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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(85)

前話

「エミーリエ。着いたよ」
 フリーデによっかかって眠っていた私にクルトが声をかける。はっと目を覚ますと一面野原だった。
「帝都でないの?」
「と。俺も思ってたけれど、緩衝地帯でお出迎えだよ。ここら東の車に乗ってもらいたいようだね。ものすごい数だよ。とにかく降りて。体も伸ばすといいよ」
「ええ」
 私は車から降りるとうーん、と背伸びした。あちこちカチコチだわ。そんなに長い時間乗っていたのね。視線を向こうにやると、ものすごい車と護衛の軍人がいた。急速に怖さが身に染みていく。
「大丈夫。あれはただの張りぼてだから。一番怖いのは枢機卿と教皇だけだよ。俺もエミーリエのそばから離れないから」
 そう言ってぎゅっと手を握ってくれる。
「仲睦まじい間柄ですな。クルト王太子。エミーリエ姫」
 若い、だけど目が笑っていない背の高い男性が声をかけてきた。
「これはヴェルトミュラー枢機卿様。久方ぶりです。お元気でしたか?」
 クルトが余所行きの声を出して私の横に立って手を握る。その手にはまっている指輪を枢機卿は目ざとく見つけた。
「その指輪は……? 婚礼はまだと聞いておりますが」
 丁寧な言葉使いだけど、枢機卿の目線は鋭い。
「内輪で仮の婚礼を上げました。実権はまだ父と母が持っております。国の婚礼後にお訪ねしようと思っておりましたが、丁寧なお招きを何回もいただいたので、こうして参じました。妻のエミーリエとなります」
 枢機卿の目が凍り付いたようになった。
「それでは……」
「はい。公私ともに妻となっております。もう、東へ嫁ぐことはできない状態です」
 ぎゅっとクルトが私の手を握って言う。枢機卿は口をいったん開けて何かを言おうとして口を閉じた。くそっ、とでも言う表情。
「そうですか。それはおめでとうございます。世継ぎに恵まれるといいですな。ここまで来られたのですから、帝都においでください。教皇も会える日を指折り数えております」
 丁寧だけど、もう、最初の温かみのある声ではなかった。冷たい軽蔑するかのような視線を投げかけて言う。そりゃ、婚前嫁ですもの。お転婆姫も度が過ぎていると言えるわね。それが目的だけど。
「ここまで迎えに来ていただき、帝都へとお招きくださって光栄です。是非とも帝都で教皇様にお目通りを」
「それでは、こちらの車に乗られますか? 西大ボーデン国の車も非常に優秀だと聞いております。運転なさいますか?」
「お許しがでるのなら。エミーリエはまだ東の技術に慣れておりませんから」
「そうですか。では、先導車の後についてこられよ。帝都でお祝いをいたしましょう」
 いうだけ言って枢機卿はくるりと背を翻して去っていく。好色男と聞いていたけれど人妻と知ると軽蔑のまなざしで拒否したわね。婚前というだけで。婚礼後なんだけど。仮といえど。本当に乙女ばかり狙ってるのかしら。まだ私の中では疑念が残っていた。
「さぁ。もう少しだ。エミーリエ。車に乗りなおすよ」
「ええ。クルトもやるわね。一歩も引いてなかったわ」
「そりゃ。かわいい妻を守るためだからね。何したって頑張るよ。でもエミーリエ自身でも気を付けて何をされるかわからない。まだ。今は体裁をつくろっているだけだから」
「そうね。じゃ、クルトの運転で帝都に行きましょう」
 私はクルトの車にまた乗りこんだのだった。


あとがき
一個でもスキが付けばうれしいものです。例え、お礼のスキだとしても。他の方へのコメントにもスキを入れてくださった方もいてありがたかったです。少なくとも私の言葉は誰かには届いている。小説は長いから、段々読む人は減るけれど。またも大事件を起こして困ったさんです。なんでー。と。ヴィルヘルムの心の闇を描こうとしてなぜか天使フィーバーになりました。ネタ晴らしは面白くないのでここで止めますが。ラスボス登場。しつこいです。消えたと思ったら昨日出てきました。もう、二度と出てこれないですけどね。私は、昨日からデバイスの調整で忙しいです。クロームブックのタブレット部分を持ち出して駅で小説を書こうと思ったらスマホでしゃかしゃかできるようになりました。クロームはウィンドウズ12が出た時に活躍するかもしれません。OS違いますから。さらにクロームを買おうとしてあきらめたんのでした。後から調べればこちらの方がスペック的によかった。文書もいくつもバックアップしているのでどこの~? になりがちですが、メインは間違いないです。寝転んでスマホでぽちぽちと打ってしまうこともこの一日の間にあり、はかどります。なんせ一日と半日寝てないので。寝れなくて欠勤。給料がー。なぜか一睡もできなくてひたすら行方不明のクロームの電源を探してました。で、近くの家電量販店が売り尽くしなのでそっちで急速を買って、正規品をアマゾンでも買いました。アマゾンのはキャンセルしようかと思ったのですが遅くてできず、二重に持ってます。これもいつか役に立ちます。急速充電はバッテリーの寿命を削るのでどうしようか、とおもってます。さっき来たのでしてもいいかな? バッテリーが終わるころに着けるモバイルバッテリーが今度は必要。30Wあればいいそうなので明日も通ってみてきます。この間スマホ用にかったモバイルバッテリーがばっちり相性が良くてびっくり。あというまにフルになりましました。持ち歩くならsurfaceよりクロームが小さい。だけど、スマホで事足りるのでまぁ、いっか。テキストエディターって便利。

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