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「背高泡立草」古川真人 【感想】そこに埋もれているものは何か

「背高泡立草」古川真人 【感想】そこに埋もれているものは何か

今回は、第162回芥川賞を受賞した古川真人さんの「背高泡立草」について、感想というか、個人的な解釈を書いてみる。

 物語は主人公たち(吉川家)が生きる現代と、吉川の二つの家にまつわる過去の出来事に分かれており、一章ごとに交互に展開される。過去の出来事は現代の登場人物たちの会話をトリガーにして始まるが、現代と直接的に繋がることはなく、各章ごとに独立した物語として語られる。その時代はバラバラであり、

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1R1分34秒 町屋良平 (感想)

1R1分34秒 町屋良平 (感想)

ボクシングを題材とした作品だが、主人公はタイトルを勝ち取れるような選手ではなく、どちらかといえば、そういったことからは程遠い、プロになってから間もない3敗1分の無名選手。負けを引きずり、タイトル獲得から次の試合に勝つことに。描いていた夢のハードルも徐々に低くなっていく。ボクシングをなぜやっているのか、目指しているものは何なのか曖昧になっていく。試合に負け、トレーナーに捨てられて、代わりについたウメ

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