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プロの書評家から「寸止め」の呼吸を学ぶ~ディーリア・オーエンズ著/友廣純訳『ザリガニの鳴くところ』を若林踏が読み解く~オススメ本も一挙紹介!!


月刊ALLREVIEWSの特別企画として、書評家の若林踏さんに、みんなのつぶやき文学賞1位となったディーリア・オーエンズ著・友廣純訳『ザリガニの鳴くところ』を読み解いていただきました。当日の進行を務めたのは私「くるくる」。最近では友の会のお手伝いもしていますが、日ごろは単なる一読者です。市井の一読者がプロの書評家と相まみえることとなり、かなり「あわあわ」しました。でも、とっても楽しかった!そんな私の「あわあわ」記と、若林さんからご紹介いただいた、オススメ本をご紹介します。

企画して分かった!『ネタバレ』企画は難易度が高い

そもそもこの企画のきっかけは、私くるくるが『ザリガニの鳴くところ(以下ザリガニ)』をアメリカの貧しい地域で両親に育児放棄され、自立せざるを得なかった女性の成長譚としてとても面白く読み、でも、ミステリとして、「謎解き」はこれでいいのかと悩んだこと。丁度、『ザリガニ』が第1回みんなのつぶやき文学賞(tb賞)の海外編で第1位となったこともあり、ミステリ書評家でtb賞発起人の若林踏さんに「完全『ネタバレ』で『ザリガニ』を読み解く講演会を開催していただけないか」とお願いしたことから始まりました。

若林さんはそもそもtb賞発表の席で「謎解きミステリとしてももっと評価されてもよい」とおっしゃっている。『ザリガニ』は変死事件が勃発し、事件現場に被害者の足跡も指紋もないことから事件性が疑われ…、というミステリの王道でもある。ぜひ「ミステリとして話したい」とこちらのオファーを快諾いただきました。

もっとも、そこはミステリ書評家の方。「ネタバレ」と銘打っても宣伝では「本当の核心」には触れないことが肝要と教えていただきました。また「ネタバレ」というと、オーディエンスの方も集まりにくい面もあるとのこと。本件、版元の早川書房さんにもご連絡して開催したイベント。ミステリに限らず、書評イベントは、ネタバレしすぎない「寸止め」の呼吸が必要だと学びました。

私はイベントで司会として入らせていただき、とても楽しかったです。素人がプロの方と対話形式でお話を聴けるチャンスはめったにありません。やっぱり、プロは読み込むし、類型の本を持ってくるのもうまい。また読み取ったことを簡潔に伝える方法も、今後盗ませていただきたいと思いました。いや、私、この年で「学び」だらけです。

ネタバレイベントですので、残念ながら中身をここにご紹介することは憚られます。イベントをご覧になっていない方、友の会の方はアーカイブ視聴可能ですので、ぜひご観覧を。

若林さんのオススメ本

イベント中、若林さんから沢山の本の紹介がありました。全部は紹介しきれませんが、機会があればぜひお読みください。

★若林さんが文庫解説されているミステリもご紹介いただきました。

そして最後、若林さんの単著のご紹介。新進ミステリ作家にインタビューしたもの。コロナの期間にもインタビューしているので、コロナ禍の記録にもなっています。

【記事を書いた人:くるくる】

【「ALL REVIEWS 友の会」とは】
書評アーカイブサイトALL REVIEWSのファンクラブ。「進みながら強くなる」を合言葉に、右肩下がりの出版業界を「書評を切り口にしてどう盛り上げていけるか」を考えて行動したり(しなかったり)する、ゆるい集まりです。
入会すると、日本を代表する書評家、鹿島茂さんと豊崎由美さんのお二人がパーソナリティーをつとめる、書評YouTube番組を視聴できます。
友の会会員同士の交流は、FacebookグループやSlackで、また、Twitter/noteで、会員有志が読書好きにうれしい情報を日々発信しています。
友の会会員の立案企画として「書評家と行く書店ツアー」、フランスのコミック<バンド・デシネ>をテーマとしたレアなトークイベントや、関西エリアでの出張イベント等が、続々と実現しています。2020年以降はオンライン配信イベントにより力をいれています。
さらに、Twitter文学賞の志を継承した「みんなのつぶやき文学賞」では、友の会会員有志が運営にボランティアとして協力。若手書評家と一緒に賞を作り上げていく過程を楽しみました。
2021年2月には、鹿島茂さんとの対談6本をまとめた『この1冊、ここまで読むか!超深掘り読書のススメ』が祥伝社より刊行されています。
本が読まれない時代を嘆くだけではダメだと思う方、ぜひご参加ください。
ALL REVIEWS友のTwitter:https://twitter.com/a_r_tomonokai








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