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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子 第三十一話 対の剣アイス・ウィスパー

前話

 ユレーネが朝ご飯をこしらえに台所へ行くとレオポルトがいた。企み事をしてるような顔つきだ。レオポルトが背中に隠していた剣を見せる。
「ユレーネの剣、アイス・ウィスパーだ。これにアイシャードの魔法をかけてもらおう」
「これが、私の……」
 手渡されたその剣は軽いのに何故かずしり、と重みを感じた。
「俺と対の金属を使っている。これ単体でも氷の国の魔術がでるけど、さらに強めてもらおう。万が一があってはいけなからな。これはユレーネの人生を見つめていく剣だ。氷の国の、水の国の女王として生きていくユレーネの人生だ」
 女王、と聞いてユレーネ驚く。
「王妃、じゃないの?」
「ユレーネは氷の国の民の首長だ。そして俺は炎の。それぞれがぞれぞれの国を支えていくんだ。もっとも融合した後はど世界が変わっていくかはわからないけれど」
「そう。これが、私の人生。逃げないで剣を使うときがあるのね」
「それが、一緒に行く条件だ。魔術の方が長けているだろうが、時として自分の身は自分で守らないといけないときがある。その時に身につけていれば良い。じゃ、朝ご飯」
 台所の椅子に座ってじっとユレーネを見つめる。まるで子供が母親の作るおやつを待っているかのようだ。
「そんな風に見たって朝食は簡単にできないわよ。手伝って」
「いいのか?」
 嬉しそうに聞くレオポルトに不思議に思ってじっと見る。
「フロリアンが台所はユレーネとリリアーナに取られたと言っていたから。手伝って良いなら手伝う」
 尻尾を振る子犬のようにやってきてはユレーネの頬にキスをする。
「ちょっ。朝っぱらから……」
「夜ならいいのか?」
「ダメに決まってるでしょっ」
「残念」
 年頃の男の子の様な反応になんだか照れくさくなるユレーネである。
「はい。これ切って」
「どうやって?」
「だから~」
 レオポルトの手から包丁を取ると野菜を切っていく。
「ユレーネってきっといい母親になるんだろなぁ」
「普通、そこ奥さん、じゃないの?」
「そうとも言う。でも。リリアーナも美人に育ってユレーネみたいないい奥さんになるんだろなぁ」
 夢想しているとユレーネはとんでもない発言をする。
「よし。レオ。子供を作りましょう。今から」
「今?!」
 レオポルトがびっくりしすぎてばっと飛びすさる。
「そうしたら、戦死することもないでしょ? 守るものが増えるんだから」
 確かに、今朝、短い眠りの中で戦死する夢を見た。そして国がめちゃくちゃに滅んでいくところも。ユレーネが死ぬところも。
 
 それを見越しているのか?
 
 だとしても。大胆なユレーネの言葉にレオポルトの心臓がもたない。振り回されている。完全に。乙女は男より強い。
「大丈夫。俺は死なないから。ユレーネを置いては死なないから」
「そうね。なんたって私の夫だもの」
 ユレーネが天使の微笑みを浮かべる。つい、リアルな夢想をしてしまい、真っ赤になるレオポルトである。
「何考えてるんだか」
「いや、それは年頃の男の夢想ってヤツで。なぁ、フロリアン」
 いつの間にかフロリアンとリリアーナが入り口にいた。
「あ、まぁ……。リリアーナ。姫の手伝いを。俺とレオは依頼をこなしていく。行くぞ。レオ」
 さっさとフロリアンがレオポルトの首根っこを捕まえて連行する。間違いがあってはならない。首をはねられる、とフロリアンはびびっていた。レオポルトも同様である。
「ユレーネって昔からああなのか?」
「ぶっとんだお方ではある」
「そうか」
 あのぶっ飛んだ姫をもらうつもりの自分は大丈夫だろうかと手の中にあるアイス・ウィスパーを見てレオポルトは悩んだのだった。
 お年頃の少年少女も世界情勢も危機一髪に傾きかけていたのだった。


題名にそぐわないほどのラブコメです。見た目と中身が違う。この二人は安心できる。今日書いた中編は久しぶりに地獄を見た。制限があったらだめなんだってば、と己のお手々に言い聞かせて適当にごまかしました。健全な物語はほっとする。ユレーネはぶっ飛んでいるので、あれぐらいのことは言う。何があるかはわかってないから。お年頃なだけです。

漢検、自己採点でなんとか受かる予定です。しかし、あの部首をなぜ、あの間際で変えてしまったのか。今でも己に謎です。四文字熟語も一個間違えました。何かが違うとは思いましたが。

明日は次の級の本買ってきます。大丈夫だろう。早く次の級に行きたい。子供さんに交じってするのは恥ずかしい。中学受験に必要なんでしょうね。学校単位でもしてますが、個人会場にあれほど子供さんがいるというのはそういうことなのかと。

ま。今日は疲れたので通常の更新はこれにて。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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