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【新連載・ロマンス・和風ファンタジー小説(オマージュ)】あなただけを見つめている……。 第二部 次代の姫  第五話 前編・子犬、子猫、あかちゃんの襲来

前話

 赤ちゃん用品店に突撃してベビーカーやらなんやら新調して屋敷に帰ってくると、とんでもない事が起きていた。なんと、あの緋影が来ていたのだ。子猫を連れて。かなり月齢が若い。千輝のように楽観的にしては危なかった。沙夜が緋影と子猫の面倒を見ていてやっと夜中に安定した。千輝のゲージはそのままだが、ソフトベッドを取られ、千輝はご機嫌斜めだ。
「あれ、お気に入りだったのにねぇ」
「ぴぎぴぎ」
 千輝は鳴いて窮状をを訴える。
「今日は姫夏ちゃんもいるから、明日、買いに行こうね」
 步夢が姫夏を抱きながら言うと千輝は姫夏に手を置く。
「姫夏ちゃんとお友達になれたらいいわね」
 千輝はあん! と返事する。姫夏は大きな声を聞いたのに、きゃっきゃっといって千輝に触れようとする。千輝は触れそうで触れないところを行ったり来たりして姫夏と遊ぶ。
「ちきちゃん、どこで寝る? ベッドどられたら寒いでしょう」
 步夢の言葉にはたと止まって考える千輝である。姫夏は遊びが途中で止まってご機嫌斜めになっている。グーイングで千輝に訴える。
「ママと姫夏ちゃんとちきちゃんで寝ようか。お母さんが主寝室貸してくれるって言ってたから。広いベッドで眠れるわよ~」
 ぴぎぴぎと千輝は賛成する。
「おい。俺は? パパは?」
「結婚もしてない男女が一緒って言うことになならないでしょ。当騎ははやくベビーベッド組み立ててよ」
「あれ、結構重いんだからな。明日組み立てる。布団もいるし、採寸しないとな」
「取説にないの?」
「あるけれど、ちゃんと採寸して買わないとダメ。姫夏の好みもあるだろう?」
 二人と一匹で喧々囂々していると日史の笑う声が聞こえる。
「ほんとにパパとママだねぇ。産んでもいないし、そんなに恋愛段階深くないんでしょ?」
「経験値がものを言う」
「そうそう。だてに11人育ててないわよ」
 もう、この二人は恋愛を飛び越えて親と化している。あのみずみずしい恋愛をしないつもりだろか。暖も征一も不思議そうにしている。いつだって、ちゃんと恋愛段階は踏んでいた。日史に聞くと、付き合う付き合わないでもめていたらしいのに。
「少し、吉野に姫夏と千輝を預けてデートしてきたら? 老けてるよ?」
 暖が言い、征一がうなずく。
「え。お肌の曲がり角?」
 ちょっと声を変えて当騎が言って両頬を包む。
「やだー。当子ちゃん。お肌ぴちぴちよ」
 步夢も悪ノリする。そんな両親が面白いのかまたきゃっきゃと笑って手を出したり下ろしたりする。千輝はまた姫夏と遊び始める。
「もうー。ほんとに心配してるんだよ。みんな。今までと違うから」
 日史が言うと步夢は真剣な目をする。
「もう、デートはローマで済ましてきたし、いまさらなのよ。これまで智也と優衣と四人でてんやわんやしてもう十分なの」
「智也がいるんだね。步夢の中に」
「俺の中にも居る。あいつに恥じない生き方をするんだ」
「それで選んだ道がパパとママ?」
 少し真剣に日史も言う。
「そういうわけではないけれど、当主の意識がありすぎるのよ。もう、無邪気な昔には戻れないわ」
 強気に言っているのに、目尻には涙がにじんでいた。智也はもう優衣のモノでそれごと暖が包んでいるのに、この二人はそれでも苦しんでいる。真面目なのだ。
「わかった。パパだけ放り出して風邪ひかれたら困るから、一緒に寝ること。間に千輝と姫夏ちゃんを挟んだら何もできないでしょ」
 はぁ、とため息をつきながら日史が言う。
「いいの? 親子で寝て」
 ぱっと步夢の表情が明るくなる。それを見て当騎の顔色もましになる。步夢はまだ当騎の心の中にも智也が居てあがいているのに気づいていない。なのに、一緒に子供育てるなんて。いつか破綻する。それまでに緩解すればいいけれど。
「何、一人じぃじになってるんだ?」
 当騎が日史の肩に腕を乗せる。
「ちょっ……」
「聞こえてきたぞ。俺は大丈夫。步夢さえ、姫夏達がいればいいの。恋愛はこれからキャンパスデートで叶えるから」
「あ。その件だけど、私、しばらく休学するから。お母さんには緋影との時間が必要だし、暁輝ちゃんと優衣の時間が必要だから」
「あき? 誰それ?」
 メンバー一同不思議がる。
「今、優衣とお母さんと緋影が必死に育ててる子猫ちゃんよ。優衣の聖獣の子よ。千輝ちゃんは優衣が決めたんだから今度は私でしょ。千輝とおそろいの名前にしたかったの。暁って一文字でもあきって読むけれど当て字で二文字であき。暁輝ちゃんって名付けたの。優衣もそれを気に入ってくれてるわ」
 話が進みすぎている。いつの間に打ち合わせしたのか。この姉妹は。日史は額に手をやって悩んだのだった。


あとがき
当騎のはいる隙間のない見出し画像です。これだけ襲来すると二匹と三人は無理。ツインテールだけになってしまったけれど、案外似合ってるなと思った。お団子巻きは沙夜しかできないということで、彼の地に行けばツインテールに変更するかも。優衣も変わるわね。暁輝はもっと小さいんだけど、これ以上はプロント文が入れても無駄なので猫になってとりあえずよし。さっきは猫と犬が合体した恐ろしい動物でした。姫髪にも猫の耳が生えてて。ほらー。ということでチャットGPTさんが作った意味の輪からにない言葉は無視してください。和風ファンタジーと書けば着物だし。現代社会だーと突っ込んだ。これだけしただけで眼精疲労。つらいっす。それではここまで読んでくださってありがとうございました。

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