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慣れない人を導く・共に何かをするというコト

2023年4月23日
風と緑の楽都音楽祭2023「市民オーケストラの祭典」の本番がありました。

毎年5月の連休中の本公演を中心に、4月末から繰り広げられるクラシック音楽イベント。
プレ公演として開催されるのが、石川県で活動するアマチュア・オーケストラのメンバーが合同演奏を繰り広げる、市民オーケストラによるステージです。

毎年の春、僕はこの本番のために生きている!と言っても過言ではないくらいに大切にしている舞台です。

ちなみに演奏曲目は、まさに今回のテーマ「東欧に輝く音楽」ヒットパレード!
《前半》
スメタナ:モルダウ
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲より
リスト:交響詩「前奏曲」
《後半》
ドヴォルザーク:交響曲第8番


僕は前半プログラムの3番トロンボーン(バストロンボーン)を演奏しました。
着座位置は舞台山台の最上段上手がわ(客席から見て右)その右隣にチューバが座ります。
今回も同じ団の大ベテランのチューバの方とご一緒するはずでしたが、目の手術をなさるとのことで出演をご辞退され、代わりに知り合いの若いチューバ奏者の方を連れてきました。


普段は吹奏楽団やアンサンブルで演奏しているという彼は以前、石川県立音楽堂落成20周年記念演奏会で『火の鳥』を演奏した時、バンダ(※)でご一緒したことがありますが、管弦楽のオーケストラのステージ上で演奏するのは初めてだそうで。

すごく練習熱心で、素直で、親しみやすい方でした。
ただ、合わせる練習が少ないせいか、「コレで大丈夫かなぁ」というほんの少し不安な感じも見受けられました。


そんな中、今回の曲のところどころに、(他にファゴットやコントラバスが重なったりもしますが)金管楽器は3番トロンボーンとチューバだけ、でしかも目立つ・大事な箇所が何箇所かありました。

彼は、出だしがわかりにくかったり、どんな感じで吹いたらいいのかわかんない、など苦労していました。
合間に大事なところを少し合わせたり、自分がお師匠とのオンラインレッスンで得たことを伝えたりして、少しでも「オーケストラで演奏して楽しい」と思ってほしいな、と思い、コミュニケーションをとっていました。


本番舞台での最終リハーサルとゲネプロは、きっちり録音して響きを確認し、
吹きっぱなしの吹奏楽と違って、楽器を構えるタイミングがわからないとのことで、
「トロンボーンの首席に合わせている僕に合わせれば大丈夫」
と伝えたり、曲中では、さりげなく目配せ(アイコンタクト)したりしました。


本番は今までで一番上手くいって、ステージ上でガッチリ握手!
(コレが堂々とできるのもありがたいですよね)
 
本番終了後、楽器を片付けながら、
「“さぁいくよ”って感じでリードしてもらえたり、いろいろしてくれて。ホント安心して演奏できました、ありがとうございます」
と言ってくれた彼の笑顔がすごく良いなぁ〜と思いました。


思えば、僕が初めてオーケストラの舞台に上がったときや、今の所属団体にエキストラとして呼ばれた時、経験値がぜんぜんない僕にオーケストラの中で演奏するときのイロハを教えてくれたのは、今でもお世話になっているベテランの方でした。
「この方がいるから任せて・頼って安心」ていう感じのする人。

その方々のおかげで今の僕がいるんだ、と。

人を教え導くってすごく難しい‥。
演奏技術はともかくとして、
「自分もそんなことをする年頃になったのかなぁ」って。

そう遠くないうちに、彼の隣でまた演奏する機会があるような気がしています。
その時はまた笑顔で楽しく演ることができたらいいなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


※ オーケストラなどで、本来の舞台上の編成とは別に、離れた位置で「別働隊」として演奏する小規模の演奏者のこと

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