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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第四話 炎の国の魔術師アドルフ

 前話

 長い夜が明けようとしていた。あれからあでもない。こうでもない、と二国間の対立を収める方法を模索する。が、決定打がでない。やはり自分達の力では無理なのだろうか、とレオポルトが思った時、ユレーネが、声を上げた。
「少し、筋違いの話だけど……。あなたの親友と私の親友、お似合いじゃない?」
「そういえばそうだな」
 レオポルトも言う。
「じゃ、考えても見つからない答えを探す前に、お見合いよ」
「お見合い?」
「そう。レオポルトの騎士をこちらに呼んで、アンナを会わせましょう」
「どーして、話がそこへ落ちるんだ。元々は二国間の……」
 しーっとユレーネがレオポルトの唇に指を当てる。レオポルトはどきり、とする。だが、ユレーネの目は用心深い色を差していた。
「何か、良くない気配を感じるわ。もう、夜が明けるし、次の満月の夜にまた会いましょう」
 そう言ってユレーネは消えた。飛翔の魔法の応用、だ。
「何が満月の夜だ。こっちは真剣に……。アドルフか?」
 黒い衣に身を包んだ、半透明の男が現れる。
『王子。こちらにおいでですか。国王が気配がないとお探しです。気配をたどらせて頂きました。急ぎ、お戻り下さい』
「はいはい。わかったよ。アドルフ。ココに来たことは他言無用だ。言えば、わかってるな?」
 いくら強大な力を持った魔術師でも王国の次期継承者の魔力には勝てない。アドルフは何かの情報にするつもりか冷ややかに笑みを浮かべる。
『わかっております。今夜のことは内密にいたしましょう』
「ああ。それでよい。余計な事はするものじゃない。還る」
 レオポルトが何かを言うとすっと姿が消えた。
 レオポルトは国に戻り、そこにアドルフだけが残った。
『何が、内密か。いずれこの国は私のもの』
 そう呟いてアドルフの気配も消えた。
 灼熱の大地とも言われるインフェルニア国の王室付き魔術師、アドルフは常日頃からこの二つの大国を狙っていた。いずれ全てを統べるのは私だ、と。そこへ王子が割り込み始めた。今は下手に出ているが、いずれ跪かせてやる、と憎悪を膨らませる。
 レオポルトが二国間の争いを収めるためにセレスティアに潜入する前から、アドルフはこの二国を自分の手にすることを考え続けていた。
 
 潜入だけならまだしも。王女と関わりを持つとは……。言語道断だ。
 セレスティアの王女も私のものだ。二人の間に何かが芽生える前に摘んでしまおう。
 
 アドルフはまた計画を再び練り始めたのだった。


あとがき

いろいろ設定通りに行かず、さらに人物は増え、よくある手が投下されようとしています。恋路の邪魔が入ります。なんでこうなるの? と、嘆いております。自己実現が出てこない。ユレーネが舞を極めていくことも描かないと。そして、親友の舞姫の名として上がっていたのをそういえば悪役だけに使っていたな、とお気に入りの名前に差し替えました。いつもなぜか悪役になるんです。好きな音なのに。レオポルトは間違いなくドイツ語撥音のようです。スマホのChatGPTに聞き直しました。そしてレオポルトには義理の母がいるという設定を見ました。一応、集めていた資料を見直すと義理の母という項目が。確か、女王の養女の話も合ったはず、と探していたらこの事実に行き当たりました。ChatGPTの履歴を見れば、別話で大いに違う設定に行き当たりました。ちょっとショックです。父ナシ子が両親に従姉妹まで……。一応、全部ログ写していたと思ったら写してなかった。おかげで話がまったく違う話に。ユングは変わらないんですけどね。ログのバックアップは漏らさないようにします。お騒がせしました。

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