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集大成

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建築家にとっても画家にとっても、造形や平面上に自らの何かを生み出す人たちは、その集大成となる何かを手掛けたいと願っている場合が多いと思います。
対象は大きな壁画だったり大聖堂の天蓋だったり、あるいは箱そのものだったりするのですが、様式美とは少し離れた場所で、自らの溢れ出るインスピレーションとアイデアで、既成の概念を心地よく逸脱した作品を手掛けたアーティストたちがいます。
ミケランジェロやレオナルド・ダ・ビンチなどもそうですし、かの有名なサグラダ・ファミリアなどで知られるアントニオ・ガウディなどもそういう仕事を成し遂げたアーティストの一人です(ファミリアは未完成ですけれども)。
そういった歴史に名を残している人たちの仕事の中で、少し異彩を放つ「自らの集大成」を残した人がいるんです。

アンリ・マティス。
20世紀を代表するフォーヴィズムの巨匠です。
彼の絵画や切り絵はよく知られていますよね。
特に「ダンス」や「ジャズ」は超有名です。

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僕は彼のデフォルメ力(りょく)と配色のセンスが大好きなのですが、そんな彼も自らの創作活動の集大成とした仕事を残しています。
マティスのロザリオ礼拝堂。
彼は画家でありながら、礼拝堂という箱を集大成としました。
彼の自由な抽象表現やデフォルメ・センスの集大成と言っていいでしょう。
光に溢れたシンプルで静謐な礼拝堂。
しかもそこには彼なりの深い信仰が横たわった素晴らしい作品だと思うのです。
光の取り入れ方や、光という概念への取り組み方が、建築家のそれとは大きく異なるような気がするんですよね。
羨ましいくらいに、素敵な礼拝堂だと思います。w

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残念ながら僕はまだ、南仏のヴァンスにあるこの礼拝堂を生で見たことがありません。
でも京都の出版社にいた頃に、このロザリオ礼拝堂の写真集を作ったので内容はよーく知っているのです。w
こういう仕事を芸術家は目指したいだろうし、目指すべきことなんだろうと思うんですよね。
僕はまだそういう仕事には出会ってませんけれども、基本的には芸術家ではありませんから、こういう「集大成」的な仕事はなかなかないのかも知れません。
それでもいつか、そう呼べるような仕事に出会えたらいなと願っているんですよね。
デザイナーは「芸術家」ではありませんが、「クリエイター」ではありますから。w w
だから僕の創造力のすべてを制限なしに注げるようなそんなお仕事(笑)。
ないか、やっぱり。w
あくまでも「芸術家」ではなくて「商業デザイナー」なアロハさんであるからして、それは永遠に夢かも知れませんね。w


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