【アトピー性皮膚炎】デュピクセントとアドドラーザ 最新の薬を比較
いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。
今回は近年話題となっている
アトピー性皮膚炎の注射薬の試験結果の値を
それぞれ見比べていこうと思います。
1.デュピクセントとアドドラーザとは?
デュピクセントでは
アトピー性皮膚炎の悪化に影響する
IL-4,IL-13という
サイトカインが細胞につく場所(受容体)に
先にくっついてそれぞれの働きを抑えます。
アドトラーザはIL-13に直接くっついて
IL-13の働きを抑えるといったイメージです。
IL-4がないことにより
何が変わってくるのか。
2.条件比較
それぞれの試験条件や対象患者について
見たうえで結果を比較する必要があります。
違う点としては
アトピー性皮膚炎歴と治療薬歴
そう痒NRSスコアの平均値ですね。
治療歴に関してはデュピクセントの方が
多くの薬を経験している方が多そうです。
一方で
痒みはアドトラーザの方が
ひどい方が多そうですね。
対象患者数は倍近くで
併用しているステロイド外用剤は
アドトラーザの方が2段階強いものを
併用しているんですね。
試験結果に影響が出ないのか
気になりますよね。
また、デュピクセントの方が
長い期間見ていきます。
3.試験結果比較
主な評価項目のみ記載して
比較してみましょう。
それぞれ一般的に使用されている
投与量の結果で比較しています。
多少デュピクセントの方が
達成率が高い気もしますね。
医師判断の評価では
同程度のスコアとなっています。
痒みの改善率はデュピクセントが
上回る値を示しています。
しかし
アドトラーザの方が対象患者さんの
NRSスコア平均が高いのも考慮すると
アドトラーザでも改善率は
高い印象を受けます。
3安全性比較
デュピクセントは52週時点
アドトラーザでは32週時点での
主な有害事象の記載をします。
上記には有害事象を示しましたが
投与期間の差や試験デザインの違いから
安全性はあまり比較することができなさそうです。
基本的には同じような副作用が
発現していますね。
4.いつき博士の考察
今回は新薬2種類の
有効性と安全性の比較について
記載してきました。
①有効性
今回の試験結果のみ比較すると
一見デュピクセントのほうがいいのでは?
といった意見が多く見受けられるでしょう。
しかし、患者の条件
投与期間、併用薬のランクなど
背景が異なるため一概には比較できなさそうです。
アドトラーザでも結果が得られていることから
IL-13のみの阻害でも改善の結果は得られていることがわかりました。
②安全性
安全性は比較できませんが
下記に示したことを示唆しています。
IL-4もアトピー性皮膚炎に
関与していることが知られており
IL-13同様にTh2サイトカインの一種とされています。
どちらも阻害する
デュピクセントではアドトラーザより
Th2サイトカインと
Th1サイトカインのバランスが
崩れてしまうのではないかといった
示唆も生まれています。
今回の議題には挙げていませんが
薬価はほとんど変わりません。
デュピクセントで効かなかった方への
新たな選択肢としてアドトラーザが
どれほど臨床で活躍するか期待が高まりますね。