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RanA
2016年1月7日 21:29
第二節:犬猿の仲 紅茶の香りが鼻を掠めて、クロエは目を閉じ、首を振る。目の前には国賓預言師が神妙な面持ちでこちらを見つめており、又隣には顰め面をした男が自分と同じように紅茶を啜っている。 状況は昨日と何も変わっていない。一晩開けてこの邸に再び集合し、そうして今は更なる詳細を聞いているところだ。「カドーがアストゥリアス国出身の人達で、インヴィッテがネルーダ国の人たちだって話だけど…
2016年1月7日 19:41
第一節:夢に見たもの 何も無い、真っ暗闇の中。 見えるのは『黒』、聞こえるのは『静』ばかり。「――――」 誰かに呼ばれた気がして振り返っても、そこに広がっているのは無限の闇。 クロエは1人で、周囲を見渡し溜息を吐いた。「また、この夢なの?」 最近この夢ばかりで、正直うんざりしているのだ。 夢を夢だと認識している時点でおかしなものだが、それ以前にこのような夢を見
2016年1月7日 19:23
その昔。 世界は、女神によって平和に保たれていた。 女神はその地に生きとし生けるもの全てを愛し、育み、そして守ってくれる存在だった。 けれど女神に愛されるためには、自分たちから女神を愛さなければならない。 そうして厳しい戒律を守り、信仰を貫いた者たちだけが『至上の幸福』を手に入れることができるのだ。 その大陸に住む人々は、そう教えられて育った。 けれど、非理性的な信