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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(81)

前話

「泣き笑いの顔より、そっちのけらけら笑いがいいよ。同棲ね。初めて聞く言葉だけど、それなら式は正式に挙げられるね。ゼルマの知恵には参るな。俺よりも先に行った方法を考えつくんだから」
 そう言ってぎゅーっと私を抱きしめる。
「もう。離さないで」
「離さない。俺のゼルマ。俺の妃は後にも先にもゼルマだけ。ダーウィット兄上から奪ってまで欲しかったんだから」
「そうね。そうだったわ。ウルガーの強い気持ちがなかったら私は今、ここにいないんだもの。お母様に報告しましょう。同棲の件も。でも、パレードの道順は?」
「実は仮の道順は決まってるんだ。でも、君の意見も聞きたい。俺たちのパレードなんだから」
「じゃ、キンモクセイの宮に戻りましょう。レテ姫、またね」
 そう言ってウルガーに腕を絡める。
「ぜ、ゼルマ!」
 ウルガーがどぎまぎしている。あれだけちゅーといって追いかけるのに。
「ウルガーも珍しくうろたえるのね」
「うろたえてない! 帰ろう」
 そう言って歩き出す。ウルガーも弱みを握られるのが苦手なのね。でも、もうウルガーの心をつかんで離さないわ。お母様とウルガーの引越しの話を詰めなきゃ。ウルガーとお母様との話なのになぜか仕切っている私がいた。負けたくないという負けず嫌いな性格が顔を出していた。
「自分の引越しぐらい自分で手配するよ」
「え?」
「どうも。心の糧を入れてからゼルマの気持ちが時々わかるんだ。強い思いほど伝わってくる。無意識で俺たち結ばれているのかもね」
「どうりで、熟年夫婦の風格って言われるわけね。すこしは若いのがいいんだけど。新妻なのよ。まだ、結婚しても」
「それはそうだね。でも、ゼルマの事ずっと昔から知っている気がするんだ。それで中年夫婦に見られたのかもね」
「あら。私もよ。何かあるのかしら?」
「さぁ。ほら。あの道を通れば城の近道だよ」
 ウルガーが示した小道をみてまぁ、と声を上げる。
「お忍びにはうってつけね」
「そう。東屋もいいけれど、みんなやってくるからね。たまにはあそこで二人きりで過ごそう」
「レテ姫怒らないかしら?」
「早く結婚して解決して! ってそそのかしてくるよ」
「そうね。レテ姫、早く助けたいわね」
「焦らないでゼルマ。その前にとびっきりの花嫁になってもらわないと。まだ母上はウェディングドレス見せてくれないんだから」
「お父様たちと作ったドレスは?」
「仮縫い前。サイズが分からないからね」
「それも楽しみだわ」
 私が上機嫌で言うとウルガーがえ、とこっちを見ていた。
「着てくれるの?」
「当り前でしょう。無駄にはしないわよ」
「優しいゼルマ。ありがとう。父上たちも喜ぶよ」
「あ。お母様よりお父様に許可得ないといけないかしら。同棲。普通は父親が権限を持つわね」
「あー。母上で十分。実権を握っているのは母上だから」
「じゃ。帰りましょ。華の宮が見えてきたわ。走るわよ」
 絡めた腕を離して走り出だす。ウルガーがすぐ追いついてきた。
「お転婆姫だねぇー」
「その訳あり姫にベタぼれな王子はだぁれ?」
「俺ー。ゼルマ、ちゅー」
「いたしません!」
 さらに速度を速めてキンモクセイの宮につくと私たち二人を親戚中が何があったの、とばかり固まって見ていた。お母様は後ほどに太陽が出ずっぱりみたいな表情だった、とおっしゃっていた。婚約指輪は偉大なのよ。そう。しかも手作りなんだから。ウルガーと過ごす時間が増えることとなったある春先のことだった。


あとがき
困った時には訳あり頼み。時間がない。しかし、甘いねぇ。いくつなんでしょう。このかっぷる。結構曖昧なところがあって困るんですよね。成人はしてるかもしれません。16が出会いですが一年間行方不明で戻ったときにはあっという間に年が一個増えてるし。ウルガーも結構年寄りか。とにかく、メルカリのデトックスが終わらんと始まらん。もう。登販の受験がー。来年だけど、進まない。明日は病院でワイヤレスイヤホンでEーラーニングだ。フリーWi-Fiあるんで。待ち時間見てます。老眼持って行かなきゃ。
さて、値下げにいきますか。

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