見出し画像

アトピー性皮膚炎の評価項目一覧

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。

今回はアトピー性皮膚炎の
評価項目についての記事です。

アトピー性皮膚炎の治療薬の
臨床試験を見ていく中で
評価項目を理解することが重要です。

どのくらい良い薬なのか
判断できるように評価項目を
いくつか紹介しようと思います。

1.IGAスコア

IGA(Investigator’s Global Assessment)とは
評価時点の全般的な重症度に対する
医師による総合評価指標です。

・評価方法
医師により皮膚症状の変化を
0~4の5段階で評価します。

※重症度を評価する時にすりキズを
 考慮しない等の注意点もあるそうです。

客観的な評価項目として
臨床試験では
よく用いられますね。

2.EASIスコア

EASI(Eczema Area and Severity Index)とは
医師が身体の4部位について
皮膚症状の範囲及び重症度を評価します。

・EASI評価方法
①身体部位(頭部/頸部、体幹、上肢、下肢)を選択
②湿疹面積を0~6で評価

③皮膚の重症度を0~3で評価

中間の値(1.5と2.5)は
使用可能ですが0.5は用いません。

④評価した値をスコア表に記録します

sanofi医療関係者向けサイト

合計スコアは
0~72ポイントの間で決まります。

EASI変化率は
ポイントがどのくらい
減少したかを示します。

・EASI-75
EASIスコアでベースラインから
75%以上の改善

・EASI-90
EASIスコアでベースラインから
90%以上の改善

EASI-90では皮膚の赤みや湿疹は
ほとんど認められなさそうですね。

3.そう痒NRSスコア

NRS(Numerical Rating Scale)とは
0~10で痒みの程度を患者本人が選択します。

※10が【想像されうる最悪の痒み】
  0が【痒みなし】

PPNRS-4という評価項目を
よく論文や臨床試験データで
見かけます。

これはNRSスコアが
ベースラインから4段階以上
下がった際の評価項目として用いています。

主観的な痒みの変化
評価するための項目として
わかりやすいですよね。

4.そう痒VAS

NRS同様に主観的評価項目です。

0をかゆみなし
100を想像されうる最悪のかゆみ
としてVAS値(㎜)で評価します。

患者本人が痒みの程度を線上で示します。
これを変化率として、評価していきます。

NRS、VASは実際に痒みの尺度を
主観的かつ視覚的に判断できますね。

5.POEMスコア

POEMは患者自身による
アトピー性皮膚炎の症状の評価指標の1つで
自己評価指標として世界的に推奨されています。

①質問はアトピー性の湿疹の症状を評価するための7項目からなる
②各項目を合計して総合得点(0~28点)を算出する
③回答は次のとおり得点に換算する
「なし(0日)」の場合は0点、「1~2日」の場合は1点、
「3~4日」の場合は2点、「5~6日」の場合は3点、「毎日」の場合は4点
④総合得点「0~2=消失又はほぼ消失」、「3~7=軽度」
「8~16=中等度」、「17~24=重度」、「25~28=最重症」
高スコアほど悪い症候状態を表す
高得点ほど状態が良くないことを表し
臨床的に有意な最小変化量(MCID)は3.4点以上である

sanofi 医療関係者向けサイト

患者さんのQOLを質問形式で
点数化していく評価項目なんですね。

いつき博士の考察

今回はアトピー性皮膚炎の
評価項目について
紹介していきました。

臨床試験結果を見た際に
この評価項目は何を基準に
何を判断しているのか?
といったような疑問が
今回の記事で多少は
消えるのではないでしょうか。

色んな項目を見た上で
その薬が良いのかを判断できる

主観的な評価と客観的な評価が大事なんですね。

医師だけが良いと思っていても
患者が良いと思わないと
良い治療とは言えないですよね。

基本的にはこれらを把握していくことが
アトピー性皮膚炎治療薬の試験を
判断していく中で重要かと思います。

《参考文献》
サノフィ医療関係者向けサイト
https://www.dupixent.jp/atopy/
マルホ医療関係者向けサイト
https://www.maruho.co.jp/medical/products/mitchga/index.html