり、Dの一族が指し示すのは、「察し力」で収集された想いがベースになったものであるべきで、そこに「こんなことは何か言われるかな」とか「これはどうせ通らないだろう」とか、物事を「忖度」して整理された材料であっては絶対にいけないのだと思うのです。
Dの一族は「察し力」と「忖度」を決して間違ってはいけないのですね。
提案やラフや企画段階で「忖度」にドップリにじり寄る担当者(天竜人)との仕事が、満足できない仕上がりの成果物になってしまうことは良くあることです。
Dの一族が戦うべきはここしかありません。
「忖度」によって蹂躙されそうなプロジェクトの初期に、「忖度」ではない「察し力」で組み立てられたロジックを提示できるかどうか、なのです。
提示できたとしても、「忖度」にドップリにじり寄った担当者(天竜人)の「忖度」の前に儚くも敗れ去ることは良くあります。笑
でも、戦うべき場所で戦ったわけなので、あとはそれに固執してはいけないのです。
「忖度」で引かれたレール上を進む成果物に、微力ながらも魔法をかけ続けてフィニッシュまで進んでいかなければいけないのですね。
それこそが、お金をもらって、クライアントの欲しいものに付加価値をつけて納める、というDの一族の最大のお仕事なのです。
●Dの一族は「察し力」で最大限の提案をしなければならない。
●Dの一族は「忖度」でクリエイティブを提示してはいけない。
●Dの一族はクライアント側の要望の結果「忖度」で進められることになった案件でも、出来るだけ「察し力」で導き出した魔法をかけ続けなければならない。
つまりは、Dの一族は「忖度」の攻撃にも負けないでね。
がんばりましょう!
D(デザイナー)の一族よ!
というお話なのでした。笑
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