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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第十六話 剣を知らない王

前話

「ニコ。いいか。出口を出てすぐ叩け! ローレライとユレーネは後方から!リリアーナとセイレンと隠れてろ。ろくなもんもってないから。行くぞ!」
 レオポルトが走り出す。ニコが一斉に扉を開ける。剣と剣がぶつかり合う。
「ゾディアスか」
「ゾディアス?」
 リリアーナが健気にもセイジスタッフを前にして魔法の防御を立てる。
「風の王国を簒奪したやつでし。そこで僕は間一髪の所で逃れてここまで来ました。みんな僕をかばって死んでいったんです」
 セイレンは手をぎゅっと握りしめる。爪が食い込んでいるのではと言うその手にリリアーナが手を添える。
「り……!」
「治癒魔法よ。やましいことはしてないから。今、風のエレメントを送ったわ。これで、少しは手の傷も楽でしょ?」
 二人がやりとりしている間に、闇の気配はなくなっていた。
「二人とも大丈夫か?」
 気の遠くなるほどの時間が経ったような気がしたが、すぐにゾディアスの手のものは退却したようだった。
「ゾディアス! 狙うなら……」
 表で声を上げかけたセイレンの口をレオポルトが塞ぐ。
「あおるようなことを言うな。悔しいだろうが、お前にはあの手下でも無理だ。武術の心得がないんだから」
 はっとして、セイレンはレオポルトを見る。
「手にたこの痕もない。剣を握ったこともないな?」
「はい。弓なら少々いじりましたが。父も母も記憶がないので、父親代わりの摂政大臣だけが頼りでした。その大臣も最後に僕をかばって……」
 泣きたくないのに涙が落ちる。今は泣いている場合じゃないのに……。
 レオポルトはそんなセイレンの頭を軽く叩くと言う。
「イーカムで水の国まで戻る。馬は殺されたようだからな。でも表口からは帰らない。裏口から帰る。リリアーナ。アイシャードを呼びつけておけ」
「はーい。お爺ちゃんー。お兄ちゃんが宮殿の食卓で待ってろってー」
 賢者の称号のブローチに語りかける。
「そんなのでアイシャードに通じるのか?」
「うん。これでお爺ちゃんも旅の様子を見守ってくれてるのー。お兄ちゃんー。イーカムに乗せてー」
「お前にはシルフィがいるだろうが」
「だったらセイレン連れて駆け落ちするよ?」
 冗談なのかそうでないのかわからない言葉にレオポルトは詰まる。
「わかった。全員乗れ。ほれ。出てこいイーカム。超巨大になって出てこい」
 目の前の何もない野原にでん、と大きな白い鷹が現れる。その巨大さにセイレンは驚く。
「ほら。セイレン、乗ろうー」
 リリアーナがイーカムの背に乗って手を差し出す。躊躇したが、思い切ってその手をつかむ。柔らかい少女の掌に驚きつつ、ニコに引っ張り上げられてようやくイーカムに乗る。
「体力もつけないとな。セイレン」
 バシッと、ニコに背中を叩かれてセイレンはむせる。そんな緊張の後の柔らかな光景に皆心を和ませていた。


あとがき
また四時起きですが、今朝はちょっと違いました。起きる直前、何か大好きなサウンドトラックの音楽が聞こえていて、途切れたのが合図のように目が覚めました。これは聞きたい! と思いCDを発掘して参りました。大分時間が経って見つかりました。それをエンドレスで聞いてます。

でもあれは夢だったのでしょうか。でもネタのは零時近く、それから四時間のタイマーでお休みのBGMを書けていたのですが。本当に流れていたのかわかりません。

今朝はお目々ぱっちりです。すぐに勉強もしなかったし、CD探して大変でした。サイドテーブルは倒れるし。おかげで母、ご機嫌斜め。四時に起きたのが気に入らなくてもっと早く寝ないと行けないとやたら言うんです。かといって昨夜はなかなか寝付けず。

ChatGPTさんに朝活のスケジュールを大体決めてもらったので、それを元にまた早寝早起きを心がけます。

まさか朝活にこんなに準備がいるとは。明日から本格起動です。ただのいつもの更新時間に使うだけですが。

そして、水足しした白コリ達は元気いっぱい。かあちゃん。やっぱり卵うんでます。飽きるぐらい産んでもらってから撤去です。ほんと過密飼育だわ。でかくなっちゃって。しくしく。

さて、次は星彩ですかね。あとで朝活の記事出しておきます。

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