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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第二十話後編 アデーレの孤独

前話

「お兄ちゃん?」
「アデーレはあのアドルフとマルタ様の娘だ。魔術師の血が流れている。だから、アイシャードの家で妖精が見えたんだ。アデーレは血がつながっていないと兄と妹じゃないと思うかもしれんが、兄ちゃんはお前を一番大事な妹と思っている。母上は死産が元で亡くなった。女の子だったらしい。父上はいらないと切り捨てた。そしてマルタ様が何年後かに来た。そしてアデーレを産んだ。俺の死んだ妹の代わりだ、と思った。大事な大事な妹だ。死んだ妹の代わりに生まれてくれた。アデーレを嫌な目で見たことは一度もない。大事な兄ちゃんの妹だ。その内綺麗になってにいちゃんの手の中から羽ばたいていく。この姉ちゃんのようにな。それまでは俺の妹でいてくれ。リリアーナと呼ぶほうがいいならこれからもうアデーレとは呼ばない。この国でお前は生まれ変わった。王妃様をお母さんと呼んでユレーネをお姉ちゃんと呼ぶ。これがお前の現実だ。お前はこのセレスティア国の姫だ。ユレーネの妹だ。忘れないでくれ。ニコやカール達は間違いなく自分達の家族と思ってくれている。それも忘れないでくれ。それからな。アデーレの性で倒れたんじゃないんだ。兄ちゃんの重荷になって疲れてるわけでもないんだ。アデーレは大事な大事な妹。お前のことで兄ちゃんは倒れない。お前を守るためにいるんだからな」
 必死になって言葉を紡ぎ出すレオポルトにアデーレが抱きつく。強く抱きついて泣きじゃくる。どこにそんな元気な体力があるのかと思う程泣く。レオポルトはその背中をぽんぽんと叩いてあやす。
「お兄ちゃん。アデーレの名前辞めていい? リリアーナになりたい」
 鼻をぐすぐす言わせながらアデーレ、いやリリアーナとして生きていく決意をした妹が言う。
「いいとも。これからはリリアーナだ。兄ちゃんの新しい妹だ。リリアーナ。ユレーネが大好きなミルクがゆを作ってるぞ。あの上手そうな香はフロリアンにはだせないからな。さぁ。行こう。今日も舞を見れるぞ」
 レオポルトが立ち上がって手を出す。リリアーナとなったアデーレはその手をしっかり握る。
「リリアーナも舞姫になれるかなぁ?」
「もちろん。リリアーナには才能が一杯だからな。その小さな心に強い勇気を持っている。優しくて強い子だ。兄ちゃんはそんな妹を誇りに思う」
 狭いフロリアンの家の中を歩きながら兄と妹で話をしながら台所に行く。
「ほら。やっぱりユレーネが作っていたな」
「うん!」
「すまん……。ミルクがゆが好きなのを知っているが、作り方がわからなかった。ずっと試作を続けていたのだが……」
 台所には焦げを作った鍋が山のようにあった。武器屋なので道具はいくらでもある。リリアーナが塞ぎ込んでからずっと作っていたようだ。
「フロリアンのミルクがゆも食べたい」
 フロリアンの足下にぴとっとくっつく。
「ユレーネ様の作り方を見ていたから少しはマシになった。また作るよ」
「やったぁ」
 さっきまで泣いていたカラスはもう泣き止んだ。だが。この孤独はずっとつきまとうだろう。それを都度都度乗り越えていくしかない。強い子だ。信じよう。そして新しいインフェルニア、炎の国を見せてやりたい。つよくそう思ったのだった。


あとがき

やっぱり、こちらを優先して載せました。ストックはあと一話。これからレオポルト視点が多くなります。カールやニコのシーンも書きたいです。カールは狸ジジィなので、一癖も二癖もあるはず。でも書き切れるか問題です。いい人で終わりそうで。とにかく、今日は暑い。空調効かせてますが、足りない。でもそんなに下げると座骨神経痛が……。悲しい性です。魚も夜ほどホバリングもしないし。なぜか夜にホバリングをして十一時頃になるともう寝ます、状態になってます。飼い主より健康体。問題は腹をこする癖が直らないところです。白点病かただの床砂の不具合か。見極めが難しいです。塩使ってからは、一番多くすっていた子が頻度が激減したのに違う子が増えてる。うーん。どうなんだろう。もう一押しの塩ですかね。なんて、作品には関係ない話でした。でも土曜の夜シリーズに水族館を使う話が浮かびました。また来週です。

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