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先輩との二重奏で理解した合奏の目標

初めての良い演奏

部活で二重奏に取り組んでいた。
相手は二つ上の先輩で、演奏技術も音楽的な知識もハイレベルな人だった。
入部以来何度も合奏を重ねてきたが、先輩が部活に参加できる機会も限られてきていて、もしかしたら最後かもしれないと思っている。

そんな先輩との演奏を先日の発表会で終えた。
演奏中にあれほど高揚感を覚えたのは初めてだった。

とにかく今までで最高の演奏が出来た。
曲の魅力的な展開を感じ取ってもらえるように工夫できたし、ノリをアドリブにしたかけあいの部分もニュアンスを汲み取って表現できた。
そして何より、録音を後から聞き返したときに恥ずかしさを感じない演奏が出来たのは良かった。

そんな演奏を終えて、
「なぜ満足度がここまで高くなったのか?」
「他の合奏の満足度を高めるにはどうすればよいか?」
というようなことを考え始めた。

曲想、解釈

合奏練習の中で本番の満足に大きく貢献したと思われる要素が、曲想の共有である。
曲をさらえたのが3月で、それ以降の練習は揃えることよりもどのように弾きたいかのイメージの共有にかける時間が多かった。
そこに時間をかけ、こだわりを沢山曲に盛り込んだことで大事に演奏することができたように思う。

でも、曲想の共有をしても必ずいい演奏になるとは思わない。
第一に、ニュアンスを表現できるだけの演奏技術がなくては意味がない。
そして、解釈の共有に肯定的な状況でしかうまく機能しない。

自分は、曲を一つの物語のように解釈することが好きだ。
パートやフレーズを登場人物に見立て、彼らがどのように変化していくのかを捉えることで、共感しやすくなり演奏に心を込められる。
しかし人によってはこの捉え方は曖昧で、音楽的な情報の方が共有しやすい場合がほとんどである。

合奏は共に作り上げるものなので配慮すべきは全体である。
曲想の共有は合奏をよりよくするためのものであり、自分の妄想を垂れ流す行為に貶めてはいけない。

次の演奏に向けて

今回の二重奏を通じて合奏で目指す目標が何となく掴めた。
「取り組む人が出来上がった演奏に納得/満足でき、こだわりや好きなポイントを持ち、楽しく弾けること」
そう簡単ではないが、ようやくスタートラインに立てた気がする。
これに気づかせてくれた先輩には感謝してもしきれない。
心の底から尊敬の念が沸き上がってきてやまない。
どうかもう一度合奏させてください。

目下取り組むべき合奏は8月の京都での発表会での合奏である。
18人の大人数での合奏になり、全員の思っていることを汲み取る難しさを感じている。
先輩としての距離感やパートの役割など上手く消化できていない課題は何個もあるが、大人数合奏の機会を最大限に生かしたい。

また、もしかすると合奏が最後になるかもしれないOBの方とご一緒する。
そういうのばっかりなので、そろそろ一期一会を身に染みて分からないといけない。

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